井上広輝から引き継いだ名門・日大三の「1」 児玉悠紀の魅力は審判泣かせの制球力
名門・日大三の新エースは、身長179センチ、体重66キロと、かなり痩せ型だ。最速も139キロくらいと、150キロの速球を誇った前任者である井上広輝に比べると威圧感に欠ける。しかし、その存在感は格別だ。
正確無比のコントロールを誇る細身のエース
児玉悠紀(日大三)
この秋の1次予選の代表決定戦では、打線が相手投手の変化球に苦しみロースコアの展開になったが、新エースは、初回に安打と死球の走者を出したものの、2回以降は1人の走者も出さず、全く危なげのない投球で勝利に貢献した。
最大の特徴は、正確無比なコントロールだ。左右高低、ストライクゾーンのコースぎりぎりを突く投球は、審判泣かせといっていい制球力だ。「キャッチボールの時から、相手のベルトの高さに投げるように意識しています」という、日常の地道な積み重ねの賜物だ。加えて、縦横のスライダーも効果的に使う。
生まれは宮崎県。横浜高校、明治大を経て、現在中日で活躍する柳裕也と同じ都城シニアの出身だ。日大三に入るきっかけになったのは、櫻井周斗(現横浜DeNA)や金成麗生(現トヨタ自動車)らがいたときのチームが、招待試合で宮崎県に来たことだった。
入学後は1年の秋からベンチ入りしているが、あくまでも井上広輝、廣澤優に次ぐ、3番手の位置づけで、十分な結果を残せなかった。しかし、この秋からはエース。「自分がしっかりしないといけません。日常生活から意識するようにしています」と語る。
目標とするのは、中学時代のチームの先輩であっても、直接見たことのない柳裕也ではなく、1学年上の井上広輝だ。井上については、「体つきから違います」と語りつつも、「超えるようなピッチャーになりたい」と抱負を語る。
もっとも井上とはタイプが違うように思うが、「まず、冬のトレーニングで体を作ることです。しっかり食べて、体重を増やしたい」と語る。
体ができて、球速が増せば、まさに鬼に金棒。ひと冬越した成長が楽しみな投手だ。
ただその前に、センバツ出場を目指し秋季都大会がある。目標はもちろん優勝だ。打線は例年に比べてやや小ぶりな印象があるだけに、今はまだ細身の左腕への期待も大きくなる。
(記事・大島 裕史)
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