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2016年の高校野球を占う【神奈川編】「全国レベルの横浜だけではない!今年は私立、公立問わず好選手が揃う」

2016.02.25

 昨夏、神奈川勢として1998年以来の夏の甲子園優勝を果たした東海大相模。日本一の野球熱がある神奈川県の誇りを見せた1年だったが、今年は2年続けて選抜出場無しに終わった。しかし逆にこの選抜出場なしが、神奈川県の各校を燃えさせているのではないだろうか。今年も全国クラスの学校が揃う神奈川県の注目校を紹介していきたい。

全国レベルの横浜を追う強豪たち

藤平 尚真(横浜)

 昨秋は関東大会1回戦で敗退したものの、県大会優勝横浜は全国制覇に期待がかかる学校といってもいい。最速151キロ右腕・藤平 尚真(2016年インタビュー【前編】 【後編】、キレのある速球を投げ込む左腕・石川 達也の2人の力量は全国トップクラス。ここに今の1,2年生、また新入生の投手が台頭すると面白い。

 打線では長打と確実性を兼ね備えた公家 響、走攻守三拍子揃った大型外野手・増田殊(1年)、大型二塁手・戸堀 敦矢、ディフェンス力が高い好捕手・福永 奨(1年)など野手も逸材揃いで、実力は全国クラス。あとは夏の厳しい神奈川大会を勝ち抜くほどの実力を持っているか。

また横浜は例年、大型1年生がメンバーに入っていく。2014年は公家、2015年は増田だったが、今年はどんな1年生が名前を連ねるのだろうか。

 準優勝の桐光学園は昨春、昨夏はベスト4と安定した成績を残している。投手陣は右下手投げの中川 颯、左の本格派・大河原 誠の2人が中心。中川は打線の中心でもあるが、どちらも上のステージで続ける実力を持っている。投打どちらでもよいので圧巻のパフォーマンスを見せていきたいところ。それが実現した時、高いレベルでプレーできる可能性も広がっていくだろう。また野手は実に逸材揃いで、正確なリード、スローイングが良い大坪 亮介、守備範囲の広い外野守備が光る渡部 遼人(1年)、バットコントロール、守備範囲、肩の強さ、俊足とどれも優れる齋藤 健成(1年)と野手のレベルは高い。あとは全国を意識し、投打ともに底上げできるかに尽きるだろう。

 ベスト4の日大高は、右の本格派・森井 徹平が粘り強い投球を見せる。体ができれば面白い存在だ。攻撃の中心である3番須永 圭祐、4番丹羽 敬太も勝負強さが光る。
藤沢翔陵は、スラッガー・近藤 明弥、187センチ85キロの強打者・森山 孔介を中心とする強力な打線がウリだ。課題は投手陣で、全体的な底上げを果たしたい。

 ベスト8に目を向けると、やはり東海大相模が有力だろう。エースの最速145キロ右腕・北村 朋也に注目。ただ速球自体は素晴らしいが、まだ変化球の精度、投球術、球離れが早い投球フォームなど課題が多いので、その課題をどう克服できるか。また、打線もまだ経験不足なところがある。春で、注目選手と呼べる選手が現れるか。

 続いては横浜隼人。パンチ力ある捕手・吉川 雄真、旧チームから中軸を打つ左の好打者・小泉 雄雅と強打は健在。投手陣では左腕の林 明良、194センチの大型右腕・林 俊太朗の出来がカギ。特に林俊は、まだフォームは荒削りながら、上手く嵌れば県内屈指の速球派に育つ可能性は秘めているだけに、注目をしていきたい。川崎北は、技巧派左腕・阿部 海輝がチームを引っ張ってきた。阿部は緩急をうまく使い分け打たせて取る投球が持ち味。川和は、コンパクトなスイングから内野の間を抜く打球を連発する好打者・岩澤 慧輔を中心に小さく鋭い打球を打てる打者が揃う。勝負所でも守れるチームを目指し、春も上位進出を目指す。

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[page_break:桐蔭学園、平塚学園だけではなく、公立にも注目選手が揃う]

桐蔭学園、平塚学園だけではなく、公立にも注目選手が揃う

 高田 晃大(市立橘)は、去年から出場していた投打の柱。遊撃守備は身のこなしが日に良く、打撃も速度のある打球を連発し、投げては130キロ前後の速球とスライダーで勝負。一冬越えて突き抜けた成長が欲しいところだ。
平塚学園は、エースの高田 孝一に注目。まるで柔道の背負い投げのようなフォームから繰り出す140キロ前半のストレート、カーブ、フォークの精度は県内屈指。だが、昨秋は不調に陥っており、この冬でどこまで立て直すことができてストレートをレベルアップできているか。今年のパフォーマンス次第では高卒プロへの道の可能性もあるだけに、注目をしたい投手だ。

木澤 尚文(慶応義塾)

 名門桐蔭学園は、大型サイドハンド・小川隼平、1年生左腕・徳永 凌雅など投手陣の駒は豊富。打者では横浜の藤平から適時打を放った柿崎 颯馬のバットコントロールは必見。パンチ力もあり、一冬越えて、どこまでスケールアップしているか注目の選手だ。Y校として注目される横浜商は、強肩捕手・田村 泰輔がチームを引っ張る。
慶応義塾の木澤 尚文は、真っ向から振り下ろす140キロ台中盤の速球に威力があり、あの白村 明弘(慶応義塾大-北海道日本ハム)を彷彿とさせるような右の本格派だ。日大藤沢大倉 和樹も、130キロ中盤の速球を投げ込む左投手。一冬越えて総合力が高まっているか注目だ。

 武相は、強打の捕手・山本 雅樹、巧打の二塁手・佐藤 俊哉、180センチの長身から速球を投げ込む真栄平 博己立花学園)に注目。また伸びのある速球が武器の植田 新之介光明相模原)、パンチ力ある強打の捕手・菅野 瑠杜向上)も注目を集めそうだ。

 また公立校も注目選手が多く、戸塚大村 望森はケガもあったが復帰を果たし、勝負強い打者を目指す左の強打者。湘南はバットコントロールが良い好打者・笠原 健吾、長打力もあり、投げても威力ある速球を投げ込む186センチの大型プレイヤー・角谷 隆之介に注目だ。瀬谷のスラッガー・杜 秀介は常に球足が速い打球を連発しており、この春注目の打者だ。県立商工は、中本 海都、身長182センチの大型サード・日高 優斗白山)、130キロ前半の速球を投げ、淡々と試合を作ることができる中村 励雄大師)も注目の選手だ。

 今年は公立校も注目選手が多いのが特徴。春季県大会では夏のシード権獲得を目指す大会となるだけに、シード争いを目指す各校の戦いに注目。その中で多くの好選手が現れることに期待したい。

(文・河嶋 宗一


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【ひとまとめ】2016年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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