Column

西武のローテーションを守り続ける松本 航!大学時代から際立っていた自己管理能力の高さ【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.7】

2024.02.18


日本体育大時代の松本 航

皆さん、こんにちは!!
『高校野球ドットコム』の河嶋宗一です。私・河嶋が「これまでグラウンドで見てきた感動シーン」(略して『グラカン』)をみなさまにお届けしています!

今週の注目トピックといえば、3月6日、7日に開催される侍ジャパン日本代表vs欧州選抜の出場選手が発表され、明治大・宗山 塁内野手(広陵)ら大学生4人がフル代表に選ばれたことですね。もちろん4人は大学日本代表にも選ばれることでしょう。

今回は大学代表の選手を取材した思い出を語っていきます。
取り上げるのは西武の松本 航投手(明石商-日本体育大)になります。

日本体育大時代の4年生の時に取材して、投球フォームにしても、練習の取り組み、日常生活にしてもここまで考えて取り組んでいるのかと驚かされた選手です。

変わった練習法も自分の動きを習慣化させるため

松本投手は朝来市立梁瀬中時代から兵庫県内で評判の好投手で、西武で再びチームメイトとなった甲斐野 央投手(東洋大姫路-東洋大-ソフトバンク)とともにKボールの選抜チーム・MAJOR HYOUGOのエースとして活躍し、全国大会優勝を経験します。

進学先は明石商。現在は兵庫を代表する強豪校として注目されていますが、明徳義塾中で監督をしていた狭間 善徳監督のもと、着々と強化をしている時期での入学でした。明石商での3年間で甲子園出場はありませんでしたが、順調に成長し、140キロ中盤の速球を投げ込む本格派右腕としてプロのスカウトからも注目される存在になります。しかし、プロ志望届は提出せず、狭間監督の母校でもある日本体育大に進みます。

日本体育大では順調に成長し、大学3年にはロッテ・東妻 勇輔投手(智辯和歌山)の二枚看板で2017年の明治神宮大会に優勝。大学4年には大学日本代表に選ばれました。当時の松本投手は最速155キロを誇る速球投手として呼ばれていましたが、実際は140キロ後半の速球、カーブ、カットボール、ツーシーム、フォークなど多彩な変化球を操る「総合力の高い投手」という印象を受けました。高校野球をメインに見ている私にとっては、制球力の高さといい、マウンド上での落ち着きといい、とても大人びた投手に見えました。この完成度の高さがどうやって生まれているのか。ドラフト前に取材したいと思い、2018年9月に松本投手の取材が実現しました。

一つ一つの練習を見てこだわりが感じられる投手だと感じました。

まずキャッチボールでは半身の状態で投げていました。通常、半身でキャッチボールする投手は踏み出す足を開いて投げることがあるのですが、松本投手は開かないで投げていたのが気になりました。この動きは体の開きを抑える目的がありました。
「投球フォームの中でパワーロスをしないように、しっかり打者方向に力が伝わるように右足の送り出しをすることと、あとは自分の芯のちっちゃい動きで大きい力を出すということを意識してやっています」
また遠投を見ると、センターバックスクリーン近くからライトのポール際までの距離から助走無しでノーバウンド投球ができていました。かなり回転の良いボールだったことを覚えています。
「自分の場合、助走をつけるとあまり投げられないタイプ。ノーステップの方が身体をうまく使えるので、その投げ方をしています。遠投での目的は、身体を大きく使うこと。この時、意識しているのは胸郭の使い方。胸をしっかり開いて投げています」

その後、投球練習に入ったのですが、ドラフト1位に相応しいストレート、変化球の精度がありました。捕手の真後ろから見ていて、ビデオ撮影もしていたのですが、特にインコースのストレートは、私だけではなく、ネット越しから見ていた部員も唸るほどでした。

そんな松本投手が投球時に心掛けていることはお腹に力を入れること。左肩を開かないようにして半身を意識して投げること。リーグ戦でも常にそれができるように心掛け、自分では気づかないこともあるので、コーチやチームメイトにも見てもらって、すぐに修正できるようにしてもらっていました。

日本体育大時代の松本 航

次のページ:自分にとってやりやすい調整法がプロでもローテーションを守り続ける原動力に

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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