Column

速い球の投げ方7

2010.10.25

殖栗正登のバランス野球学

速い球の投げ方72010年09月06日

今回は前回お話した力学的エネルギーの流れに対して、ボールの速さがどう関係しているかお話しようと思います。

■速い球の投げ方シリーズ バックナンバー

 「ピッチング動作のポイントって?」(速い球の投げ方1)
 「体幹の使い方」(速い球の投げ方2)
 「利き手の使い方・イップスの治し方」(速い球の投げ方3)
 「球速と指の関係」(速い球の投げ方4)
 「実戦 球速アップトレーニング」(速い球の投げ方5)
 「力学的エネルギーの流れを総復習」(速い球の投げ方6)

1:下降局面(ドロップ)

この局面では力学的エネルギーの大きい発生はなく、力まずに重力に任せて体を下降させることがポイントです。

2:上胴エネルギー増加局面(軸脚の蹴り)

軸脚の股関節のトルクが球速と相関性があり、下胴からのエネルギーの流れが大きいほど球速も速くなります。踏み込み脚は膝(ひざ)と股関節で下胴へのエネルギーを流入していますが、まだエネルギーの流れは小さいです。この局面での軸脚の使い方と上胴への流し方がスピードを上げることに対してポイントです。また、踏み込み脚における力学的エネルギーの流入は少ないです。

3:ボール速度減少局面(トップ)

この局面は大きいエネルギーの流れは多くありません。肩関節により上腕へ流れたエネルギーのみになります。しかし、上胴の前回旋の角速度が上がり始める準備の局面になります。


4:後期コッキング局面(最大外旋位)

上胴から上腕、そこから肘(ひじ)・手関節によって前腕・手へとエネルギーが伝達されるので、エネルギーと球速の相関性は高くなります。この時肘を上手に使うことがポイントになり、アーム式の投げ方はよくありません。

また、踏み込み脚の股関節による下胴へのエネルギーの流入は球速に高い相関性があります。球の速いピッチャーほど股関節が上方に移動しています。これは膝が十分に伸びているからです。後期コッキングのスタート時に膝と股関節を伸展させることがポイントになります。

5:加速局面

この局面では、すでに球速に相関性のあるエネルギーは後期コッキング局面で終えていて、後は力学的エネルギーを肩の内旋と肘の伸展でボールへ伝達しています。

次のページにて今回のコラムのおさらいをします。

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まとめ

これらのことから、

ドロップからオフバランスにかけてリズムよく重心を下降させ、軸脚の股関節を中心にして一気に下胴、上胴へエネルギーを伝達して、トップに一気に進み、ここから上胴の回旋が始まりながら後期コッキングのスタート時に踏み込み脚の引き込みと肘をうまく使いながらエネルギーを伝達させ、加速期の肩の内旋、肘の伸展でスローイングをする必要があります。

今上げたポイントが出来ているほど球速が速い投げ方となります。指導者および選手の方はぜひこれらのことをポイントにしてフォーム作りを行って頂ければと思います。

また実際フォームを作るとき、股関節の固いピッチャーはドロップアンドドライブ[mobile](軸脚を深く曲げて体重移動で膝を伸ばし、一気に加速するフォーム)[/mobile]のフォームは難しいので、トールアンドフォール[mobile](上から落ちるように投げるフォーム。踏み込み脚に体重をのせて投げる)[/mobile]のフォームにして、ドロップからのオフバランスにかけての強い軸脚の伸展を避けて、接地後の内転トルクを意識したフォームが良いでしょう。

歩巾の狭いフォームになりますが、指導者の方はここを考慮して画一的なフォームにならず、個性を見ながらフォームを作って頂ければ幸いです。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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