目次

[1]秋、防御率0.90の快投ができた要因
[2]感謝の思いを甲子園のマウンドで

 8月に開催される交流試合。中京大中京大阪桐蔭といった私学の強豪校に注目が集まるが、21世紀枠の戦いぶりも見逃せない。43年ぶりの甲子園出場を決めていた磐城沖 政宗にも注目だ。滑らかな投球フォームから繰り出す最速141キロのストレート、6種類の変化球を操り、昨秋は9試合を投げて、防御率0.90と抜群の好成績を残した。

 全国的に見ても好投手に入るだろう。研究心豊かな右腕の軌跡に迫る。

前編はこちらから!
古豪復活を誓う磐城に現れたクレバー型エース・沖政宗を変えた関西遠征【前編】

秋、防御率0.90の快投ができた要因


 勝負の2年秋に入った。

 ただ沖自身、調子自体はあまり上がらなかった。その中でも意識していたのは「不調の中でも0で抑える」こと。
 「地区予選ではなかなか調子がよくなかったですけど、それでも抑えるためにはどうすればいいか考えていました。僕たちのように1人1人の力がないチームが格上のチームに勝つには、ロースコアにすることが理想的な展開だと思います。だからその中心の立場として投げている自分がどうすれば0に抑えることができるか考えていました」

 そのためにずっとこだわっていたのが2年春から意識しはじめたのが、コントロール重視の投球だった。多彩な変化球を操り、特に自信に持つスプリット、横のスライダーを交えてゴロの山を築いていった。

 勝ち進むごとに自分の投球ができる手応えを掴んでいた。沖は、チームにどうリズムを乗れる投球ができるかを考えていた。
 「リズムよく投げてゴロを打たせてとっていく。良いリズムを作って、味方の攻撃につなげていくことを意識しました。0というこだわりはありますが、自分の投球から味方にとって良い状況を作るということは常にテーマにしていました」

 試合を重ねていくごとに調子を上げていき、東北大会に進出。緊迫とした試合展開が続いたが、まず初戦の東海大山形戦で8安打を浴びながらも要所を締め、完封勝利。そして2回戦の能代松陽戦でも6安打を打たれながらも1失点完投勝利。

 言葉通り打たせて取り、そしてロースコアを制して、東北大会ベスト8に導いた。

 沖の話を聞くと、良い意味では欲がなく、力みが感じられない。秋、好投ができたのは自分の能力、立ち位置を把握し、自分の投球を冷静に続けてきた事が大きいだろう。

 東北大会準々決勝で敗れたが、秋の躍進によって沖の評判は高まっていた。だが、沖はレベルの高い東北大会を投げたことで、力量不足を実感していた。そして冬ではトレーニング内容から見直した。
 「1年の冬はただ走っているだけで、内容は良いとはいえないものでした。2年冬は短距離のメニューを増やし、ウエイトトレーニングの内容も見直しました。さらに内容を濃くするために先輩に聞いたり、動画サイトを見ながら、参考になるものは取り入れてきました」

 そしてセンバツ出場が叶い、念願の甲子園へ向けて準備をしていたが、3月11日、甲子園中止が決まった。

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