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U-18では堀劇場でアジア制覇に貢献した堀瑞輝!トップチームでは初登板初勝利!

2017.11.18

 16日に開幕した、ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017。日本・韓国・台湾の期待の若手選手たちが集い、アジアの頂点を決めるこの大会。開幕試合では日本が延長タイブレークの末に韓国にサヨナラ勝ちし、稲葉篤紀新監督の下で初勝利を挙げた。この試合では、延長10回に上林 誠知仙台育英-福岡ソフトバンク)の同点本塁打や、田村 龍弘光星学院 現:八戸学院光星-千葉ロッテ)のサヨナラ安打などに自然が行きがちだが、勝利投手になったのはプロ1年目の堀 瑞輝広島新庄-北海道日本ハム)だった。

甲子園で評価を上げ、見事代表入り

堀瑞輝(第11回 BFA U-18アジア選手権より)

 今回の登板で、堀の高校時代を思い出した方も多いのではないのだろうか。

 昨夏に行われた甲子園大会は、好投手の集まりであった。高校BIG3と言われていた、寺島 成輝履正社-ヤクルト)藤平 尚真横浜-東北楽天)高橋 昂也花咲徳栄-広島)や作新学院を54年ぶり2度目の優勝に導いた・今井 達也作新学院-埼玉西武)などが甲子園の舞台で躍動した。堀もそのうちの一人で、彼らほどの知名度は高くなかったものの140キロを超えるストレートと切れ味抜群のスライダーで注目を浴びていた。

 甲子園では3試合に登板。1回戦関東一2回戦富山第一ではともに1失点完投勝利。3回戦木更津総合との試合では、早川 隆久木更津総合-早稲田大)との好左腕対決が実現。堀は2失点好投を見せるも、広島新庄は早川から得点を奪えず、3回戦で姿を消すこととなった。

 甲子園大会後に行われた、第11回 BFA U-18アジア選手権の日本代表に堀は選出された。チームメイトには、先ほどにも名前が出た、寺島・藤平・高橋・今井・早川などの超高校級投手たちがいた。
 しかし、大会では彼ら以上の実力と、インパクトを残すこととなった。

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U-18ではリリーフエースとしてアジア制覇

堀瑞輝(第11回 BFA U-18アジア選手権より)

 U-18ではリリーフエースとして躍動。いや「無双」したと言っていいだろう。それくらい、堀の投球は凄みがあって神懸かっていた。

 最初の出番は第2戦目の台湾戦であった。先発はエース・今井 達也が務めたが、甲子園の疲労からかストレートは140キロ前後でコントロールも定まっていなかった。なんとか要所を凌ぎ、5回途中まで投げたが一死一、二塁という場面で堀が登板した。2点リードしているとはいえ、ピンチであることに変わりはない。しかも台湾の大谷翔平と呼ばれていた強打者・4番陳琥(現・中信兄弟)を迎える場面であった。

 しかし堀は冷静であった。切れ味鋭いスライダーを連投し、空振り三振に斬って取ったのだ。陳は堀のスライダーにバットが当たらない。台湾頼みの4番を抑えたことは台湾ベンチに大きなダメージを与えた。これで勢いに乗った堀は好投を続け、日本の勝利に大きく貢献した。

 次の登板となったのは準決勝・韓国戦。この試合に先発したのは高校BIG3の一角・高橋 昂也。韓国に先制を許すも、直後に逆転し3対1で試合が進んだ。高橋は立ち直り、8回途中まで投げた。またも台湾戦同様に二死一、三塁というピンチでの登板となった堀。
小枝守監督は「韓国に勢いが出てきたので、あの勢いを止めるのは堀しかいなかった。打たれても彼ならば仕方ないと思っています」と絶大な信頼を堀にこの時点で寄せていた。その堀は3番打者をスライダーで三振に斬って取り、日本を救った。

 決勝進出を果たした日本は再び台湾と激突。グループリーグの台湾戦でも先発した今井が決勝のマウンドに立った。この日の今井も状態はあまり良くなかった。しかし甲子園優勝投手は粘り強く5回を投げ抜いた。その後を受け継いだ堀。この大会で、勢いに乗った堀を止められるものは誰もいなかった。最速148キロを記録したストレートとこの日もスライダーが冴え渡り、4回を奪三振8。無失点に抑え見事アジア制覇を果たした。まさにこの大会は堀劇場といっても過言ではない活躍を見せてくれた。

 MVP級の活躍をした堀はその後の岩手国体でも最速150キロを計測。プロ志望を表明した堀の下に、11球団から調査書が届き、上位候補として扱われていた。そしてドラフト会議で北海道日本ハムから1位指名を受けた。ルーキーイヤーとなった今季は、早くも1軍デビュー。4試合に登板するなど、プロ1年目から高いレベルを経験した。

 そして今回、稲葉JAPANの一員としてENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017に挑んでいる。開幕試合の韓国戦では延長タイブレークにまでもつれる大接戦となった。延長10回表に日本は3点を勝ち越され、なおも二死一、二塁のピンチで堀が登板した。先頭打者に安打を許し、ピンチを広げるも次打者を左飛に斬って取り追加点を許さなかった。
 その裏、日本は上林の3点本塁打で追いつくと、田村のサヨナラ安打で見事逆転勝ち。勝利投手は最後を締めた堀となった。

 高校時代同様に、リリーフとして北海道日本ハム・日本代表で活躍を見せている堀 瑞輝。今後の日本を背負っていく左腕になる可能性は十分にある。ここ一番の痺れる場面で実力を発揮し、結果を残してきた彼ならきっと、今後の大舞台でも好投を見せてくれるに違いない。

(文・編集部)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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