Column

なぜ大阪桐蔭は甲子園で本塁打が多いのか?ダンテ、山田健太が語る打席アプローチ法

2021.09.05

 大阪桐蔭は1991年夏の甲子園で優勝してから、甲子園の大阪桐蔭=本塁打というイメージが根付いた。夏の甲子園で通算55本塁打を記録しているが、いったいどんな指導があったのか。甲子園で2本塁打を打っている山田健太(立教大)や、大学生を代表するスラッガー・山本ダンテ武蔵(國學院大)にきいた。

甲子園に入っての打席のアプローチ

なぜ大阪桐蔭は甲子園で本塁打が多いのか?ダンテ、山田健太が語る打席アプローチ法 | 高校野球ドットコム
大阪桐蔭OBの山本ダンテ武蔵(國學院大)と山田健太(立教大)

 まず山田が西谷浩一監督に教わったことは、甲子園のフィールドの感覚を掴んだ上に打席に立つことだ。

 「高校の時から西谷先生に言われていたことなのですが、甲子園はバックスクリーンが大きいので、いつも通りやると見上げてしまってフライを打ってしまうので、上から叩くというのを甲子園ではよく言われていました」

 これは山本も同じことを意識している。

 「金属バットだと上から強く叩く意識でやっていました。やはり低いライナー性の打球を打つことを求めていました。基本的に打撃フォームについてあまり細かく言われることはなく、個々の意識でやっていました」

 大阪の選手が必ず経験するのは、両翼100メートルの大阪シティ信用金庫スタジアムでプレーをしなければならないことだ。打席でのアプローチは甲子園と同じだと山本は語る。

 「舞洲は本当に広いので、ホームランを狙うとフライになってしまいますし、やはり甲子園と同じアプローチの仕方でやって、低く強い打球で点を積み重ねる意識で、走塁、守備を重視していました」

 2人が共通して語っていたのは甲子園では特別な場所で、能力以上のパフォーマンスを発揮できるということだ。山本はセンバツ決勝で代打本塁打を放った西島一波を例に出した。

 「西島は非常にミートが上手くて、広角に打ち分ける技術が高い選手なんです。いわゆるアベレージヒッター的な選手が、甲子園であれほど大きいホームランを打ったことに驚いて、みんなで沸きました。甲子園はそういう場所なんだと思います」

[page_break:西谷監督は本塁打を打った選手にどんな声かけをしているのか?]

西谷監督は本塁打を打った選手にどんな声かけをしているのか?

なぜ大阪桐蔭は甲子園で本塁打が多いのか?ダンテ、山田健太が語る打席アプローチ法 | 高校野球ドットコム
大阪桐蔭時代の山田健太(立教大)

 そして大阪桐蔭の打者が本塁打を打った後でよく見るのは西谷監督が選手を呼んで話し合うシーンが見られる。どんな事を話しているのか?とても気になる方も多いはず。甲子園で2本塁打を放った山田は体験者としてこう語った。

 「ナイスバッティングと褒めてもらったり、なんの球種を狙ってたの?という会話が多いですね。甲子園ではホームラン打ったらほとんどの確率で止められるのですが地方大会の時はそこまで止められないです」

 大阪桐蔭の選手たちの打撃を見て分かるのは、いわゆる振り回して打つ選手は皆無といっていい。それでも本塁打にできているのは、正しい打撃技術と強靭なフィジカルが合わさってもたらしているのだろう。

 大阪桐蔭のOBは、プロ、大学、社会人でもスラッガーとして活躍する選手が多い。山本は國學院大に進んで、スラッガーとして化けた。

 「木製バットなので、上から叩くスイングからボールの軌道に合わせて線で捉える意識」と打撃のアプローチに変化はあったが、基本的に本塁打ではなく、強い打球を打つ姿勢は変わりない。

 新チームも公式戦がスタート。U-15代表の4番打者だった海老根優大を中心に今年も強力なチームだ。これからも、大阪桐蔭の選手たちは甲子園に勝ち進んで、ファンを熱狂させるホームランを見せてくれるのか、楽しみにしたい。

(記事:河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】鹿島学園が逆転勝利!左腕コンビのリリーフで樹徳との接戦を制する!

2024.05.17

【春季関東大会注目野手一覧】超高校級のショートトリオ、健大高崎の強肩捕手など24人の逸材野手をピックアップ!

2024.05.18

国民的人気だった韓国の高校野球はなぜ凋落したのか? “韓国の甲子園球場”の撤去、少数エリート制度の弊害……【韓国高校野球事情③】

2024.05.17

【関東大会注目チーム紹介】13年ぶりの春季埼玉王者・花咲徳栄打線は超強力!ドラフト上位候補スラッガー・石塚を中心に県大会58得点!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?