Interview

「守備の帝京」の象徴・大内智貴(帝京)。接戦になればなるほど際立つ野球センスの高さ!

2019.06.08

 今年の帝京は「守備の帝京」と例年にはないチームカラーで勝負する。その中心選手として期待されるのが大内智貴だ。小学校時代からU-12代表、大宮シニア時代は中学2年生時に全国制覇を経験。野球エリートの道を歩んでいる。

 大内の魅力は攻守の総合力の高さ。何においても目敏さを持った選手ということだ。つなぎの4番として試合に出場する大内はバットコントロールの高さで安打を量産し、たびたび決勝打を放つ勝負強さ。センターの守備では一歩目が早く、守備範囲の広さと的確なスローイングで好プレーを生んできた。そんな大内に対し、チームメイトから絶大な信頼を寄せられている。

 夏へ向けて注目したい大内の歩みを振り返りたい。

怪我に苦しみながらも、持ち前の観察力の高さで信頼を掴む

「守備の帝京」の象徴・大内智貴(帝京)。接戦になればなるほど際立つ野球センスの高さ! | 高校野球ドットコム
大内智貴(帝京)

 小学校時代、埼玉県出身ながら、親の転勤などで福岡県を行き来していた大内。小学校の時からU-12代表に選ばれ、世界の舞台を経験し、当時から才能の高さを発揮していた。大宮シニアに入団すると、さらに野球センスが磨かれる。大宮シニアは緻密な野球をするチームで、「監督さんは頭が良い方で、頭を使う野球をかなり求められました。当時はかなり細かいなと思っていたのですが、高校では標準のことなので、良い環境でできたと思います」と振り返る。

 雨が降ってグラウンドが使えない時、大宮シニアの場合は公民館を使って、野球のルールの勉強、サインプレー、中継プレーの基本などを学んできた。

 「普通の中学生はただ野球をやっているという感じがあるんですが、『大宮シニア』では頭の中で動きを学べました」

 そして中学2年には全国大会優勝を経験。

 「6番ライトで出場していたのですが、あまり活躍した実感はなく、先輩たちのおかげで優勝できたと思っています」

 中学3年には帝京から誘いがあった。
「嬉しかったですね。『帝京』と聞いて、全国大会でずっと優勝しているイメージがあったので、すごく嬉しかったです。前田監督の下で野球をやりたかったんです」と胸を高らかに帝京へ入学を決めた。

 ただ入学してからは怪我に苦しんだ。肩、肘を痛め、1年秋はベンチ入りを狙えるまでアピールできたが、大会直前に足首を骨折してしまい、ベンチ入りができず、「監督にも、チームメイトにも迷惑をかけてしまい、本当に苦しい時期でした」

 ベンチ入りできたのは2年秋から。3試合で13打数7安打を記録。「ボールを捉える能力には自信があります」と語るように、打撃センスは高いものがある。

 3年春も主力選手として大会が迎えられるようになると、前田監督から主将に抜擢される。前田監督は「全国大会を経験しているので、出す声が良いんです。指示が的確なので、彼に任せました」

 中学でも主将を努めた大内。打撃よりも守備に自信がある大内は自分が感じたことはチームに伝えていった。チームメイト、前田監督からの評価も高い。セカンドを守る小松涼馬は「大内さんはポジショニング、打球が飛んだ時の指示が的確で、とても助かっています」と語れば、前田監督からも「自発的に指示ができるので、指導者からすればとてもありがたいですよ」と信頼を寄せている。

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高い守備力の秘密

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大内智貴(帝京)

 なぜチームメイトに指示が出せるほど視野が広いのか。1つ目が大宮シニアで連携、ルールなど頭を使った野球をしっかりと畳み込まれているから。2つ目が現在の守備技術の殆どを大宮シニアで作り上げたからだ。特に一歩目の速さ、守備範囲の広さには自信を持っている。どんな意識でプレーをしているのだろうか。

 「ピッチャー対バッターの力の差をまず感じて、ピッチャーが投げたコースを瞬時に見て、一歩目をどう切るかというのを、考えている暇はないので感じて動いて、あとはインパクトを見てスタートを切る感じです。今話したことは実戦でゆっくりやっていることはできないので、練習で繰り返し行って、実戦になれば、自然とできるまで落とし込みます」

 打者の動きを見て、落下地点を予測できるからこそ、他の野手に対しても落下地点の指示ができる。春季都大会でも、レフト、ライトのカバーに回った大内は落下地点の指示、フォローをしてきた。その積み重ねで野手たちの信頼を得てきた。

 今春の都大会でも勝負強さを発揮してきた。シード権がかかった3回戦の早大学院戦では延長10回に決勝の適時打を放つ。

 「前の小松が四球。自分で勝負することが分かったので、ここで打たなければ勝てないと思った」と気合を入れて決勝打を放った。その後も準々決勝まで粘り強く戦った。大内は「ずっと粘り強く戦って粘り強さが出てきたと思います」とチームの成長を振り返った。

 最後の夏へ向けて自分が求めるのは勝負強い打者になること。
「やはり守らないと勝てないというのは自分たちで理解しているので守備には力を入れて、打撃では少ないチャンスの中でいかに点を取れるかというところがカギだと思うので、勝負強くなります」

 自分は何が求められているか分かっている。攻守の要として今年の帝京を束ねる大内智貴。接戦になればなるほど、その存在感は際立つだろう。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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