「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】
工藤 勇一さん
地域で高校の野球のリーグをつくってみよう
――最後に、スポーツ界や高校野球界でも、こんなところから始めてみてはという工藤さんのアイディアを教えてください。
工藤さん:まずは地域で野球のリーグをつくって、土日の度に試合が1試合くらい組まれて、そこに色んな子どもたちが何回でも出られるといいですね。スポーツを楽しむことが原点だという大会運営の方法が必要だと思います。
でも、大会運営はますます課題にはなりますね。審判もそうですが、たいてい学校の先生が大会運営もして審判もすることになりますからね。まずは何もかも学校の先生たちに丸投げしている現状と課題を生徒も保護者も行政もすべての関係者が知って、変わっていくことを願います。こんなことを言うと多くの方々にお叱りを受けるでしょうが、トーナメント方式の「甲子園大会」が別の形の運営になる日が来てほしいと思っています。
(インタビュー・文:安田 未由)
【工藤勇一さん 著書】
『子どもたちに民主主義を教えよう――対立から合意を導く力を(あさま出版)』
<関連記事はこちら>
◆第1回:「慶應のやり方がいいとかじゃなく、野球界の今までの常識を疑ってかかってほしい」——元慶應高監督・上田誠さん
◆第2回:「『甲子園のためにすべて右ならえ』は世知辛い。野球を楽しむためのリーグがあっていい」——元慶應高監督・上田誠さん
◆第3回「その指導で、子どもは本当に野球を楽しむことができていますか?」――教育者・工藤勇一さん
◆第4回:「スポーツはだれの何のためのもの?それで本当に全員がOKだと思ってますか?」――教育者・工藤勇一さん