センバツ4強・浦和学院が初戦突破 143キロ右腕、背番号12の控え捕手が試合作る
浦和学院 先発・浅田 康成
<春季関東地区高校野球大会:浦和学院4-2桐蔭学園>◇22日◇2回戦◇[stadium]栃木県総合運動公園[/stadium]
センバツ4強の浦和学院(埼玉)が終盤戦を制し、初戦突破を果たした。5回までは両者無得点も、6回に9番・大内 碧真内野手(3年)のソロ本塁打で先制すると、4番・鍋倉 和弘内野手(3年)、代打・高山 維月捕手(3年)が適時打を放つなど打線が繋がった。
先制ソロを放った大内は「みんな流れを変える一打が欲しいと思っていた。自分がその一本を出すことができてよかった」と語る。浦和学院を率いる森大監督も「9番打者でも本塁打が出る打線なんだぞということを示すことができた」と選手たちの成長ぶりを実感している。
今大会については「選手たちの価値が上がる公式戦だと捉えています」と、スタメンにもセンバツ、春の県大会を戦ったレギュラー選手ではない起用もあった。「7番・左翼」の背番号3をつけた三井 雄心外野手(1年)については「外野守備に不安もありましたが、思い切りの良いバッターなので結果を恐れずにプレーしてほしいと思っていました。次の世代のことも考えて、経験を積んでほしいと思います」と期待をしている。守備ではミスもあったが、1年生らしいハツラツとした姿勢が印象的だった。
6番にはU-18日本代表候補にも名を連ねる高山 維月捕手(3年)に代わって、背番号12の近内 丈捕手(3年)をスタメン起用した。近内はこれが公式戦初出場だった。福島・郡山ボーイズ出身の近内は「関東で勝負したかった。一番最初に声をかけてくださったのが浦和学院だったので」と福島を飛び出し埼玉の強豪の門を叩いた。182センチ、87キロの恵まれた体格からの長打力が持ち味の選手だ。
浦和学院6番・近内 丈
同級生の高山については「常に高山に勝てる部分はないかと考えながら練習してきました」とライバルとして刺激を受けていた。守備では先発・浅田 康成投手(3年)を6回まで無失点でリードした。「前日もずっとデータを見て研究していました。スプリットが効果的に使えた」と笑顔で振り返った。打席では2打数無安打も「いい経験になった」と最後の夏に向けてレギュラー奪取に燃えている。
背番号10をつけた先発の浅田は130キロ後半の直球を軸に桐蔭学園打線を8回まで無失点と快投。9回に2失点を喫するも、なんとか後続を断ち、完投勝利を果たした。
最速143キロを誇る直球に加え、スプリットを低めに集め6三振を奪った。ピンチの場面を作った最終回は、エース宮城 誇南投手(3年)がベンチ前でキャッチボールを始めていたことを知っていた。「目に入って、気合が入りました。あえてやってくれたんだと思います」と最後までマウンドを譲らなかった。
今チームはエース宮城、二刀流・金田 優太投手(3年)を中心にセンバツ4強入りを果たした。春の県大会では決勝で芳野 大輝投手(3年)が好投。投手陣では芳野と一番仲が良く「芳野とはいつも宮城に勝とうと言いながら練習しています」と切磋琢磨している。
浦和学院にとって、初戦突破という結果だけでなく収穫も多かった。準々決勝は昨秋関東王者の明秀日立(茨城)。センバツ4強チームとして思い切りぶつかる。
(記事:藤木 拓弥)