Interview

「野球を通して石川・能登を元気に」日本航空石川・中村 隆監督が語った地元への思いと感謝 選手たちには「背負わせすぎずやって」

2024.03.24


日本航空石川の選手たち ※写真は過去の取材より

現在開催中の選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)第6日第1試合で、常総学院(茨城)と対戦する日本航空石川(石川・4年ぶり3回目)。今年1月1日に発生した能登半島地震の震源地間近の石川県輪島市を学び舎としてきたチームにとって、今大会は様々な意味合いを持ったものとなる。

そこで今回は、日本航空石川・中村 隆監督にあれから2か月あまりが過ぎたチームの状況や、センバツへの意気込みについて直前合宿が行われた徳島県阿南市でうかがった。

練習試合前のノックを打つ日本航空石川・中村 隆監督

――最終センバツベンチ入りメンバー20人発表直前の練習試合・生光学園戦を終えて
中村 隆監督(以下、中村監督) 彼らの中では能登半島地震のことは当然頭に入っていますし、離れられないことだと思います。全力疾走や頑張ってプレーをすることで、その想いは表現したいですが、こちらから強制しなくても彼らはそんな想いは持っているので、背負わせすぎずやってもらえる形がいいと思っています。

――練習試合中の選手たちからは落ち着いた様子が見えます。
中村監督 阿南市に入った後は野球に集中してくれています。我々の姿を見てくれることで被災地の力になりたい。同時に我々の背中を押してくれてる方々がいっぱいいらっしゃることに感謝の気持ちもこめたいです。

――能登半島地震後、チームは山梨県で活動を再開。そこで特に心がけたことは?
中村監督 「私たちは何のためにプレーするのか」。実は私と選手たちは何度もそんなミーティングを重ねて方向性を確認してきました。そんな想いは選手たちのプレーに出ると思います。僕の中でも自分たちの役割を受け止めていきたい。チームの目標は日本一ですが、目的は我々の野球を通して石川・能登を元気にする。僕もその目的を達成するために、全力プレーをすることに集中させたいと思っています。

――今年4月から学校法人は、日本航空石川が東京都青梅市を拠点として2年間をメドに活動することを発表しています。
中村監督 準備は進めて頂いています。ただ、今現在も半分以上の部員が寮から荷物を運び出せていませんし、震災後一度も輪島市に戻れていない部員もいます。あの光景を見たらまた気持ちも変わると思いますので、その前に一度は部員全員で輪島市に帰りたいと思っています。

――では最後に、様々な意味合いを持つセンバツへの意気込みをお願いします。
中村監督 このタイミングで甲子園で試合をさせて頂く意味を考えることを通して、子どもたちは成長してくれています。「想いを乗せて闘う」。これはこの子たちにしかできない。そこは僕も楽しみにしています。

<聞き手:寺下 友徳>

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この記事の執筆者: 寺下 友徳

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