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スーパー中学生投手はもう早熟ではない…佐々木朗、奥川、森木など好投手たちが順調に成長中

2022.04.04

スーパー中学生投手はもう早熟ではない…佐々木朗、奥川、森木など好投手たちが順調に成長中 | 高校野球ドットコム

 野球界を賑わすスーパー中学生投手の存在。過去にも、そういう投手はいたものの、阪神・森木 大智投手(高知出身)の大活躍で、そのブランドイメージが大幅アップした。

 スーパー中学生は早熟というイメージが非常に強いが、近年、野球界を盛り上げる若手投手たちを振り返ると、中学時代から「別格」だった投手が多い。完全試合を達成したロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡高出身)も中学時代、140キロ台の速球を投げており、明らかにレベルが違っていた。ヤクルト・奥川 恭伸投手(星稜出身)も中学時代に全国制覇を経験した。

 21年DeNA1位の小園 健太投手(市立和歌山出身)は、貝塚ヤング時代に全国優勝を経験。高校1年には140キロを超えていた。オリックスの若き左腕・宮城 大弥投手(興南出身)も、沖縄の中学硬式関係者によると、宜野湾ポニー時代から別格の逸材だったという。

 阪神期待の左腕・及川 雅貴投手(横浜高出身)も匝瑳シニア時代から140キロ前後の速球を投げる投手として評判だった。横浜高の3年間で順調に球速面ではレベルアップ。内容面で伸び悩みはあったとはいえ、重篤な怪我をせずにプロ入りができた。

 スーパー中学生の象徴ともいえるのは森木だ。高知中時代に軟式で150キロを計測。当時から、しなやかなフォームから繰り出す速球と変化球は別格のものがあり、高知高の3年間でも着実に進化を見せ、150キロ前後の速球と、多彩な変化球を操る投球は明らかに高校生のレベルを超えていた。こうした進化ができたのはストイックな意識の高さと、濱口監督をはじめとした高知高首脳陣の指導、マネジメントによる部分が大きいだろう。その森木とともに全国優勝を競った伊藤 樹投手(仙台育英ー早稲田大)は、中学時代から最速144キロをマークし、華麗な投球フォームから繰り出される伸びのある直球は明らかにレベルが違った。

 仙台育英でもしっかりと成長を見せ、140キロ後半の速球を投げ込むまでになり、3年春のセンバツではベスト8進出に貢献。早稲田大ではゴールデンルーキーとして140キロ後半の速球を投げ込み、快投を見せている。


 現役球児の成長も素晴らしい。
近江(滋賀)のエースで、今や22年の高校球界の顔ともいえる山田 陽翔投手(3年)は大津瀬田ボーイズ時代から140キロ超えの速球を投げる投手として評判で、民放の企画でスーパー中学生として出演していた。その後は、近江のエースとして、2年夏はベスト4、3年春は準優勝。ストイックな取り組みで、総合力を大きくアップさせてきた。

 大阪桐蔭前田 悠伍投手(2年)も、湖北ボーイズ時代から中学、そしてリクルートする高校野球関係者から2020年の中学No.1左腕として騒がれていた。大阪桐蔭入学後も、その才能をしっかりと伸ばし、今年のセンバツでは、13回を投げて、23奪三振、わずか1失点と圧巻の投手成績で、センバツ優勝に貢献した。

 今年の新入生にも楽しみな投手がいる。作新学院(栃木)に進んだ小川 哲平投手(1年)は落合中時代に144キロを計測した。183センチ、85キロと明らかに中学生とは思えない体格から威力抜群の直球を投げ込む。沖縄・美東中の津嘉山 憲志郎投手(1年)は、178センチ、100キロという規格外の体型から最速148キロをマーク。破壊力抜群の直球は、とても中学生とは思えない。選手のスケールを伸ばすことに定評がある神戸国際大附進学が決まった。

 東海大相模に進んだ大型左腕・藤田 琉生投手(1年)は湘南ボーイズ時代で、130キロ後半を計測。球速表示以上に球質が良く、ラプソードで測定すると、4球連続で、回転効率100%の直球を投げ込むなど、素材、技術ともに抜群の逸材だ。

 鯖江ボーイズ時代から評判の左腕だった古谷 龍斗投手(1年)は、愛工大名電に進学し、早くもこの春からベンチ入りし、公式戦登板も経験した。中学時代の最速は141キロ。切れ味抜群のカーブの精度の高さも魅力だ。また神戸中央シニアの大型左腕・安福 拓海投手も144キロの速球、急激に曲がるスライダーの切れ味も抜群。進学先でどんな成長を見せるか期待したい。そして常時130キロ後半の速球を投げ込み話題だった紺野 凌生投手(宮城仙北ボーイズ)も横浜に進学し、1年春からベンチ入りを果たしている。

 プロで活躍する投手や、高校野球で頂点に立つ投手を見ると、高校野球の現場の指導力、管理マネジメントのレベルは間違いなく高まっている。まだまだ課題はあるかもしれないが、こうした才能を無駄なく伸ばしている状況を見ると、選手たちを指導してきた指導者の方々や、選手に携わるトレーナーの方々に感謝である。

 もちろん、スーパー中学生ではなくても、大きく成長している投手は多くいる。これからも指導法がアップデートし、日本の野球界のレベルが引き上がることを期待したい。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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