中嶋、深沢、市川…関東大会に登場したドラフト候補速球派5名を徹底分析
市川祐(関東一)、中嶋太一(桐光学園)、深沢鳳介(専大松戸)
5月22日、春季関東大会準決勝が開催される。今回は関東で目立った好投手たちの最速や平均球速を振り返りつつ、夏へ向けての展望について迫っていきたい。(数字は球場内ではなく、手元のスピードガンで測った数字をもとに算出している)
中嶋太一(桐光学園)最速146キロ 平均球速141.17キロ
183センチの長身から振り下ろすオーバースローから繰り出す常時140キロ台の直球の威力は抜群。直球の威力は抜群。関東学園大附戦ではスプリット数球だったが、強打の関東学園大附打線をストレート中心でねじ伏せた投球は本物だった。近年の神奈川の高卒指名組の右投手と比較しても負けていない投手だといえる。夏まで高クオリティの投球を続け、神奈川の強豪私学相手にインパクトの大きい投球を見せれば、もっと評価は高まるだろう。
高校生の右サイドとしては平均球速は高く、回転数の高いストレートで次々と空振りを奪い、13回を投げて17奪三振。わずか1四球しか与えておらず、安定感は抜群。変化球はスライダー、ツーシームに加え、90キロ台のスローカーブを操る。サイドの投手としては肘と手首が立った投げ方で、スローでみるとスリークォーターのように見える。
右サイドの投手で、カーブを使って緩急を使える投手はなかなかいない。完成度の高さはピカイチで、オーバーハンドが多い今年の高校生投手の中では差別化ができる人材と言えよう。
要所で140キロ台の速球を投げ込んだり、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップを多彩な変化球を投げ分けて打者を抑えて、また相手打者の力量でギアを入れ替えている。「勝てる投球」ができる投手で、高卒プロにいくためには平均球速をどれだけ高められるかが鍵となる。
堀越啓太(花咲徳栄)、大川慈英(常総学院)
県大会で最速146キロをマークしたという堀越。しかし常総学院戦では勝ち越し打を打たれたようにボールが高めに入ったり、抜けたり、自分のフォームで投げられていない事が多い。ただしっかりと指を離せた時のストレートは絶品。スライダーピッチャーなので、スカウトにアピールするには常に高回転のストレートを安定してストライクを稼げ、スライダーに強弱をつけたりと他のスライダーピッチャーにはないものをアピールできるか。
大川慈英(常総学院)最速143キロ 平均球速140.25キロ
強烈なスリークォーターから繰り出すストレートはわかっていても打てないものがある。課題だった鋭く落ちる縦系統の変化球も精度が高まってきた。ただ力んで、ボールが抜けたり、汲々とした投球になっているのが気になる。夏には常時140キロ中盤・最速140キロ後半まで速くなる可能性を持っているが、夏までには力でねじ伏せるだけではなく、強弱をつけた投球を期待したいところだ。
(記事=河嶋 宗一)