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試合で100%の力を発揮するために

2021.06.15

試合で100%の力を発揮するために | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 梅雨時期にもかかわらず、真夏を思わせるような暑い日々が続きますが、皆さんは元気に練習に励んでいるでしょうか。夏の大会も間近に迫り、甲子園という大きな舞台を目指して多くの学校がしのぎを削る時期となりました。さて今回は、試合で自分たちの実力を100%出し切るために、知っておきたいコンディショニングや試合への準備についてお話をしようと思います。試合までの期間が短いと飛躍的に技術がうまくなったり、体力が急激にアップしたりといったことは望めませんが、自分たちの実力を出し切るためにはどのようなことを行えばいいのでしょうか。

小さな違和感を見逃さない

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練習後、もしくは帰宅後にしっかりとクールダウンを行おう

 試合直前にケガをしてしまうと、100%どころか70、60%もしくはそれ以下の実力しか発揮できないこともあります。この時期から試合までの間はまず「予防できるケガ」をしないということです。わかりやすいのはウォームアップやクールダウン時に自分の動きや感覚を把握することです。ストレッチをしていても右側と左側では関節可動域(関節の動く範囲)が違ったり、筋肉の伸びに違いがあったり、軽い痛みを感じたり・・・といったことはわかりやすい小さな違和感の一つと言えるでしょう。これをそのままにしたまま練習を続けると、ふいの動作で肉離れを起こしたり、捻挫をしてしまったりといったことが考えられます。こうしたケガを未然に防ぐためにも体の変化に敏感になるようにしましょう。

クールダウンを怠らない

 体のコンディションを整えるためには「疲労をため込まない」ことも重要なことです。セルフコンディショニングとしてできることは練習後のクールダウンを習慣化して入念に行うことです。全体練習後に時間が取れないときは、帰宅して入浴後など体が温まった状態で行うようにしましょう。クールダウンを怠ると疲労物質が体外に排出されるサイクルが遅くなり、疲労が翌日以降にも蓄積された状態になります。この状態で練習を積み重ねていくと肩痛や肘痛、腰痛など疲労によるケガにもつながります。軽く体を動かしながら血流をよくすることが大切ですので、ジョギングやストレッチなどを行って疲労回復に努めましょう。

[page_break:ケガや不安部位が残るときはしっかりとケアを]

ケガや不安部位が残るときはしっかりとケアを

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就寝直前にスマホを操作するのは睡眠の質を下げることになる

 選手の中にはケガから復帰した直後であったり、チーム事情でどうしても痛みや違和感を抱えたまま試合に臨まざるを得ない状況も出てくるでしょう。出来るだけよい状態で試合に出るためにも、練習後は痛みのある部位へのRICE処置を中心に、気になる部位をしっかりケアしましょう。またテーピングやサポーターなどを利用して試合に臨む場合があると思いますが、試合当日に「ぶっつけ本番」ではやはり不安が残ります。フィット感など前もって何度か試し巻き、試し装着を行って確認し、自分の体にあうように事前に調整しておくことが大切です。

何はなくとも睡眠を確保

 一番大切なのは十分な休養を取ることです。試合直前に「あれも、これも」と練習量が増えてしまうと、やはり体には大きな負担がかかります。これを解消するためにはクールダウンや食事面だけではなく、しっかりと睡眠を取ることです。まずは普段のタイムスケジュールを把握し、そこから睡眠時間をまず確保しましょう。個人差はありますが、できれば7時間以上確保出来ると理想的です。また睡眠時間だけではなく、睡眠の質も重要になってきます。寝る直前までスマートフォン(スマホ)などの画面を見ていると、ブルーライトと呼ばれる光が脳を覚醒させることがわかっています。またスマホを顔に近いところで操作すると目にも負担がかかり、パフォーマンスに影響することが懸念されます。ぐっすり眠れたという睡眠の質をあげるためにも、就寝1時間前にはスマホから離れ、部屋の電気を少しずつ暗くしながら入眠体勢を整えるようにしましょう。

短期間で飛躍的なパフォーマンスアップ、体力向上は臨めませんが、今のコンディションを維持し自分の持てる力を存分に発揮することは可能です。そのためにも日頃の習慣を見直し、予防できるケガを防いで試合に臨むようにしてくださいね。

試合で100%の力を発揮するために

●小さな違和感を見逃さず、予防できるケガを防ごう
●体力的な疲労をため込まないようにクールダウンを入念に行おう
●痛みのある部位はRICE処置を中心に、ケアを行おう
●テーピング、サポーターなどは事前に試し巻き、試し装着をしておく
●コンディション維持に欠かせないのは睡眠
●睡眠時間の確保だけではなく、睡眠の質を向上させるようにしよう

(文=西村 典子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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