Interview

高校日本代表・小倉全由監督が語る「世界大会連覇への秘策」! チーム構想、注目選手、木製バットの対応力は?

2024.04.09


小倉全由代表監督(元日大三監督)

高校日本代表の一次候補合宿が4月4日から3日間、奈良県で行われた。投手では髙尾 響投手(広陵)が参加投手最速となる147キロの速球、130キロ台のスプリットのコンビネーションで2回無失点のパーフェクト、打者では箱山 遥人捕手(健大高崎)、正林 輝大外野手(神村学園)が本塁打を打つなど、センバツ組がアピールに成功した。チームの指揮を執る小倉全由代表監督はドジャース・大谷 翔平投手(花巻東)などがいた2012年以来の代表監督就任となる。
小倉監督は今年開催されるアジア大会に向けて、どんなチーム作りをしていくのか。そして選手たちにどんなことを求めているのか。
3日間の取材で語った小倉監督の考えを紹介したい。

高校日本代表一次候補 集合写真

合宿参加投手最速の147キロを記録した髙尾 響(広陵)

インプレー中のガッツポーズはやめろ!

ーー 監督が求めるチーム像を教えてください。
小倉全由監督(以下 小倉監督) やはり足を使った野球です。木製バットがあるので、なかなか飛ばない。「小倉というと、もう打つしかない」なんて周りから言われてるんですけどね。日大三の例を挙げると、2011年、夏の甲子園で優勝したチームは打つだけではなく、ランナー二塁にいた時はワンヒットで還ってくれる走塁を選手たちはしっかりとやっていました。ホームランも出ましたけど、ヒットの延長線の結果だと思っています。
やはり木製バットを使った野球でアジア大会、世界選手権で勝つには足を使うしかないと思います。守りでは足と肩がある野手を揃えて、最少失点に抑えていきたい。

ーー 足を大事にする上で、選手たちに求めていることは何でしょうか。
小倉監督 甲子園に出場した選手たちに話をしたことなのですが、この何年かの甲子園を見ていると自分の打球を見て、すぐガッツポーズをしてしまう。ガッツポーズがいけないのではなく、タイムリーや長打を打って、インプレー中なのにボールからを目を切って、ベンチに向かってガッツポーズ。これはいらないだろうと思っています。
この話はこの合宿に参加している選手だけではなく、全国の高校球児にも聞いて欲しいと思っています。インプレー中は絶対に目を切らず、次の塁を伺うことを大事にしてほしいです。
判断力をつけるために、紅白戦ではコーチャーズボックスに、あえてランナーコーチをつけないで、「自分の判断で次の塁をうかがうのを見せてよ」と話をしました。

ーー 今年の選手たちを見て感じたことはありますか。
小倉監督 甲子園で見ている選手たちが多いですが、1人1人を近いところで見ると良いものを持っています。じっくりと観察すると、無駄な動きが見られます。この部分を改善すれば、もっと良くなるなと思っています。一人一人の個性を出していきたいですね。

新基準バットの好影響

ーー 選考の部分で、長打力はどれくらい重視していますか。
小倉監督 もちろん評価していますが、木製バットになると、外野の間を抜いての二塁打という野球がほとんどになるかなと思います。しっかりと力強く叩くことができれば、長打になると思っています。選手たちにはそれを期待したいです。
新基準バットを使ったセンバツを見ていても、本塁打はなかなか期待できないですし、自分が監督やっていたイメージと違うので、「小倉が変わらないといけない」と思っています。

ーー12年ぶりの代表監督の就任についてはどうですか。
小倉監督 初めての監督になった時よりもプレッシャーを感じています。2回目であまり結果を残せなかったら…という不安があります。また、国際大会は9回から7回になったり、球数制限が以前より厳格になったりと、国際大会のルールを一から勉強しないといけない立場です。

ーー 小倉監督を支える代表コーチ3人の方々の働きも大事になりますね。
小倉監督 コーチの方々にはざっくばらんに、「なんでも言い合って」とお願いしています。
「もう気が付いたことどんどん言ってよと。 遠慮しないで、ちょっと違っていたら、『こうしましょう』と遠慮なく言ってよと。
だから、ホテルの食事でも、いつも4人でテーブルを囲んで、野球の話、世間話もしています。
ヘッドコーチの荒井コーチ(前橋育英)は投手を見てもらっていますが、専門的に見られる方はお任せしています。私はコーチからの意見を吸い上げていければ。どこまで吸い上げられるかはわかりませんが、3人のコーチとともに力をあわせていきたい。

ーー 監督の目から見て選手たちの木製バットの対応力はいかがですか。
小倉監督 良いと思います。私が1回目に率いた2012年の世界選手権では、甲子園が終わったあとに選手たちは木製バットを扱ったので、最後まで芯を捉えることができませんでした。
打てているのは、新基準バットの効果が大きいです。木製バットに近い感じになっているので、ずっと練習をしてきているのが大きい。これまでの高反発の金属バットを使っていた時は、選手たちのスイングが荒くなっているのが見受けられました。
このセンバツではなかなか長打は出なかったんですけど、この夏に向かって、新基準バットの打ち方をしっかりと覚えていけば、もっと長打が出る期待はあります。
代表候補に入った選手たちは今後は普段から木製バットでの練習を取り入れてもらいたいです。

次のページ:最終候補に選ばれるのは誰だ!?

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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