Column

【BIG5特集】奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー

2019.06.15

2019年度の高校生投手『BIG5』はズバリこの選手だ!
佐々木朗希大船渡
奥川恭伸星稜
西純矢創志学園
及川雅貴横浜
井上広輝日大三

 高校野球ドットコムでは、2019年度のBIG5ピッチャーたちの大会直前の仕上がり状況や、夏に向けての歩みを5日間連続でレポート!
 第四弾は、奥川恭伸星稜)だ!今春の選抜甲子園、1回戦の履正社戦では圧巻のピッチングを見せた奥川だが、今夏はどんなピッチングを見せてくれるだろうか。

投球も受け答えも高校生とは思えない奥川

【BIG5特集】奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー | 高校野球ドットコム
北信越大会での奥川恭伸(星稜)

 奥川の投球、そして奥川を取材するたびにいつも感じていることがある。
 本当に高校生なのか?と。最速150キロだが、試合展開に応じて、130キロ後半〜140キロ前半、145キロ前後、140キロ後半と3段階で投げ分け、135キロ前後のフォーク、130キロ前半の縦横のスライダー、100キロ台のカーブと変化球は縦横緩急を使える。今年のピッチングで驚いたのは、センバツで左打者の外角ボールゾーンからストライクに入るスライダーで三振に奪った。いわゆる「バックドア」だ。リードする山瀬慎之助も「あの配球は奥川だからこそできる配球です。すごすぎです」とバックドアを実践するエースの投球に舌を巻いていた。

 また、センバツの履正社戦でいきなり150キロ級の速球を見せたが、これは観客を味方につけて、チームに勢いを与えるためだ。

 試合の雰囲気を読んで、どういう投球をすれば、勝利に導けるか、1試合ごとにテーマを設けて、さらに実践できるのが奥川なのだ。

 また自分の投球フォームをしっかりと言語化できるのも魅力だ。リリースで意識していることについて。
 「僕はボールの重みを感じるリリースができるように意識しています。僕の場合、手首がうまく使えないとロックした感じの腕の振りになってしまいます。連続写真で見ると同じように見えるかもしれませんが、実は感覚的に全く違います。理想はムチをしならせるように腕を振ること。肘がうまく使えて、回転の良いボールを投げられた時というのは、ボールの重みを感じることができるんです」

 さらに奥川の投球フォームといえば、ステップ幅が狭い投球フォームが特徴。これは明確な意図がある。
 「『上体が高い』『手投げだ』と周りにはけっこう言われるんですが、自分が凄く大事にしてるのは、左足の付け根のところにしっかり体重を乗せることなんです。重心の高さは、今のレベルではあまり考えていないです。今のフォームのメリットとして、角度をつけるボールとかもできると思うので、重心の高さというのは考えずに、しっかりと左足の付け根に重心が乗っかることを考えています」

 今年の選抜では18イニングで、27奪三振、自責点2、四死球3と抜群の安定感を発揮。自分の動きを明確な意図を持って説明できる投手は活躍できるのだ。

[page_break:完全復活を印象づけた北信越大会]

完全復活を印象づけた北信越大会

【BIG5特集】奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー | 高校野球ドットコム
高校日本代表研修合宿での奥川恭伸(星稜)

 その奥川はセンバツ後に肩の違和感を訴え、しばらく戦線離脱していたが、北信越大会で復帰。

 初戦の砺波工戦で、6回を投げ、6奪三振、無四球、無失点の快投を見せると、決勝戦の敦賀気比戦では序盤に1点を失ったが、尻上がりに調子を挙げ、終盤には最速150キロのストレートを連発し、敦賀気比打線を圧倒。8回裏の3番杉田 翔太郎の三振から5者連続三振で試合を締め、二季連続の北信越大会優勝に大きく貢献した奥川。2試合の登板で、15イニング、17奪三振、防御率0.60、奪三振率10.20。そして投手の制球力を示す指標の1つである「K/BB」は無四球なので、驚異の17.00!3.5を超えると優秀と言われるだけに改めて奥川の凄さを見せた大会となった。

 ストレートの球威、スライダーの切れ味はマックスに近いものがあり、完投できたこともあり、完全復活を印象付ける大会となった。

 心技体を兼ね備えた奥川はどんな投球を表現してくれるのか。この夏も高校生とは思えないテクニカルなピッチングを存分に見せ、石川県勢初の全国優勝を目指す。

文=河嶋宗一

 ~BIG5特集~
6月12日(水)昼12時配信…井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ!
6月13日(木)昼12時配信…西純矢(創志学園) 厳しいマークを乗り越え、昨年より進化したピッチングを
6月14日(金)昼12時配信…及川雅貴(横浜)復活・覚醒をかけたモデルチェンジ
6月15日(土)昼12時配信…奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー
6月16日(日)昼12時配信…佐々木朗希(大船渡)令和元年の至宝!この夏、全国と世界へ羽ばたけ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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