Column

左腕王国を広島新庄が築くか?田口、山岡、堀に続くのは?

2016.08.10

田口、山岡、堀…広島新庄は今後も左腕王国を築くことができるか?

左:山岡 就也(広島新庄)、右:田口 麗斗(広島新庄)

 2年連続甲子園出場を決めた広島新庄広島新庄といえば、左投手が次々にドラフト候補として注目されているのが特徴だ。

 2013年、当時田口 麗斗(現・読売ジャイアンツ)は最速147キロまで球速を伸ばし、縦スライダーのコンビネーションも絶品で、東の松井 裕樹(楽天イーグルス)、西の田口と呼ばれていた程の投手であった。甲子園初出場に期待がかかったが、田口にはライバルがいた。それが現在、東京ガスで活躍する山岡 泰輔瀬戸内)だ。瀬戸内はその年の春季中国大会準優勝を収め、優勝候補に挙げられていた。

 そんな2人の対決が実現したのは、広島大会決勝戦。田口は140キロ超の速球とキレ味抜群のスライダーで瀬戸内打線に立ち向かった。山岡も負けじと好投を見せ、試合は9回どころか、延長15回でも決着がつかず「0対0」、広島県史上初の決勝戦再試合となった。決勝戦でも投手戦となり、その激闘を制したのは…山岡だった。田口は8回裏に1点を失い、0対1で敗れ甲子園出場を逃した。

 悔しい敗戦となったが、このハイレベルな投げ合いを演じた2人を高野連の関係者は高く評価。なんと山岡だけではなく田口も、IBAF 18U ベースボールワールドカップ2013の代表選手に選出されたのだ。そしてその年のドラフトでは読売ジャイアンツから3位指名を受けた田口は、プロ2年目から一軍登板を果たす。3勝5敗、防御率2.71と負け越したが、プロ3年目となる今年は一軍ローテーションの座を獲得し、8月7日現在で、7勝6敗、防御率2.52と7月はプロ入り初の月間MVPを獲得し、飛躍を果たしている。そして、本日、8勝目をかけて横浜DeNA戦に先発する田口。先輩として勝つ姿を見せていきたい。

 快投した田口の背中を追うように成長をしたのが山岡 就也だ。膝を高々と上げるフォームから繰り出す140キロ前後の速球とキレのあるスライダー、カーブを武器に2013年中国大会準優勝。さらに2014年春の選抜では1回戦東海大三戦で13奪三振完封勝利を挙げるなど全国舞台で活躍。甲子園に出場出来なかった田口の想いを背負って好投を見せた。しかしその山岡もその年の広島大会決勝で敗れ、夏の甲子園出場はならなかった。

[page_break:先輩の想いを背負い二度の甲子園出場を決めた堀 瑞輝]

先輩の想いを背負い二度の甲子園出場を決めた堀 瑞輝

堀 瑞輝(広島新庄)

 そしてその思いを背負って2年からエースになったのが堀 瑞輝である。2年夏に甲子園出場。初戦突破を果たし、2回戦では早稲田実業と対戦。惜しくも敗れたが、その年に行われた国体では、仙台育英に対し、力投。130キロ後半の速球、キレのあるスライダーで翻弄し、全国準優勝の仙台育英打線を驚かせた。広島県をリードする投手として注目されたが、選抜も逃し、春でも県大会準々決勝で敗れるなど悔しい負けを味わってきた。

 その負けを大きくしたのか、堀はこの夏の大会で一回り、二回りも大きくなり、決勝戦まで勝ち進むと、決勝では春に敗れた如水館と対戦。堀は常時140キロ~140キロ中盤の速球を計測し、最速は147キロ。147キロを何度も連発するなど、高校生トップレベルの速球派左腕へ登り詰めたのであった。

 先輩の田口でも、山岡でもここまでの球速は計測していない。堀は先輩2人よりも更に進化を遂げていたのであった。先輩が踏みしめることができなかった甲子園を二度踏んだ堀。出場するだけでは満足していない。もちろん昨年を上回る2勝以上を狙っている。

 さらに広島新庄有村 綜留という2年生左腕がいる。有村も上背があり、ポテンシャルは堀を上回るものがある。堀の姿に刺激を受け、有村も大化けなるか。

 左腕王国・広島新庄の称号を定着するには、堀、そして有村の投球にかかっている。


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(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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