Column

日本を上回ったチーム力!韓国代表、結成の裏側

2019.09.09

 韓国は3位に入り、何とか開催国の面目は保った。それに対して日本は5位だった。

 確かに韓国のエースの蘇珩準(ソ・ヒョンジュン)の完成度は高かったし、金智讃(キム・ジチャン)という素晴らしい内野手もいた。ただ韓国の野球関係者も、「一部の選手を除けば、選手個々のレベルは日本の方が上だと思う」と言っているように、日本の方が劣っていたとは思えない。もちろん、大事なところでエラーするなど、自らの足を引っ張たことは確かだ。

 しかしながら、本来日本のお家芸であるはずのチーム力でも、韓国の方が上回っていたと思う。では韓国代表チームはどのように作られたのだろうか。

監督は志願制

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韓国代表の選手たち

 まず代表監督が決まったのは5月である。監督は志願制になっており。代表の運営計画などを書いた志願書を、大韓野球ソフトボール協会の競技力向上委員会で審査する。その結果、ソウル近郊の水原(スウォン)市にある裕信(ユシン)高校の李聖烈(イ・ソンヨル)監督に決まった。

 裕信高校は今年全国大会で2回優勝しているが、それは、監督専任には関係ないという。

 コーチ3人は専門分野別に選んでいる。大邱(テグ)高校監督の孫景浩(ソン・ギョンホ)監督は、ヘッドコーチ兼、打撃コーチ、群山(クンサン)商業の昔守澈(ソク・スチョル)監督は、守備コーチ、原州(ウォンジュ)高校監督の安丙元(アン・ビョンウォン)監督は投手コーチを担っている。

 李聖烈監督はプロ経験がないが、コーチ3人は、ともにプロ野球出身である。特に安丙元コーチは1シーズンで11勝したことがあり、プロ時代も、それなりに知られた投手だった。

 代表メンバーが決まったのが、7月18日。投手は左右に横手投げなど、万遍なく選んでいる。その他にもポジションごとに予備エントリーもしており、状況によっていつでも交代できる体制になっていた。

 代表に選ばれた選手にはオリエンテーションが行われ、代表としての心構えのほか、代表の練習が始まるまでにやっておくことなどを、指導される。

 代表が集められたのは、8月16日。初日には大会が行われる機張(キジャン)郡庁で式典が行われ、大会広報委員で、韓国を代表するホームラン打者である李承燁(イ・スンヨプ)も激励に訪れた。

 実は8月10日から約2週間にわたり、韓国の野球部のある全ての高校(80校)が参加して、韓国日報が主催する鳳凰大旗全国高校野球大会が開催されているが、16日以降は、監督・コーチも含め、たとえ勝ち残っていても大会には出場できず、代表が優先される。

 代表合宿が始まってからは、練習の合間にNC、サンスン、斗山(トゥサン)といったプロの練習場に出向き、2軍または3軍と練習試合をする。

 プロの多様な投手と試合をした後、翌日以降は補完する練習を行い、またプロと試合をする中で、力をつけていく。

 また韓国の場合は、もともと選手層が薄いという欠点がある一方で、みんな子供のころから顔なじみで、チームとしての一体感を作りやすいという面もある。

 さらに韓国は1981年の第1回大会に出場し、優勝しているように、U18代表の運用ノウハウを持っているのも強みである。

 日本と韓国では状況が違い過ぎるので、そのまま参考にはならないが、考えるべき点があると思う。

(記事=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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