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「自分の嫌なことは人にするな」に込められた深い考え 平川 敦(北海)vol.9

2019.03.06

 第6回のコラム「今の子に合わせた指導」で、指導者が怒っても、怒っている理由を選手が理解していないと話が通じない話をした。これは、平川敦(ひらかわ・おさむ)監督(北海)が選手にあえて嫌味を投げかけた時も同じだと言う。

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嫌味も理解しないと嫌味にならない

「自分の嫌なことは人にするな」に込められた深い考え 平川 敦(北海)vol.9 | 高校野球ドットコム
平川敦監督(北海)

「今の子供に嫌味をいっても、嫌味にならないんですよね」

「嫌味がわかるということは、言われている内容が全部自分で理解しているということじゃないですか。先生嫌味言ってるなとか、友達嫌味だなとか。でも、今の子は嫌味がわかっていないということは、物事をわかっていないということなんですよ。」

「だから、『これ嫌味だからな』『なんで嫌味になるかを良く考えてみろ』といって導きながら考えさせると、あっ!と表情変えたりする。嫌味というのを理解したんですね」

 だからこそ、平川監督は、とにかく気づいたら伝えるを繰り返している。「考え方のベース」を作ることで、初めて理解できるからだ。

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自分の嫌なことは人にするな

「自分の嫌なことは人にするな」に込められた深い考え 平川 敦(北海)vol.9 | 高校野球ドットコム

雪景色が広がる北海グランド

 平川監督は選手達に伝えている言葉がある。その一つが「自分の嫌なことは、人にはするな」だ。

 この言葉に込められている思いを読み解いていきたい。

 まず、一般的意味としては下記のように平川監督も語ってくれている。

「自分の嫌なことは、人にはするな。自分が嫌だと思ったことは、相手も嫌だと思うんだから、自分が嫌だと思ったことは相手にはしない。ただ単純にそれだけですよね」

 ただし、これには深い意味がある。まず何が嫌なことなのか自分自身を知る必要がある。自分自身の考え方のベースがないと、これは「嫌なこと」という認識ができないのである。これは、先程の「嫌味を理解する」に通じる点である。

 その上で、この言葉にはもう一歩進んだ表裏一体の意味がある。

「例えば守っていて、ピッチャーがセカンドランナーがこういう動きをされたら嫌だとか、そういうのが自分でわかれば、野球の時には逆に、表裏一体なので、自分が例えばランナーで攻撃の時に相手が嫌なことをすれば、相手は動揺するだろうしますよね。自分がされたら嫌なことがわかっていれば、それは逆に意図的にやることが、相手に嫌やらしさなり、プレッシャーをかけることになるから。」

 自分自身をしることで出来るプレーなのである。

 野球は、勝利を目的とするスポーツである。「勝利」するために相手の動揺することを考え実行することは勝利の確率を上げてくれるのである。ただし、そのためには、まずは何が嫌なことなのか、理解することが第一になる。それができてこその第二ステップなのだ。

文=田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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