試合レポート

東邦vs三重

2015.10.24

全国屈指の右腕が躍動!

藤嶋健人(東邦)

 東邦は1回に1番・鈴木光稀(2年)がレフト線への二塁打で出塁すると、2番・濵嶋良明(2年)が送り、3番・松本凌弥(2年)のタイムリー二塁打で先制。さらに一死一、三塁から5番・松山仁彦(2年)の犠牲フライで2点目を挙げた。

 エース・藤嶋健人(2年)は、自己最速タイとなる146キロの直球に多彩な変化球を織り交ぜて9回を6安打1点に抑え完投。11年ぶりとなる秋季東海大会決勝進出を果たした。

 「良い守りができて、藤嶋も落ちついて投げられたと思います。変化球でカウントが取れるようになってきた。1点に抑えて勝ったのですから、100点満点。成長した秋になっている」と森田泰弘監督もエースで主将と選手たちを讃えた。

 先週日曜日(18日)の初戦で7回コールドゲームの参考記録ながらノーヒットノーランを達成した藤嶋。その後の一週間をキャッチャーの髙木舜(2年)は、「特に変わった様子はなかった」とあくまで勝負は今週にある気持ちを話してくれた。この日の準決勝では4回に1点を奪われたが、終始落ち着いたピッチング。吠えることが多かった1年夏の甲子園とは違い、マウンド上でもクールな表情が多い。静かに闘志を燃やしている印象だ。ピッチングも大人びてきている。7回表の二死三塁と同点のピンチの場面。三重の代打で180センチ100キロの大型打者・上田祐摩(2年)が打席に立つと、直球ではなくスライダーで空振りを奪った。その残像を生かして、最後は146キロを計測した直球でファーストゴロに打ち取った。「配球はキャッチャーの髙木に任せています」と話した藤嶋。その髙木は、「スライダーを投げたのは、真っ直ぐを狙ってくると思ったからです。最後の直球はボール球でも良いよという感じで、実際にボール球を振ってくれました」と真意を語った。

 8回裏には、女房役である髙木が「藤嶋が疲れてきていたので、絶対打ちたいと思った」と貴重な追加点となるタイムリー。9回に備えてベンチ前でキャッチボールをしていたエースも「大きかった」と喜んだ。

 11年ぶりの決勝進出だが、チームの目標は東海大会を優勝しての明治神宮大会出場。エースで主将は「勝って神宮大会へ行きたい」と力をこめた。

 敗れはしたが、三重も見事な接戦を演じた。先発した背番号8の岩﨑寛太(2年)は初回に2点を失ったが、2回以降はバックの好守備にも助けられて粘った。5回から二番手でリリーフした左腕・堀内大輔(1年)は100キロに届かない緩い球で東邦打線を幻惑。三番手の山岡健人(2年)も右アンダースローからクセのある球が光った。全国屈指の右腕を打ち崩すことはできなかったが、9イニング中6イニングで先頭打者を出塁させて形を作った。来年にどんなチームに成長しているかが楽しみである。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.17

【春季関東大会注目野手一覧】超高校級のショートトリオ、健大高崎の強肩捕手など24人の逸材野手をピックアップ!

2024.05.17

【関東大会注目チーム紹介】13年ぶりの春季埼玉王者・花咲徳栄打線は超強力!ドラフト上位候補スラッガー・石塚を中心に県大会58得点!

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.18

国民的人気だった韓国の高校野球はなぜ凋落したのか? “韓国の甲子園球場”の撤去、少数エリート制度の弊害……【韓国高校野球事情③】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?