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「必然の野球」で常総学院の壁を越え、2度目の夏の甲子園へ!霞ヶ浦(茨城)【後編】

2019.07.12

 前編では春からチームを立て直してきた霞ヶ浦自慢のエース・鈴木寛人の台頭から始まり、投手育成のメソッドを紹介した。後編ではこの夏へ向けてチームではどんな意識を持っているのか。その深層を紐解きたい。

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自らで越えていくしかない

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バッティング練習に打ち込む霞ヶ浦の選手たち

 また、この室内練習場そのものも素晴らしく、マシンで4~5カ所の打ち込みが出来るほか、内野のダイヤモンドは十分に取れるので連携や守備練習は雨などでグラウンドが使用できない時でも大丈夫だ。近隣でプロ野球のファーム(イースタン・リーグ)の試合がある時などは、「もし、雨だったら、調整のために使用させてくれないか」と依頼されるほどの施設なのである。

 「今年の茨城県は、藤代水戸商にセンバツに出た石岡一など公立勢も強いし好チームになっていますけれども、やはり個々の能力ということで言えば常総学院が抜けてタレントぞろいです。やはり、甲子園ということを意識したら、茨城県の場合は最終的には常総学院という壁を自力で越えられる力をつけなくてはいけません。意識としても、同じです。だから、ミーティングでも、そのことは具体的に口に出して言います」

 霞ヶ浦としては、あくまでも打倒常総学院の先に甲子園出場があると見ている。そして、その意識を育てて高めていくことも、高橋監督は大事な要素だと考えている。

 日々の練習では、技術的なことに関しては、若いコーチ陣がシートノックなどでも徹底して鍛え込んでいる。特に、シートノックでは、走者をつけてのケース守備練習を徹底している。ここでは、外野からの中継プレーでカットマンの入る位置や判断、内野ゴロでも近年のゴロGOベースの野球に対して、いかに先の塁で走者を刺せるのかということを念頭に入れている。

 「同じような練習が続くけれども、その都度その都度、これはどうなんだろうということを考えながらやっていこう。頭を使ってやるということは、そういうことだから、ただ繰り返してやっているだけじゃないんだ」

 そういう意識を徹底して叩き込んでいる。

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「必然の野球」で2度目の甲子園を

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甲子園を目指して一歩ずつ進んでいく!

 高橋監督は、学校では副校長という肩書でもあり、体育関係のすべての責任を負うという立場でもあるので、提出書類などはすべて目を通さなくてはならない。だから、その確認などで、練習中にでも携帯が鳴ってすぐに職員室や事務室に呼ばれることもあるなど校務が多忙だ。それでも、「強化合宿期間中は気を使ってくれたのか、あまりそういう(事務作業などで時間を取られる)ことがなく、じっくり練習を見られたので助かった」と言う。

 6日からの大会を前に、チームもほぼ仕上がってきているので、ここからは投手陣にはあまり無理をさせないで行く方針だという。だから、シート打撃などもあえて行わず、夏のメンバー候補はフリー打撃は二人一組で1打席3本ずつで交代して1ゲージ6分で3ゲージ回るという練習で、集中力と修正力を養っていく。

 「今年のチームは、野手で主力となっていく選手に、気分屋の子が多かったので、春以降の練習では気持ちを追い込んでいくということにも重点を置いていました。そうした中で、ようやく意識が落ち着いてきたし、本番へ向けてはいい感じになってきたのではないでしょうか」

 過去2年、春秋の大会でコンスタントに4強以上に残ってきた霞ヶ浦だったのだが、今年のチームはいずれもそこに届いていない。そういう中で迎える夏だが、ここへきていい感触で本番に突入出来そうな、そんな雰囲気になってきたということである。

 学校は1946年に創立されて、レスリング部やヨット部は全国的な強豪で幾多の五輪選手も輩出している。また、かつて高橋祐二監督も指導していた男子バレーボール部も全国大会に何度も出場を果たしている。

 2001年に就任して18年目となる高橋監督だ。理論と分析で勝てるということを納得させながら、「必然の野球」で2度目の甲子園を掴み取りたい。

(取材・手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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