W規定で無冠だった二刀流・大谷翔平、来年はWBCで世界一を目指す
MVP級の活躍だった今シーズン
今シーズンのエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)は二刀流として見ると、昨シーズン以上に投打にわたってトップクラスの成績を残した。歴史的に見ても、伝説的な活躍を見せたシーズンといっても過言ではない。果たして世界的にここまでスター性と実力を兼ね備えた選手はいただろうか。
NPBで例えるなら、投手としてはオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)と同等の実力で、野手としてはヤクルト・村上 宗隆内野手(九州学院出身)より上の実力がある選手が二刀流として活躍している。
大谷の存在自体が唯一無二である。打撃面では2年連続30本塁打を記録。投手としても、160キロ以上の直球に、ツーシーム、スプリット、カットボールなどを織り交ぜて、世界一に輝いたアストロズ打線に対しても臆することなく抑えた。シーズン中のコンディションを見計らいながら、スタイルを変えて結果を残していたことも見受けられた。器用貧乏とは違い、高いレベルで選手としての引き出しの多さもあったシーズンだった。サイ・ヤング賞にもノミネートされるなど、間違いないなく現在の野球選手で見ると、「世界最高の野球選手」である。
投手成績を見ると、15勝と防御率2.33はリーグ4位。219奪三振はリーグ3位を記録して、奪三振率11.87に関してはリーグ1位である。打撃成績は、打率.273こそリーグ25位であるが、34本塁打はリーグ4位。95点はリーグ7位を記録し、長打率.519とOPS.875はリーグ5位を記録した。長丁場のシーズンで二刀流として、投打においてここまで満遍なくリーグでトップクラスの成績を残すことは、凄まじいことである。成績もそうだが、600打席以上立ちながら160回以上投げた上で、二刀流として高いパフォーマンスを維持し続けた点を見ると、改めてフィジカル面の凄さにも驚かされる。
1人の選手が野球最高峰の舞台であるMLBにおいて、投打でここまでの成績を残したことはあっただろうか。対抗馬だったヤンキースのアーロン・ジャッジが本塁打記録を樹立するなど、凄かったことも認めるが、リーグのホームラン新記録を達成した選手であるものの、MLBにおいて史上初のダブル規定到達の大谷の方が凄い選手なのは、普通に考えればわかることではないだろうか。どちらが、今後再現性が難しく、すごい記録なのかは一目瞭然なのはわかるはずだ。
大谷が2年連続で成し遂げたことが凄すぎるが故に、大谷に対する評価が厳しくなっていることもあるだろう。しかし、野球やベースボールにおいて求められることは、打って投げて走って守ることだ。その求められていることを、1人で成し遂げているからこそ、「世界最高野球選手」なのは間違いない。
ただ、この表彰に限らず一般的に扱われる評価の課題点としても見受けられた。実際のところ、昨シーズンの成績を基準値としたハードルで見れば、及第点だったものの全てが優秀であるが故に、突出して尖った能力を持つ選手より、評価がされないこともある。そこに、二刀流に対する評価の難しさも重なったのだろう。
今後はさらなるレベルアップをした上で、打者としては3割40本塁打100打点、投手としては15勝200奪三振防御率2点台前半と言った誰しもが認める圧倒的な成績を残して、大谷が正当な評価をされることを願いたい。
WBC出場を固めて日本代表として世界一へ
来年のWBC出場を固めた。もちろん大きなニュースにもなった。世界的に見てもこれだけのカリスマ性と実力を兼ね備えて、キャリアとしてみても全盛期にWBCに出場するのは、イチローや松坂 大輔以来ではないだろうか。
大谷自身、前回大会では足の故障により、大会直前に辞退したこともあり、強い気持ちで望むだろう。さらに、日本ハム時代以来の栗山 英樹氏の下でプレーをすることになり、注目度も高くなる。
大谷の他に、カブス・鈴木 誠也外野手(二松学舎大附出身)や、村上 宗隆といった強打者もいる。投手陣ではパドレス・ダルビッシュ 有投手(東北高出身)も参加表明。ダルビッシュ、大谷はもちろんのこと、史上初の2年連続投手4冠を達成した山本 由伸や、完全試合を達成したロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡出身)も選ばれる可能性は高い。ダルビッシュ、大谷、山本 由伸、佐々木朗の夢の先発ローテーションにも期待していきたい。そして「史上最強の日本代表」を作り、世界一奪還をしてほしい。
(記事:ゴジキ)