Interview

吉田正尚、杉本、紅林に続け!オリックス2位 関大のフルスインガー・野口智哉の決意【後編】

2021.11.08

 先月のドラフト会議でオリックスからドラフト2位指名を受けた関大の野口 智哉。小学生時代にはオリックス・バファローズジュニアに選ばれ、高校時代は徳島の鳴門渦潮で甲子園に出場している。関大でも1年春からレギュラーになり、一昨年の明治神宮大会準優勝に貢献した。野口が過ごした大学4年に迫った。

高い思考力も武器に

吉田正尚、杉本、紅林に続け!オリックス2位 関大のフルスインガー・野口智哉の決意【後編】 | 高校野球ドットコム
野口 智哉(関大)

 入学前の2月から関大の練習に合流したが、最初からレギュラーになれるという手応えを掴んだという。実際に1年の春から開幕スタメンに抜擢。いきなり.364の高打率をマークした。

 その活躍が認められ、1年生ながら侍ジャパン大学代表の代表合宿にも召集された。残念ながら代表には選ばれなかったが、貴重な経験になったと振り返る。

「レベルの差を感じたので、1年生の頃の代表合宿は今振り返ってみたら凄く良い勉強になりました。みんな一つ一つのレベルが高いですし、投手陣も150キロが当たり前の世界だったので、自分には想像してなかった世界に入ったんだなという風には思いました」

 また、同じ関西学生リーグには1学年上に近大からドラフト1位で阪神に進んだ佐藤 輝明がいた。彼の存在も大きな刺激になっていたと話す。

「入学してきた時から憧れの存在でしたし、あれだけホームランを打つことができるのは自分にはできないので、タイプが違うんですけど、佐藤さんみたいに憧れられるような選手になりたいなと思います」

 野口も佐藤と同様、豪快なスイングが持ち味だ。強く振ることは三振のリスクも高くなるが、そのことについては次のような考えを持っている。

「昔からフルスイングをしてきたので、普通のスイングをしてやってるイメージはあります。三振はしたら駄目だと思っているので、2ストライクになったら考え方も変えて、三振をしないようにと工夫してやっています。打席の中でそれまでの形も1打席1打席違うので、追い込まれてからは1打席の中でどうだったかなと考えて繋げられるようにしています」

 野性的なプレーが印象的な野口だが、打席の中では相手バッテリーの配球を冷静に読む力も備わっている。大学生活7度のリーグ戦で、打率.350超えを5度もマークした裏にはこうした思考力の高さもあった。

 最後のリーグ戦となった今秋は投打が噛み合い、開幕から7連勝で優勝を決めた。野口も打率.361、2本塁打、7打点の活躍で最優秀選手を受賞。「MVPもとれて、優勝もできましたし、こうやって報われることがあるから努力し続けられるのかなと思います」と集大成として、これ以上ない結果を残した。

[page_break:開幕一軍から日本一への誓い]

開幕一軍から日本一への誓い

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野口 智哉(関大)

 優勝を決めた翌日に行われたドラフト会議ではオリックスから2位指名を受け、「自分の中では10月11日(ドラフト会議の日)が早く過ぎてほしいなと思っていたので、指名された瞬間はホッとしたという気持ちが最初に来たかなと思います」と安堵した。

 オリックスのユニフォームを着るのはジュニア以来10年ぶりになる。「もう一度、あのユニフォームに袖を通すと思ってもいなかったですし、それは凄く嬉しいと思います」と喜びを噛みしめていた。

 オリックスの内野陣は宗 佑磨紅林 弘太郎太田 椋など、有望な若手選手が多くいる。入団後は激しい競争が待ち受けているが、「開幕から1軍でスタメンを狙う」強い意欲を見せている。自身の持ち味と課題について、野口は次のように語ってくれた。

「自分は肩が一番自信あるので、肩を活かした守備と率を残すことができるミート力を見てもらいたいです。それに加えて自分は足も自信があるので、走攻守3拍子揃って高いレベルでやれるということを指導者には見てもらいたいなと思います。逆に課題は守備も打撃も率をまだまだ追い求めないといけないと思うので、確実性に関してはもっと上を目指してやるようにしていきたいと思います」

 紅林や杉本裕太郎の活躍を見ていると、強く振れる野口のような選手はオリックスにマッチしているのではないかと思う。25年ぶりの優勝を果たしたチームの勢いをさらに加速させる選手としてこれからの活躍に期待が高まる。

 今回の取材後に出場した関西地区大学野球選手権大会では第2代表決定トーナメントで敗退。大学野球の最後を神宮で終えることはできなかった。

「最初から試合に出させてもらったので、感謝しかないですし、どうしても恩返ししたかったんですけど、それができなかったので、次はプロの舞台で恩返しできるようにやっていきたいと思います」と試合後に語った野口。大学野球で成し遂げられなかった日本一という目標はプロの世界で叶えるつもりでいる。

「佐藤(輝明)さんのように、みんなから憧れられるような選手になりたい」と話す野口のルーキーイヤーが今から楽しみだ。

(記事:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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