世代を代表する剛腕、甲子園のスター、地方大会敗退組の大型スラッガーなどロマンしかない仮想U-18代表
イヒネ・イツア、海老根 優大、門別 啓人、内藤 鵬
いよいよロマン型である。今年のドラフト候補として注目されている選手たちからトップの選手20名を選んだ。ただ、選んだ選手たちのポジション特性を考えて、便利型の選手も選出している。投手はプロでも活躍しそうなパワー型の投手、野手は早い段階から木製バットにも対応できる可能性が高そうな強打者タイプなど。
なお、今回選んだ選手はすべて3年生として、また学校の偏りをなくすために1校2名までとしている。
【ロマン枠】
☆投手
田中 晴也(日本文理)
山田 陽翔(近江)
鈴木 泰成(東海大菅生)
斉藤 優汰(苫小牧中央)
門別 啓人(東海大札幌)
西村 瑠伊斗(京都外大西)
武元 一輝(智辯和歌山)
日高 暖己(富島)
大野 稼頭央(鹿児島大島)
☆捕手
松尾 汐恩(大阪桐蔭)
山浅 龍之介(聖光学院)
土屋 奏人(鶴岡東)
☆内野手
内藤 鵬(日本航空石川)
イヒネ・イツア(誉)
戸井 零士(天理)
金田 優太(浦和学院)
市橋 昂士(愛工大名電)
☆外野手
瀬谷 大夢(二松学舎大附)
海老根 優大(大阪桐蔭)
浅野 翔吾(高松商)
【投手】
続いてロマン枠である。実戦型でも選んだが、ロマン枠でも田中を選んだ。新潟大会で最速150キロをマークし、鋭いスライダーを投げ込みゲームメイクする投手だ。
今夏の甲子園では指のまめがつぶれてしまったが、そうではない時の直球は威力抜群。力の入れ加減をする直球と、切れのあるスライダーとのコンビネーションは見事。まめの状態が気になるが爆発力はとてつもないものを持った投手である。
山田は145キロ前後の直球と、ツーシーム、フォークを投げ分ける投球術は一級品。投手陣の構成を考えると、クローザー役としても期待できそうだ。
鈴木も変化球の精度にやや課題があるとはいえ、指にかかった時の直球は一級品。今年の甲子園でみてきた投手と比較してもトップクラスだった。
斉藤は南北海道大会で圧巻の投球を見せた。阪神・西 純矢投手(創志学園出身)を彷彿させるような投球フォームから140キロ後半の速球と、切れ味鋭いスライダーで勝負する右の本格派だ。
門別も140キロ前半の速球と、切れ味鋭いスライダーで圧倒する好左腕で、勝負どころでの投球が冴えわたる。
西村は投手として140キロ後半の速球を投げ込むが、打者としても注目度は高い。京都大会で4本塁打を放つなど、その打撃技術は一級品。木製バットでも、どんな対応を見せるのか最も気になる。
武元は最速149キロの直球と、スライダー、フォークで圧倒する好投手。高校通算20本塁打の長打力も魅力で、木製バットでも芯をとらえれば本塁打を打てる打撃力がある。
日高は下半身と上半身が連動したフォームから繰り出す140キロ後半の速球は威力抜群。フォーク、スライダーの精度も高く、大化けする可能性が高い。
大野は躍動感のあるフォームから繰り出す140キロ前半の速球は、この世代の左腕投手でもピカイチで、甲子園に出場していればもっと騒がれておかしくない投手だ。
【捕手】
やはり甲子園通算5本塁打の松尾が一番だろう。スローイングタイムは1.7秒台を計測。抜群のキャッチング能力も秘める。
山浅も1.8秒台の強肩とシュアな打撃、相手打者の傾向をつかみ、弱点を突いたリードで、チームをベスト4に導いた守備力は一級品。
土屋は、無駄のない打撃フォームから次々と長打を打ち返す。構えが実にフラットで、速球、変化球にも対応できる技術力の高さが魅力。
【内野手】
内藤は世代トップクラスのスラッガーとして注目したい。この代表では一塁手になるのではないか。
イヒネ・イツアは、他の選手たちにはないバネの強さを生かしたプレースタイルが魅力の大型遊撃手。コンタクト力が高く、どの投手でもしっかりと結果を残せる。
戸井は攻守ともにバランスが取れている大型遊撃手で、打撃フォームを見ても木製バットの順応も早い選手。
金田は春先から本塁打を量産し始め、センバツまで10本程度だったのが、一気に高校通算28本塁打まで伸ばした。大型遊撃手で、コンタクト力が高い打撃は一級品。守備の動きも軽快で一塁手も守れる。
スラッガーが多いなか、俊足型の市橋もロマン枠に選んだ。抜群の俊足、出場選手NO.1といっていいカット打ちの技術に加え、軽快な二塁守備も一級品。大学日本代表となった駒澤大・林 琢真内野手(東邦出身)のように、超俊足で、二塁手、外野手もこなせるユーティリティー型の選手へ育つ可能性を持っている。
瀬谷は高校通算38本塁打を記録しているスラッガーで、甲子園の社(兵庫)戦では4打数4安打を記録。まだ荒削りだが、猛烈なスイングから繰り出す打球速度は超高校級。センターの守備でも1歩目の反応もよく、瀬谷だからこそ抜けなかった打球が多くあった。
海老根は抜群の脚力を持つ。長打性の打球に追いつく外野守備は今年の高校生ではNO.1。詰まっても本塁打にできるパワーも魅力。好投手から少しずつ結果を残せるようになり、波も小さくなった。
浅野は今年の甲子園で3本塁打。そのパワーだけではなく、対応力も別格だった。今年の高校生野手で木製バットでも強打を見せそうだなと思わせる選手の1人だ。
それで勝てるかといわれるのも承知。この世代で、ドラフト観点から選んでみたドリームチームを選んでみたらこの選手たちだった。改めて見ると、この世代も優秀な選手が多いことに気付かされる。
(記事=河嶋 宗一)