Column

【BIG5特集】及川雅貴(横浜)「復活・覚醒をかけたモデルチェンジ」

2019.06.14

 2019年度の高校生投手『BIG5』はズバリこの選手だ!
佐々木朗希大船渡
奥川恭伸星稜
西純矢創志学園
及川雅貴横浜
井上広輝日大三

 高校野球ドットコムでは、2019年度のBIG5ピッチャーたちの大会直前の仕上がり状況や、夏に向けての歩みを5日間連続でレポート!
 第三弾は、及川雅貴横浜)だ!

3年センバツの苦い経験を乗り越えて

【BIG5特集】及川雅貴(横浜)「復活・覚醒をかけたモデルチェンジ」 | 高校野球ドットコム
昨秋の甲府商戦で笑顔を見せていた及川雅貴(横浜)

 ウサギのように見えて、亀のような歩みを見せる選手だ。1年夏の甲子園秀岳館戦で見せた及川は素晴らしい内容だった。クロス気味に食い込んでくる140キロ前半のストレートは絶品で、プロのスカウトが絶賛した記事が相次いだ。とても高校1年生とは思えない球筋だった。

 しかし浮き沈みが激しく、打たれる時は打たれる。1年秋には鎌倉学園に先発したものの、打ち込まれ、チームはコールド負け。そこから一から体を鍛え直し、2年春には150キロを超えるまでになった。2年秋は関東大会の甲府工戦で8回2失点の好投を見せ、最速148キロ、ストレートの平均球速は144.24キロと驚異的なスピードを見せたが、準々決勝春日部共栄戦では2本塁打を浴び、5失点とノックアウト。さらにセンバツ明豊戦では4回を投げて6失点ともどかしいピッチングが続いている。

 及川再生へ。まず動いたのは、横浜前監督の渡辺元智氏だった。4月5日~7日まで行われた高校日本代表の研修合宿に参加した及川に対し、アドバイスを送っていた。
 「もっと実戦を意識して練習しないと!」という言葉が口癖のように、及川の指導にあたった。フォームの動き、体を動かすポイント、打球反応など。投手として必要なことを惜しみなく伝えた。

 及川は渡辺氏の指導に対して、「実は初めて渡辺監督とお話をしたのですが、僕を高く評価していただいて。本当にありがたい指導をいただいました」と感謝のコメント。渡辺氏から指導を受けたことは、「投げるまでに軸足をプレートにしっかりと乗せてから体重移動すること」

 そうすることで、体の突っ込みを抑えることができた。また研修合宿ではレベルの高い投手陣と一緒に練習できたのは良い経験だったそうで、「トレーニングの仕方などいろいろ学ぶことができた」

 研修合宿の経験を生かしながら、及川の状態は少しずつ上っており、まず関東一との親善試合では、8.2回を投げて、6奪三振、2失点の好投。最速142キロながら回を追うごとにストレートの威力が増していた。

[page_break:復調の兆しが見えた香川招待試合]

復調の兆しが見えた香川招待試合

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調子が上がってきた及川雅貴の夏は覚醒の夏だ!(横浜)

 さらに6月8日、9日に行われた香川県の招待試合。この2日間は夏でも期待が持てる投球だった。

 まず四国学院大香川西戦。最速147キロを4回出し、5回を除き全イニングで145キロ以上を計13回マークする内容で7回102球4安打8奪三振2四球にまとめでも好投。まず6回87球3安打10奪三振2四球無失点の好投を見せた。

 「指のかかりがよかった」と振り返った及川。フォームでも変化をつけたようだ。それまではセットポジションで始動していたが、ワインドアップに転換。そうすることで、足を上げるまでに「間」が生まれ、本人が意識する軸足に体重を乗せるフォームとなっている。及川の課題として、三塁方向に身体が流れすぎてしまい、いわゆる突っ込むフォームとなっていたが、新フォームになってからは体の突っ込みは防ぐことができていて、力の入れどころが上手く出来たフォームとなっている。

 配球面で意識しているのは「高めのストレート」。高めのストレートを投げることで、フライに打ち取ることを意識。球威が有るので、空振りが奪える。招待試合の香川西戦を振り返ると、詰まったフライを打ち取ることができていた。

 夏に逆襲する準備は整った。そして及川は夏の大会へ向けて意気込みを語った。
 「自分に足りないのは1試合1試合の安定感なので、今回(招待試合)の投球を続けていきたい。エアポケットではないですけど、スキを見せない投球をしたいです。
 神奈川4連覇を達成して、甲子園にいきます」

 時間はかなりかかった。だが、及川は苦い経験をしっかりと糧にできた。2016年の藤平尚真、2017年の増田珠、2018年の万波中正と、プロ入りした先輩たちはラストサマーで大活躍を見せてくれた。先輩の流れに乗り、最後の夏こそ最高の夏にしたい。

文=河嶋宗一

~BIG5特集~
6月12日(水)昼12時配信…井上広輝(日大三)は男気溢れる豪腕だ!背負える大エースへ!
6月13日(木)昼12時配信…西純矢(創志学園) 厳しいマークを乗り越え、昨年より進化したピッチングを
6月14日(金)昼12時配信…及川雅貴(横浜)復活・覚醒をかけたモデルチェンジ
6月15日(土)昼12時配信…奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー
6月16日(日)昼12時配信…佐々木朗希(大船渡)令和元年の至宝!この夏、全国と世界へ羽ばたけ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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