戦国千葉2020年の勢力図を紹介!
強豪校が多く点在し、群雄割拠な地域から「戦国千葉」と呼ばれている千葉県。
今回は2020年の千葉の勢力図を紹介したい。
千葉県の勢力図を紹介!
平成後期から木更津総合、習志野が第一勢力に
まず過去5年の千葉の優勝校を振り返っていきたい。
2015年春 専大松戸 夏 専大松戸 秋 木更津総合
2016年春 東海大市原望洋 夏 木更津総合 秋 東海大市原望洋
2017年春 専大松戸 夏 木更津総合 秋 拓大紅陵
2018年春 木更津総合 夏 木更津総合 中央学院 秋 中央学院
2019年春 習志野 夏 習志野 秋 習志野
こうしてみていくと現在の千葉の勢力図というのが見えてくる。
【第一勢力】
夏の強さや全国での実績を見て、第一勢力は
・木更津総合
・習志野
だといえる。
まず木更津総合は2003年の夏の甲子園初出場から計7回、選抜2回出場を果たしている。かつて千葉は長い期間、連続出場がなかった時期が10年以上も続いたこともあった。それを考えると木更津総合の強さは突出している。かつての木更津総合の選手は県内中心で、県外の選手は少なかった。
だが、ここにきて県外の選手に入るレベルが高くなっている。その背景として、進学の強さがある。2016年の夏のエース・早川隆久が早稲田大に進んだように、能力が高い選手が強豪大に進むようになった木更津総合は何より人間育成に厳しく取り組んでいる。
中学生のリクルートの基準も、能力の高さではなく、取り組む姿勢を厳しくチェックしている。
実際に木更津総合の選手たちと接しても、非常に真面目で一生懸命取り組む選手たちばかりで、野球関係者からの評判も高い。
現在の県外選手も進学傾向が強く、甲子園出場レベルの強豪校の誘いを蹴って選ぶ球児も何人かいる。
2019年、3季連続で優勝を飾った習志野はかつての強さを取り戻してきた。選手のレベルも上がってきたのは確かだが、試合前の準備、試合中の気配り、目配りを見ても他校と比べても突出している。
センバツ準優勝したときのチームを見たことがあるが、たとえばノックでもランナーをつけて行うので、内野ノック、ベースカバーでもストップウォッチを計って精度を高めていた。練習の緊張感もとてつもないものがあり、これが勝負強さにつながっていることがうかがえた。
【第二勢力】
・専大松戸
・中央学院
・拓大紅陵
・銚子商
・成田
・東海大市原望洋
まず専大松戸は近年、多くのプロ野球選手を輩出しているように、選手のポテンシャルの高さに関しては県内ナンバーワン。特に冬から春にかけての選手の成長度は著しいものがあり、それが春の強さにつながっている。春、夏のどちらかで甲子園出場がさらに多くなれば、第一勢力に入っていてもおかしくない。
中央学院は2016年秋優勝、そして2018年は春夏で連続で甲子園に出場したように、非常に勢いがある。多くのスタッフを用意し、選手の能力を引き上げることができている。
かつて1990年代をリードした拓大紅陵は2017年秋優勝、2019年秋準優勝したように復活の兆しを見せている。また元プロの和田監督が就任し、改革を進めているが、再び選手の力量、野球の質も第一勢力に並ぶ強いチームになるのか注目したい。
1974年夏に甲子園優勝経験のある銚子商は2018年秋から二季連続でベスト4入りと復活の兆しを見せている。今年も投打ともに能力の高い選手を育成している。
成田は千葉ロッテの唐川侑己、北海道日本ハムの田宮裕涼など能力の高い選手を育成し、上位進出の常連となった成田。フィジカル強化を行うチームで、グラウンドにはトレーニング器具も豊富で、トレーナーの指導のもと、1年間かけて選手を育てている。
東海大市原望洋も2017年の選抜出場以降から、毎年ベスト8圏内に顔を出している。あと一歩、甲子園を狙うには投打であっと言わせるプレーヤーの登場だろう。
[page_break:第二勢力~第三勢力、千葉の強豪校の変遷を紹介!]第二勢力~第三勢力、千葉の強豪校の変遷を紹介!
千葉第三勢力
【第三勢力】
・千葉敬愛
・市立船橋
・八千代松陰
・千葉明徳
・千葉黎明
・志学館
・千葉敬愛
過去には木更津総合、習志野といった第一勢力を破ったこともあり、大物食いに定評がある。
・市立船橋
過去には3年連続甲子園出場もある名門校。2016年夏には準優勝。選手層も厚く、毎年投打でレベルが高い選手を育てている。
昨夏専大松戸を破るなど快進撃を続け、準優勝。近年はベスト8に入ることも多くなり、実力をつけている。
・千葉明徳
投手は140キロ、打者はスラッガータイプと投打で能力が高い選手を育てるメソッドを確立。過去には関東大会出場もあり、千葉市を代表する強豪校へ成長してきた。
2016年春に関東大会出場するなど、毎年ベスト4~8圏内に入っている。また、県外や千葉の都心部の選手が千葉北東部の八街市にある千葉黎明に進学する選手が現れるなど、10数年前と比べて、上昇志向が強い中学球児が門をたたくチームになってきている。
長年、ベスト16~8圏内に入っており、最近は強打者、速球投手が増えてきた。学校法人が拓大紅陵と同じでグラウンドも近くにあるのが特徴だ。
千葉は戦国千葉と呼ばれるようになったが、ここまで群雄割拠になったのは、これまでの歴史を振り返る必要がある。
まず千葉をけん引してきたのが、銚子商、習志野だった。まず銚子商は1965年夏に木樽正明(元ロッテ)を擁し、準優勝。その2年後に習志野が甲子園優勝。千葉県勢の初優勝したことで、勢いに乗っていく。1973年、銚子商が江川卓擁する作新学院を破り、ベスト8。翌年1974年に甲子園優勝。そして、1975年には習志野が優勝した。
当時の習志野、銚子商の野球は時代の先端をいっており、この二校に追いつくために各校が切磋琢磨しながら県内のレベルを底上げしてきた。そして1980年代には八千代松陰、千葉商大付、拓大紅陵、東海大浦安など私学が台頭。また印旛も出てくるので、千葉はさらに激しい争いが繰り広げられるようになった。
1992年夏は拓大紅陵、1995年春は銚子商が準優勝、1996年から市立船橋が3連覇を果たし、盛り上がりを見せた。2000年代は千葉経大附が台頭。2004年~2008年までの5年間で、夏3回、春2回。また成田も2006年から2年連続でセンバツに出場しているが、成田は夏の出場がなく、そして千葉経大附は連続出場がないように1999年~2011年まで連続出場がなく、この期間で「戦国千葉」のフレーズが定着するようになった。2012年から木更津総合が連続出場するようになり、木更津総合の黄金時代に入ったが、専大松戸、中央学院、流通経済大柏といった東葛地域の私学が力をつけ、千葉県は8ブロックあるが、全地区の学校の実力、選手のレベルが底上げされており、木更津総合、習志野が一歩リードしているように見えるが、過去の千葉の野球史を見れば、短期間で連続で甲子園出場していたチームが、その後、甲子園から遠ざかっている例を見ればわかるように、何かをきっかけに一気に勢力図は変わる可能性は十分にある。
千葉県の高校野球は球児、指導者たちの熱い想い、熱い戦いの積み重ねで、作られてきた。
今年はどういう形になるかまだ分からない。もし試合という形ができれば、そこから新たな歴史、名勝負が生まれることを期待したい。
(文=河嶋 宗一)
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