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甲子園はほかの球場とはこんなに違う! マウンドの形状、視界を遮るもの、外野守備の落とし穴……元阪神投手とPL出身投手が注意点を語る!

2024.03.15


18日開幕の第96回選抜高等学校野球大会へ向けて、13日、14日で甲子園練習が行われた。出場校の練習を見ると、意識するポイントも様々だ。
昨年の明治神宮大会準優勝の作新学院は、エースの小川 哲平投手(3年)がマウンドにも上がり「実際にバッターが立って、観客がいる試合になったらどうなるかをイメージしました」と投球を行った。愛工大名電は練習で使っているラプソードを持ち込み、投手陣の投球の回転数を測っていた。

甲子園球場でプレーする上で、気をつけることは何か。地方球場にはない良さは何か。今回は元NPB選手で、甲子園球場でプレー経験のある元阪神の福永春吾氏、元DeNAの冨田 康祐氏に語ってもらった。福永氏は2017年5月6日のプロ初登板が甲子園球場。PL学園出身の冨田氏は、エースだった前田 健太投手(デトロイト・タイガース)とともに2006年センバツでセンターとしてスタメン出場。準決勝の清峰(長崎)戦ではリリーフとしてマウンドに登っている。

甲子園のマウンドは投げやすい!観客の視線が伝わる球場の形態にも慣れること

まず2人が語ったのは甲子園球場の投げやすさだ。
「同じ甲子園でも、プロと高校野球ではマウンドの硬さは違うという話を聞くので、単純な比較は出来ません。ただ、甲子園球場は阪神園芸さんがしっかりと整備してくれるので、投げやすさは全然違います」(福永氏)
「今は硬い球場が増えてきていますが、まだ僕がプレーしていた時はどの球場のマウンドも柔らかい時代。リリーフとして登板したので、マウンドは掘れていたんですが、それでも投げやすかったです。
また、ホームベースからバックネットまでの距離(18.4メートル)が結構遠い球場なので、マウンドから見ると、ホームベースが近く感じるのも投手にとって良い条件です」(冨田氏)

また、甲子園球場は他の球場よりもネット裏が低く、前列の観客席はバッテリーとの目線に近いのが特徴だ。
「マウンドからでもお客さんの視線が入りますし、しっかりと声援が響いて、緊張感も伝わってきます。投手はその雰囲気を楽しめるのが大事ではないでしょうか」(福永氏)

甲子園で起こる現象 観客の服装がボールと被ることがある

観客の目線が低い甲子園の設計は投手だけではなく、外野手の守備にも影響しているようだ。センターを守っていた冨田氏は、“あるもの”が打球判断の際の戸惑いを生んでいた。
「観客の服装ですね。観客の位置が高い球場ならばそれはないんですけど、甲子園は前列の方の服装がたまに影響することがあります。特に白の服装だと、ボールが被ってしまうので、見えにくく、出だしが少し分かりにくいところがあります。
外野守備はインパクトの瞬間、ボールがどこに飛ぶのかを判断しないといけません。打球が上がりきってからどこに打球が落下するのかを判断してからでは遅いんです」

甲子園は浜風についても気をつけなければならない。冨田氏は、甲子園練習の日が強風だったという。
「あのときはかなりの強風で、エラー連発でした。本番はそれほど風が吹いていなかったので、いつも通りの守備ができました。気をつけないといけないポイントですね」

試合中は相手側の大声援もあるが、冨田氏はレフト、センターと声とジェスチャーと身振り手振りを交えて連携をとっていた。
「僕たちの時は相手の応援で自分たちの声がかき消される経験はありませんでした。声でやり取りはできていたと思います。ただ、声だけではなく、必ずジェスチャーを加えることをやっていました」

次のページ:PL学園は歩数で定位置を把握していた

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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