Column

「見せる」でつながる「次の100年」

2018.04.30

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に日々四国内外を飛び回る寺下 友徳氏の新連載コラム「四国発」がスタート!毎週1回を基本に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしていきます。
 第2回の題材は先週取材した高知県内取材の一コマから、野球の「次の100年」を少し考えてきます。

「高知県野球U-12アカデミー」での一コマ

「見せる」でつながる「次の100年」 | 高校野球ドットコム
もうすぐ「こどもの日」四国ではこのような勇壮な鯉のぼりが各所で掲げられる

 世は黄金週間真っ盛り!みなさんは、この時期をどのようにお過ごしでしょうか?この時期、四国は5月3日から3日間の日程で「春季四国高校野球大会」が開催。今年は高知県での試合となります。もしお時間があるようでしたら、シンカー・スローカーブを四国大会代表決定戦予備戦高知相手に披露した最速146キロサイドの明徳義塾市川 悠太投手(3年)、センバツで147キロを出した松山聖陵土居 豪人投手(3年)をはじめとする選手たちの躍動を目に焼き付けて頂ければ幸いです。

 さて、今週の私も実は高知県で多くの時間を過ごしていました。メインは中学軟式野球春の全国大会である「第9回全日本少年春季軟式野球大会」で、5年ぶり2度目の優勝を成し遂げた高知中の取材。なんと!軟式球で最速148キロをマークする森木 大智投手(3年)をはじめ、高校球児にも大いに参考となる練習の様子は近日公開となりますが、その初日に、こんなことがありました。

 この日は[stadium]高知県立春野総合運動公園運動広場[/stadium]での練習。選手、野球少年たちが試合形式練習に精を出してると、運動広場を囲むように次々と野球少年少女たちが集まってきます。すると18時を前に高知中の練習も終了。そして18時から野球少年少女たち約80名、元・東京ヤクルトスワローズ投手の吉川 昌宏さんなどの指導者たち、高知中野球部の2・3年生が一同が会し始まったのは……。

 「これから、高知県野球U-12アカデミーを始めます!」

 そう、筆者は「小中野球交流のため、まずはやってみることが一番と思った」(高知県軟式野球連盟事務局長・宮田 薫さん)歴史的行事の初回に図らずも遭遇することになったのです。

 アカデミーは年4回開催予定の初回とあって、アップ、キャッチボールの後は、走塁・守備・打撃・投球の4班に分かれてそれぞれの基本を学ぶ盛りだくさんの内容。その中で子どもたちの目を輝かせたのは、やはり高知中・森木投手でした

 アップでは野球少年少女たちの背丈を軽々と超える開脚ジャンプを見せ、キャッチボールや投球教室ではストレートを実演。これには子どもたちばかりでなく、引率のご父兄からも驚きの表情。「見せること」が興味につながることを改めて感じる一コマでした。

 こうして大盛況のうちに「高知県野球U-12アカデミー」初回は終了。3月に愛媛県高野連の全面協力を得て開催された「ティーボール教室in小野」でも各所から声が聴かれた「自分たちが目指したいものを間近で体感できる」。そんな場所が今回高知県でも実現したことは、実に喜ばしいです。

[page_break:「交流日」設置の提案]
「見せる」でつながる「次の100年」 | 高校野球ドットコム
子供たちに優しく投げ方を教える元・東京ヤクルトスワローズ・吉川 昌宏さん(明徳義塾高出身)

「交流日」設置の提案

 このように「次の100年」へ向けて、様々な活動が始まりつつある四国地区の野球界。そこで、今回は私からも1つ提案をします。

 昨今では週1回ないし月1回の指定日で実施が義務付けられ、中体連では週2回に広がりを見せつつある部活の「休養日」。そのうちの数日を「交流日」とし、小中高が連携した野球行事をしてみてはいかがでしょうか。

 先の項でも触れたように、すぐ年上の高校球児が恒常的な交流を小学生や中学生とすることができれば、彼らのみならず、保護者も高校野球やその上の世界への興味を持ってくれるはず。対して、高校指導者や高校球児たちにとっても自分を俯瞰しながら野球技術を教えることで、新たな考え方の引き出しを備えることができるはずです。

  では、具体的にどんなことをすべきなのか?そもそも「交流日」は必要なのか?様々なご意見があると思います。でも、どんな物事も議論と行動なくしては前には進まない。「ティーボール教室in小野」や「高知県野球U-12アカデミー」のような活動を輪にし、さらに広げ、「次の100年」を創っていく。この「四国発」は、その役割も担いながら進めていこうと思います。

 では、みなさん。素敵なゴールデンウィークをお過ごしください!

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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