鉄道を真似て「指さし確認」も…センバツ出場校の外野手が語る「甲子園大声援対策法」 観客の応援で仲間の声が全然聞こえない!
水嶋悠(中央学院) ※写真は過去の取材より
現在、開催されている第96回選抜高等学校大会。外野手の動きを見ると、相手校の大声援がある中、どうやって連係を取っているのか気になった。
昨年の夏の甲子園決勝戦・慶應義塾vs仙台育英の一戦では、仙台育英のレフトとセンターの連係がうまくいかず、レフトが落球することがあった。ネット裏からみていて、あの落球は大声援の影響があったように感じられた。
センバツ出場校の外野手に感想や対策を聞いた。
どの出場校の外野手に聞いても「相手側の応援で聞こえないです」という感想がほとんどだった。中央学院のライト・水嶋 悠外野手(3年)は「この日は強風で判断が難しいのと、一塁側アルプスの耐久応援団が凄くて、何も聞こえないですね。そのため、センターの青木と一回衝突してしまいました。それからは右中間寄りの打球は青木がメインで捕ってもらいました」と、守備範囲の広い青木 勝吾外野手(3年)に任せた。
東海大福岡のライト・野上 夕輔外野手(3年)は一塁側の宇治山田商の応援をダイレクトに感じていた。
「かけ声は聞こえないので、センターの宗 翔馬さんとは中学時代は同じチーム(伊都ベースボールクラブ)でしたので、宗さんとはアイコンタクトで連係していました」
中学からの信頼関係によってコミュニケーションをとっていた。
広陵のレフト・澤田 哉斗外野手(3年)はジェスチャーを使ってやり取りする。
「相手の高知の大声援で声は聞こえないので、手で後ろ(深く守って)、前(前進して)みたいなやり取りをセンターや、ショートとかわしています。打者のタイプによって判断します」
常総学院の森田 大翔外野手(3年)は大会前から想定して練習していた。
「大会前から監督、コーチから絶対に声が聞こえないからジェスチャーをするんだぞ!といわれていて、指差し確認しながらやっていました。また試合前も監督さんから声は聞こえないから気をつけるようにといわれて、しっかりと準備できたことが良かったと思います」
常総学院の松林康徳部長はこの指差し確認の理念を話してくれた。
「パイロット、電車の運転士など、どの現場でも指差し確認をしながら、安全運行に努めるものですよね。甲子園では歓声が聞こえないからやるのではなく、野球も安全確認をして、やろうじゃないかということで、チームにやらせています」
ヒューマンエラーを防ぐために指差喚呼は危険が多い鉄道事業では必須作業と呼ばれている。野球も外傷的なアクシデントが多いスポーツであり、指差し確認は大事な行為だ。
ここまで甲子園1回戦16試合を振り返ると、重大な事故もなく各校の外野手が連係しながら、うまく守っている。これも普段の練習の賜物なのだろう。
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