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【長野展望】今年はシード校以外にも有力校が多数!有力校、有力選手の状況をまとめて紹介

2016.06.05

 今年の春の県大会優勝を収めたのは松本第一だった。だが今年は有力校が多数となっている。そんな今年の長野県の夏の展望を占っていきたい。

打高投低の春。制したのは投打がっちりの松本第一


吉原 快(松本第一)

 春の長野県大会は、松本第一の初優勝で幕を閉じた。昨秋の県優勝校の長野商業、準優勝校の佐久長聖、さらに夏2連覇を狙う上田西が軸と目されていたが、松本第一の投打での安定ぶりが際立った試合内容だった。

 大会全般として投手陣の不調が目立った。そうした中でも松本第一はエース吉原 快(3年)、昨年から経験がある山口 智士(3年)、新鋭原田 健太(3年)のサウスポートリオがそろって安定。特に原田は佐久長聖、準優勝の松商学園に対しても好投しており、夏に向けて大きな戦力として計算できそうだ。

 松本第一は打線も破壊力を見せた。注目の3番牧 秀悟(3年)は相変わらずの勝負強さを見せ、打線の核となった。5番・久保田 崚仁、7番・樋口 豪の強打も効いた。特に樋口は準決勝、決勝で連続弾。好調な打線の象徴となった。

 準優勝は松商学園。制球難による投手陣の不安定さは改善されなかったが、打線がそれを補った。宮嶋 隼平(3年)、梨本 雄斗(3年)の俊足1、2番コンビが起点となり、打ち合いを制してきた。しかし、エース青栁 真珠(2年)をはじめ投手陣が四球から失点する場面が多く、マイナス要因の方が印象に残る準優勝となった。

 3位には、夏の連覇が懸かる上田西が入った。昨年の夏の甲子園1回戦で完封勝利を挙げたエース草海 光貴(3年)はじめ甲子園経験者が数人残る。春先から野手(遊撃手)中心の練習をしてきた草海は、投げ込み不足から準決勝で連打を浴びる場面もあったが、3位決定戦ではきっちり完封勝利。夏への余力を残して、春を終えた形だ。

 3位決定戦では敗れたが、昨秋の地区予選敗退から躍進したのが長野日大。本来は遊撃手だが、2枚目の投手としてマウンドに上がった成澤 圭祐が、救援、完投と奮投した。手元で切れるボールと制球力の良さに相手打線がてこずった。

 このほかベスト8には、佐久長聖長野商業、松本深志岡谷南が入った。佐久長聖は投打の仕上がりがいま一歩という状態。長野商業は、高い攻撃力を見せた半面、バッテリーに課題を残した。松本深志は左腕エース唐澤 尭至(3年)を軸に投打にまとまりがあった。岡谷南はエース諸本 峻明(3年)が力強いボールを放ったが、打線に物足りなさが残った。

 以上8校が夏の大会のシード校となる。

強打の小諸商、野沢北に私立勢。8強以外もあなどれない

 8強には残れなかったが、マークしておきたいチームは少なくない。県大会1回戦で敗れた小諸商業と野沢北は打撃力が魅力。下級生を多く使った小諸商業は伸びしろ、野沢北は投手陣のもうひと頑張りにそれぞれ期待したい。須坂も1回戦敗退だが、総合力は高い。右スリークオーター玉井 望毅優(3年)の制球力がもう一段階上がるとかなり手ごわくなりそうだ。

 地区大会敗退校にも十分に巻き返しのチャンスはある。センバツ21世紀枠候補になった昨秋県4強長野は、中軸打線が強力だけにエース待井 壮一郎の右腕にかかる。地区予選松商学園に敗れた創造学園と東京都市大塩尻、さらに地球環境といった私立勢も決して投手陣は悪くないのであなどれない存在だ。

 ほかに左の好投手がいる田川諏訪二葉中野立志館なども厄介な相手になりそうだ。

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[page_break:143キロ右腕の草海、2度目の聖地へギアアップ]

143キロ右腕の草海、2度目の聖地へギアアップ


草海 光貴(上田西)

 春の大会までは野手中心の練習をしてきた上田西草海 光貴は、夏に向けて投手としてのギアを上げていく。168センチと小柄だが甲子園で143キロをマークした球威と制球力、集中力の高さはすでに実証済み。冬場からの体幹トレーニングや走り込みで投球がどれだけスケールアップするか楽しみだ。

 3番を打つ2人の遊撃手にも注目したい。春優勝の松本第一で1年次から中軸を任される牧 秀悟(3年)は、バットの軌道を修正し本塁打も増えてきた。佐久長聖元山 飛優(3年)は1年夏に主力で甲子園経験があり、主将として攻守でチームをけん引する。

 遊撃手では松商学園で1番を打つ宮嶋 隼平(3年)は、2年春の選抜甲子園を経験した足のあるアベレージヒッター。長野日大の遊撃手・成澤 圭祐(3年)は投手兼務の運動能力を誇る。

 この春から長野日本ウェルネス高校信州筑北キャンパスが県高野連に新規加盟。率いるのは松商学園長野日大で甲子園14勝を挙げている中原 英孝監督だ。新入学の1年生軍団は春の大会は初戦敗退したが、今後の戦いぶりが注目される。

投手陣の立て直しで各チームに勝機

 春季大会で投打がかみ合って初優勝した松本第一が第1シード。出遅れていた190センチ右腕の若林 洸(3年)が戻ると投手陣はさらに強力になる。春のように強力打線がつながると初の夏制覇が見えてくる。

 ここに優勝争いで絡んできそうなのが上田西佐久長聖。過去4年間で両チームが交互に優勝を2回ずつ分け合う、夏の強さを誇る。連覇を狙う上田西は草海を休ませながら準決勝を迎えられるか。取りこぼしがなく4年連続決勝進出の佐久長聖は、高いディフェンス力から主導権を握りたい。さらに攻撃力は県内トップクラスの松商学園長野商業は、バッテリーの整備状況で十分に頂点を狙える位置につけている。

 これら5校が優勝争いの軸になることが予想されるが、ほかを含めて春は投手陣が不調だったチームが多かっただけに、うまく立て直してきたチームに大きな勝機が生まれそうだ。

(文・小池 剛


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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