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【侍ジャパンU-18展望】指揮官のコメントから探るスーパーラウンドへの戦い方

2017.09.07

【侍ジャパンU-18展望】指揮官のコメントから探るスーパーラウンドへの戦い方 | 高校野球ドットコム
オーストラリア戦で先発予定の磯村峻平(中京大中京)

 第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップは9月7日からいよいよスーパーラウンドが始まる。

日本の日程は以下の通りとなった。

7日 9:30(7日22:30)オーストラリア戦
8日 17:00(9日6:00)カナダ戦 
9日 13:00(10日1:00) 韓国戦 
球場はすべて[stadium]ポートアーサー[/stadium]

とすべて慣れ親しんだメイン球場でできるのは大きい。またボールが見えやすいデーゲーム2試合あるのも、日本にとって追い風が吹いていると考えた方が良いかもしれない。
まずは日本の戦いを振り返りながら、小枝守監督のコメントから、スーパーラウンドの戦いを展望をしていきたい。

光る投手陣の働き

 まずはオープニングラウンドの戦いぶりを振り返っていこう。

【チーム戦績】

日本 10 – 1 メキシコ


アメリカ 4 – 0 日本


日本 7 – 2 キューバ


日本 3 – 1 オランダ


日本 12 – 0 南アフリカ

153打数39安打 2本塁打27打点 チーム打率.255 7盗塁
チーム防御率1.47 43イニング 66奪三振 

 これを見ると分かるのは、投手力が非常に高いことだ。大会前、投手に不安があるといわれていたが、小枝守監督は「不安といわれていますが、僕は決してそうではないと思います。能力は高い投手が集まったと思います」と評価する。その理由として、「耳より前でボールを放ることができる投手が多いからだと思います。強いチームというのは例外なくそういう投手が多い」と独特の表現をした。俗にいう球もちが良い、球もちが長い投手のことである。

 今年は制球力が高く、ストレートの回転数が高い投手が実に多い。三浦銀二福岡大大濠)、徳山壮磨大阪桐蔭)の両右腕。ここまで9イニング19奪三振の快投を見せる田浦文丸秀岳館)も、安定したリリースポイントで投げられる力と技を兼ね備えた左腕である。そしてオーストラリア戦で先発が有力な磯村 峻平中京大中京)について小枝監督は「いわゆる投げべりをしない。疲れにくく、長いイニングも投げられる投手」と評価する。球速など見えるもので評価するのではなく、内側まで踏み込んで評価した今回の侍ジャパン投手陣たち。

 ここまでの活躍は必然といえるかもしれない。

[page_break:投手はどこでもいける準備をしてほしい]

投手はどこでもいける準備をしてほしい

 小枝守監督は投手陣に求めているのは、どの場面でもいける心の準備だ。
「残り4試合。ここまできたら、先発・中継ぎというのを決めず、展開によって投手の総動員でいくからその心積もりをしなさいというのを伝えています。だから自分は先発しかやりません、クローザーしかやりませんといっている場合ではないよと」
国際大会において起用法は難しい。状況によって臨機応変で対応をしなければならない。日本は2位通過で1試合も落とせない状況。そういう意味で、指揮官の意図を投手陣がしっかりとくみ取って準備することが大事となるだろう。

打撃は上り調子も、勝つためには機動力野球が重要だ。

 一方、打線はチーム打率.255と人材は史上最強の顔ぶれといわれたが、やはり動くボールの対応は、想像以上に、選手たちにとって難しいようだ。だが、スーパーラウンド前の公式練習では、多くの打者が快音を響かせ、復調をアピール。小枝監督も、「芯に当たる打球が多くなりましたし、また反対方向へ強い打球を打てていました」と打撃練習の内容を評価した。

 小枝監督は日本らしい野球をするために、機動力をカギとして挙げている。公式練習の最後では、盗塁のスタートの仕方の確認を念入りに行った。
「行きたいときに思いきり行けるよう、もう一度確認をいたしました」と小枝監督がリードの手本を見せながら、選手たちへ指導した。

 わずか2時間の練習時間ながら、打撃、守備、走塁と濃い練習内容を送った侍ジャパン。

 7日の相手はオーストラリアと決まった。相手が決まっていない段階から、小枝監督は「どんどん振ってくる打者が多いチームと対戦することになると思いますので、単調な配球にならないよう、バッテリーには気を付けてもらいたいと思います」と注文を付けた。

 スーパーラウンドへ進出した韓国、オーストラリア、カナダはパワー系打者が多く、直球に強い打者が非常に多い。そうなると変化球が長けた投手が活躍できるのではないだろうか。日本は決勝進出へ向けて1敗も許されない状況。ぜひ日本らしい緻密な試合運びで、決勝戦まで進出することを期待したい。

(文・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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