スラッガーたちの一振りを見逃すな!今春の選抜は目玉野手が集結!
3月19日に開幕する第89回選抜高等学校野球大会の出場校が決まった。今年は2017年のアマチュア野球の主役といっていい清宮幸太郎(早稲田実業)の二度目の甲子園出場が決定した。近年にない盛り上がりを見せる大会になっていくに違いない。全国大会はまず投手が注目される大会になるが、今年は野手が注目される大会になるだろう。
今大会は清宮、安田、福元、嶋谷、太田の5人に注目!
清宮 幸太郎(早稲田実業)
高校通算78本塁打の清宮幸太郎についてはNPBの多くの球団が注目をしており、1位候補に挙げる球団もある。長打力、バットコントロールの高さなど打撃技術、ポテンシャルの高さは2017年度の野手ナンバーワン。また試合となれば連日多くの観客で球場が埋まるように、スター性も十分だ。
将来NPBに進めば人気打者にもなるかもしれない清宮の一挙手一投足に、より注目が集まるだろう。課題は好投手に対してどんな成績を残すことができるか?昨秋は都大会決勝戦で縦スライダーを武器にする櫻井周斗(日大三)から5三振を喫したように、縦系の変化球を決め球にする投手にどれだけ対応できるかが鍵となりそうだ。また一塁手としての守備も厳しくチェックされそうで、この選抜は清宮の評価が大きく決まる大会になることは間違いない。
そして高校通算45本塁打の安田尚憲(履正社<関連記事>)は、芯で捉えた時の飛距離は清宮以上。昨年12月末に台湾で行われた国際試合では木製バットを握り、そこでも長打を放つなど木製バットの対応力の高さを示している。課題としていた三塁守備も、捕球してからのスピード、スローイングに磨きがかかり、強肩サードとしてワンランクレベルアップを遂げている。選抜までに捕球までの安定感を高めていけば、もっと高い評価を受けることになりそうだ。
この2人に続いてドラフト候補として注目を浴びそうなのが嶋谷将平(宇部鴻城<関連記事>)、太田英毅(智辯学園)、福元悠真(智辯学園)の3人だ。嶋谷は昨秋の中国大会で大当たりを見せ、明治神宮大会では軽快な遊撃守備を見せて神宮に駆け付けたファンを魅了。対応力の高さが光る打撃力も魅力で、高校生ナンバーワンショートストップとして期待がかかる逸材だ。太田は昨年の選手権でも特大の本塁打を放った。また俊足で、さらに動きの良さが光る内野守備と魅力十分。目標とする廣岡大志(関連記事)に追いつけ追い越せの精神で、この選抜でブレイクを誓う。
そして高校通算35本塁打の福元は、同校の小坂 将商監督から「ピッチャーにトスで返すイメージで打ちなさい」とアドバイスを受けた。するとセンター方向へ強い打球を打てるようになり、昨秋の近畿大会準々決勝の大阪桐蔭戦ではバックスクリーン横に打ち込む本塁打を放ち、成長した姿を見せた。福元は奈良県選抜に選ばれ、12月末に台湾に遠征。木製バットを握って、計3試合で8安打。しかも、振り切って鋭い打球を飛ばしており、他の打者と比べてレベルの違いを見せた。チームを引っ張っていく熱さ、さらにここぞというときに長打を打てる勝負強さを兼ね備えており、まさにプロのスカウトが好むような逸材である。この選抜では、昨年以上の姿を見せることができるか。
センバツのアピール次第では一気に指名候補に上がりそうなのが古賀 悠斗(福岡大大濠)だ。前チームからレギュラーでその時はショート。新チームになって強肩と野球頭脳の高さを買われ捕手へ転向した。エース三浦銀二(関連記事)の持ち味を引き出し、多くの勝利に貢献した。明治神宮大会の明徳義塾戦(試合レポート)では高校通算41本塁打を記録。そしてスローイングタイム1.9秒台の強肩を武器にする大型捕手だ。昨年は九鬼隆平(秀岳館<関連記事>)がドラフト候補に挙がっていたが、その九鬼と比べると打撃技術が高く粗さがないので、プロのスカウトからの評価は高い。選抜へ向けて課題であるキャッチング技術を高めていきたいところだ。
そして1年秋からレギュラーとして活躍してきた西浦颯大(明徳義塾)は、秋季四国大会で高校通算23号本塁打を放ったスラッガー。脚力、強肩が光る外野手で、選抜へ向けて大爆発を誓いところ。今年の野手では数少ない三拍子揃った選手なだけに、しっかりとアピールを見せていきたいところだ。
植田拓、鈴木萌など甲子園経験者が格の違いを見せることができるか
鈴木 萌斗(作新学院)
今年は全国的に好野手が多い。パンチ力ある打撃が光る高階成雲(札幌第一)、走攻守三拍子揃い、特に機敏な動きが光る遊撃守備が持ち味の西巻賢二(仙台育英)。東北大会で2本塁打を放った大型スラッガー・植田拓(盛岡大附)も昨夏の甲子園以上の結果が求められる。関東地区では夏春連覇を狙う作新学院から、走攻守三拍子揃った大型外野手で明治神宮大会でも3安打を放った鈴木 萌斗がドラフト候補へ浮上する活躍ができるか注目される。また6年ぶり出場の日大三からは高校通算19本塁打を放ち、193センチ101キロの大型スラッガー・金成 麗生、強打の三塁手・井上 大成など強打者が勢ぞろいで、一気に評価を挙げる選抜になりそうだ。
北信越地区王者の福井工大福井・北川智也は広角に長打が打てる強打の二塁手で、軽快な内野守備も見逃せない。
また近畿地区は好野手揃い。近畿大会の準決勝、決勝で2試合連続本塁打を放った若林将平、同じく近畿大会で2試合連続本塁打を放った猪田和希は貴重な大型捕手。履正社の1番石田龍史はパンチ力抜群の核弾頭、そして近畿大会決勝、神宮大会決勝で本塁打を放った強肩強打の捕手・片山悠も見逃せない存在だ。また近畿大会ベスト4の滋賀学園の正捕手・後藤克基は、智辯和歌山戦で特大本塁打を放ったように長打力にますます磨きがかかり、また投手の持ち味を引き出す好リード、強肩も光る好捕手だ。
四国地区では、強打の捕手・篠崎 康が高い評価を受けている逸材。九州大会ベスト4の秀岳館では、前チームから甲子園を経験済みの強打の三塁手・廣部就平、一塁や右翼手を兼任する木本 凌雅の打撃力は大いに注目だ。
そして1年生では、東京都大会決勝でサヨナラ本塁打を放った野村大樹(早稲田実業<関連記事>)や、報徳学園の俊足堅守のショートストップ・小園海斗、近畿大会でバックスクリーン弾を放った中川卓也(大阪桐蔭)、神宮大会ベスト4の札幌第一からは、3番を打つ柴田颯も期待の強打者だ。
この大会で、どれだけの選手が自分の名を高めることができるか?久々に野手の目玉が多く揃ったこの大会。大会を盛り上げるには好敵手となる投手の存在が重要である。次回は投手の注目選手を紹介していきたい。
(文・河嶋 宗一)
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