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根尾昂はやはりすごい!? 投手転向3年で開幕ローテへ 原点となった少年時代「雪しかなかったから」【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.10】

2024.03.12


大阪桐蔭時代の根尾昴

皆さん、こんにちは!!
『高校野球ドットコム』の河嶋 宗一です。私・河嶋が「これまでグラウンドで見てきた感動シーン」(略して『グラカン』)をみなさまにお届けしています!

3月8日、第96回選抜高等学校野球大会の抽選会が行われ、組み合わせが決まりました。いよいよ大会も近づき、選抜の話題も増えてきました。

今回は中日・根尾 昂投手を振り返っていきたいと思います。

根尾選手は2017年選抜で初めて甲子園に出場し、4度の甲子園で3度の甲子園優勝、選抜では2年連続で優勝投手に輝いています。

スキーでバランスを取る意識は投球フォームにもつながった

根尾投手は小学校時代から注目を浴び、ドラゴンズジュニアに選ばれ、2012年のジュニアトーナメントに出場しています。ジュニアトーナメントはCS放送で中継されていたので、根尾投手の投球を初めて見たのですが、110キロ前半の速球を投げる投手が多い中、120キロ後半の速球を投げていました。
ストレートの球速よりも、体全体を使った投球フォームや、バネの強さに惹かれました。勢いよく左足を上げて、軸足である右足を強くキックして、その勢いで投げる姿はかなり完成されていました。全身をうまく使って投げていて、故障のリスクも少ないフォームに見られました。

将来はプロ野球選手になるかもしれないとワクワクしながら中継を見ていました。

その後、根尾投手は飛騨高山ボーイズでプレーし、最速146キロの速球を投げ込み、スーパー中学生として取り上げられます。気になる進路は名門・大阪桐蔭でした。

当時のインタビューで進学理由をこう語ります。

「甲子園でグラウンドに立っている姿から他の高校と違って、存在感が違いました。本当にかっこよかったですね。僕もこうなれるのかなと思いました」

1年夏からベンチ入りし、1年秋から主力選手として出場。1年秋の近畿大会準々決勝では4番ショートでスタメン出場され、本塁打を放つなど勝負強さを発揮し、勝利に貢献。センバツ出場につなげました。

2016年12月に初めて根尾選手に取材を行ったのですが、ダイナミックな投球フォームの原点がよく分かりました。

根尾選手は小学校の時からスキーに取り組み、中学校時代には全国大会にも出場した経験もあります。スキーが投球フォームを作り上げる基礎になったようです。

「飛騨は冬場になるとずっと雪なので、スキーしかやることがありませんでした。小学生の時から投球フォームのバランスを大事にしていました。
バランスを大事にする考えはスキーの練習があったからだと思います。スキーの姿勢やジャンプするときに気を付けないといけないのは、体の軸が真っすぐになること。それができるための基礎練習をよくやっていましたので、それが野球につながったのかなと思います。
軸がまっすぐな投げ方をするには、猫背にならないことです。自分にとって動きにくい形は、投球動作において妨げになりますので。猫背になると投げにくいので、僕は動きやすさと、効率良く動けるフォームと姿勢を求めていました」

それが120キロ後半の速球を投げ込む原点となり、成長期となった中学生には146キロまで達します。

インタビューでの投球フォームの話を聞いて、自分の技術を確立していることに関心させられました。

大阪桐蔭時代の根尾 昴

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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