横芝敬愛vs我孫子二階堂

　14得点で圧勝した横芝敬愛。
とても秋、春ともに県大会出場が無かったチームとは思えないほどパワフルなチームであった。

　横芝敬愛は1回裏、我孫子二階堂の4番丸田涼介（3年）に適時三塁打を打たれ、先制を許すが、2回表、5番で主将の高宮稜太（3年）が中前安打で出塁。さらに高宮は盗塁を仕掛け、二進。6番林 勇稀（3年）の犠打で一死三塁となり、7番伊藤翔（2年）の適時打で1対1の同点に追いつくと、3回表、三枝 和喜（3年）が左中間を破る長打に。我孫子二階堂の守備のもたつきを見逃さず、三枝は三塁もまわって、ホームへ。ランニング本塁打で勝ち越しに成功。さらに高上 幸大（2年）の左中間を破る三塁打から始まったことで、打線が活気づき、その後満塁から二者連続の押し出し、さらに8番宮崎のセーフティスクイズが守備の乱れを誘い、走者全員が還り、7対1とすると、さらに高上の犠飛などでさらに3点を追加し、10対1とすると、5回表には、打者9人で攻めて、4得点を入れて、14対1とした。

　5回裏、3番手の左腕・田中寛也（2年）が締めて勝利した。

　横芝敬愛は久しぶりに能力が高い選手が揃った。まずエースの伊藤。173センチ65キロと決して上背は高くないのだが、手足が長く、それ以上に見える。上手から投げ込む速球は130キロ前半で、最速138キロを計測。肩、肘が柔らかく、可動域の広さがあるので、テイクバックが大きく、しっかりと左胸を張って振り下ろすことができるフォーム。指がかかったときのストレートは本物で、自己最速は140キロのようだが、さらに体ができれば、常時140キロ台も夢ではないと思う。スライダー、カーブも丁寧に投げ分ける好投手で、今後も非常に楽しみな逸材であった。

　野手として面白いのは3番高上だ。走攻守の総合力が高いだけではなく、打撃も非常にパワフル。両ひざをややまげて、グリップをやや下げた構えは腰が据わっており、実に威圧感がある。

　自分の打つポイントを把握しており、手元までボールを呼び込んで打ちに行く。スイング軌道を見るとヘッドが下がらずに、弧を描きながら捉えることができるので、角度ある打球が飛びやすい。力まずに強いスイングができる選手で、一目見て筋の良さが分かる逸材だ。この試合は三塁打2本と中前安打を記録。三塁打のタイムは右打者ながら11秒72。しっかりと振り切って、このタイムなのだから、素晴らしい。

　二塁手としての動きも機敏で、守備力も高い、さらにまだ2年生ということも考えると、実に楽しみな選手。174センチ66キロとあまり大きくないが、グラウンド上に見せる姿はそれよりも大きく見えた。
　現状に満足することなく、千葉県を代表する内野手を目指してほしい。

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　そして1年から試合に出場し続けてきた高宮稜太（3年）は、ショートとして素晴らしい動きを見せている。出足が早く、フットワークが実に軽快で、捕ってから投げるまでも速い。2回裏には、三遊間の深い位置からアウトにしたプレーも見事だった。1年夏から進歩を見せてきたのは打撃だ。去年から構えを変えた。高上と構えは似ているのだが、ヘッドスピードが速くなり、内野の間を抜く打球も去年に比べて鋭くなった。164センチ64キロと小柄だが、攻守ともにバランスが取れた選手で、次のステージでもプレーできるスキルの高さを持った選手だろう。
　あとは平常心でプレーして、常に安定したパフォーマンスができるかだろう。

　他には塁間4.00秒前後で駆け抜ける脚力とライトからダイレクトの返球を誇り、遠投は常に100メートルを超える外野手・行木丈（3年）は球足が速い打球が打てる左打ちの外野手。なんといっても、天性の足と肩の強さがあるので、この強みを生かして、次のステージでも勝負してほしい逸材。2.00秒台の強肩を誇り、打っても長打力が魅力な林勇稀も今後を注目していきたい大型捕手候補だ。

　これほど能力が高い選手が揃ったのはかなり久しぶりではないだろうか。2年生の選手たちは来年どんな成長を見せるか楽しみなものがある。
強いチームであることを証明するにはまだこれから。13日の実籾戦ではさらに躍動した姿を見せることができるか、注目の一戦となる。

（文＝河嶋宗一）

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