Column

西武のローテーションを守り続ける松本 航!大学時代から際立っていた自己管理能力の高さ【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.7】

2024.02.18


日本体育大時代の松本 航

自分にとってやりやすい調整法がプロでもローテーションを守り続ける原動力に

松本投手は常に自分の思い通りフォームが投げられるために試行錯誤した結果が上記にも説明した練習法だったのです。

「習慣化ではないですが、最終学年でのテーマはマウンドに上がれば、自分の動作を意識せずにできることでした。それができた上で調子の善し悪しがありますので、調子が悪ければ、修正方法を見出すのが僕の課題となりました」

こうした中で松本投手は大学日本代表にも選ばれたのです。そして調子を上げるために普段の生活からも意識します。例えば食事面について、栄養士からアドバイスをもらった上で、意識していたことを語ってくれました。
「栄養士さんからは、一日一日、この栄養素を取って野菜はこれぐらいなど。必要な摂取量の決まりというのがあります。
ただ学生はお金の面もあるので、理想通りには行きません。1週間単位で考えて、今日は焼き肉をいっぱい食べたから、この日は野菜中心で、みたいな。きっちりやるのも難しいので、この日はこれを食べたから、今日はこういうふうに摂ろうという感じで意識したりはしています」

試合当日にもしっかりとルーティンを決めていました。

「僕は先発での登板が多いので、試合時間も決まっています。そうなると何時間前からという指定もあるので、中継ぎとかは難しいところがあるんですが、僕の場合は作業化しているというか、何分前にアップして、何時からキャッチボールに入って、何分前にベンチに戻ってきて、何分前にピッチング始めてとかしたら、その作業をこなすだけなので、変なことを考えないんです。”今日打たれたらどうしよう”とか”今日勝てなかったらどうしよう”とか、そういう不安要素を考えちゃうと影響してしまうので、考えないように淡々とこなすように意識します」

自分の取り組みをここまで言語化できる。実践している取り組みも、試行錯誤して、自分にとってやりやすいものを見つけて、それを継続をしていました。松本投手が大学4年間かけて編み出した調整術はプロの世界で生きることになります。

西武から1位指名を受けた松本投手はプロ1年目から一軍で登板。5年を終えて、長期離脱もなく、通算36勝33敗。2021年には初の10勝を挙げており、プロ2年目の2020年から4年連続で100イニング以上を投げており、頑丈さが伺えます。

二桁勝利は1回、通算防御率3.80と4点近いこともあり、物足りなさを感じる西武ファンもいるかもしれません。ただ、入れ替わりが激しいNPBの世界で、ローテーションを守り続けているのはこうした自己管理能力の高さがあるといえます。

今年でプロ6年目。今年は3年ぶりの二桁勝利。そしてプロ入り後初の防御率2点台を残し、西武ファンを喜ばせる活躍を見せてほしいと思います。

松本 航

*『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。

<関連記事はこちら>
◆自分の動きを習慣化させる 大学ナンバーワン実戦派右腕・松本 航 投手(日本体育大)の投球論 vol.1
◆大学ナンバーワン実戦派右腕・松本 航 投手(日本体育大)が投球フォーム論・変化球論を伝授 vol.2
◆大学ナンバーワン実戦派右腕・松本 航 選手(日本体育大)が語る好不調の波を小さくする「調整術」と「割り切り」 vol.3

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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