立教大学 山根 佑太選手×髙田 涼太選手(浦和学院出身) 【後編】「最後まで仲間を支えるのが浦和学院野球部」
前編では山根選手、高田選手は下級生の時からレギュラーとして出場し、秋では主力選手となってチームを引っ張っていく過程まで描いた。後編では、選抜、夏の振り返り、森監督への思い、浦和学院の野球部について語ってもらった。
初戦が一番緊張した2013年甲子園
山根 佑太選手(浦和学院-立教大学)
そして一冬越えて臨んだ選抜。初戦の相手は土佐だった。土佐の試合では、山根選手の2点適時打で辛勝した試合となった。
山根 エースの小島 和哉(現・早大)(2014年インタビュー)が調子よかったので、小島に助けられた部分は相当あったと思います。チームとしても、1人だけ2年生が投げているし、あとは3年生がしっかりとやって勝たせてあげたい。そういう気持ちの一体感があったと思います。
続く3回戦の山形中央戦は11対1で大勝。山根選手は3安打、髙田選手も本塁打を含む3安打を放つ大活躍だった。
髙田 だいたい初の球場での1回戦は緊張するので、それがとれたので、変わったかなと思います。初戦に比べると、打席の余裕はありましたね。インコースのまっすぐを打ち返すことができました。
北照戦(試合レポート)では、好投手・大串 和弥を打ち崩し、10対0で大勝。ベスト4へ進出した。山根選手は3安打、髙田選手も2試合連続本塁打を放った。この2試合について2人は、こう振り返ってくれた。
山根 控え選手が徹夜で研究してくれたので、狙い球を絞りやすくなりましたし、思い切っていけました。
髙田 控えメンバーのおかげで、僕は狙い球もしっかり絞ることができました。あの時はレギュラーも、控えのメンバーも、指導者の方も一体となって臨んでいたと思います。
敦賀気比戦(試合レポート)は5対1で快勝。髙田選手は3試合連続本塁打となった。この本塁打については?
髙田 素直に嬉しかったですね。体が上手く反応してくれたので。あの時は高校時代、一番調子が良かった時期でした。
そして決勝戦の済美戦に入った。試合前はどうだったのだろうか。
山根 自分は緊張しなかったですね。
髙田 ほどほどの緊張感で臨めましたね。初戦より緊張しなかったです。
だが試合は序盤5回表まで済美のリード。浦和学院は後半勝負だと考えていた。
山根 入りとしては、見るからに安楽 智大君(関連コラム・2013年インタビュー)が疲れていたので、まあどっちかというと、終盤のほうが勝負になると思っていました。先制されて焦っていたので、自分たちで円陣を組んで変えました。監督が来て、決勝なんだから思い切ってプレーしろみたいなことを言われた記憶があります。
そして安樂投手を打ち崩して、17対1の大勝で初優勝を決めた。
山根 素直に嬉しかったです。苦しい練習が実った感じです!
と喜んだが、森監督に「夏に優勝しなければ意味がないぞ」と言われ、選抜優勝の余韻にひたることなく、夏に切り替えた。優勝してからの浦和学院は絶対的な安定感で勝ち進み、春関東大会優勝、夏も順当に勝ち上がり、4季連続の甲子園出場を果たした。その時の浦和学院は、成熟していて隙が無いチームだった。この時のチーム状態を山根はこう説明する。
山根 各打順、役割が違いますよね。2番だったらつなぎだったり、クリーンナップだったら長打を打ったり、ランナーを返すのが仕事になります。またそれ以外だったら粘り打ちをして次につながるなど、みんな、打順ごとに自分の仕事が分かっていたと思います。
そして春夏連覇の期待をかけられた2013年夏の甲子園では、初戦で仙台育英に敗れた。高校野球が終わって2人は、
髙田 良い結果、悪い結果がありましたけど、ここでは礼儀、チームのまとめ方などいろいろなことが学べたと思います。
山根 一番は「感謝」を学んだことですね。応援してくれる人にも感謝しなければならない。いろんな人たちの支えがあっているからこそ野球ができていると実感しています。
選手生活が終わっても、卒業まで現役生のために支えるのが浦和学院野球部
浦和学院は夏が終わっても、選手としては引退だが野球部としての活動はまだ引退はしない。3年生も通常通り練習に参加し、下級生の手伝いを行う。これは2人の入学時から行われてきたことで、引退した3年生は現役生にとって大きな存在だった。
髙田 涼太選手(浦和学院-立教大学)
髙田 学生コーチの立場になってくれるので、どちらかというと気安く、話しやすい。現役中、僕らは監督に話しかけづらかったので、その間に3年生がいるのは大きかったです。引退している分、話しやすいと思いますし、僕も話しやすかったです。
また、森監督との出会いについてもこう振り返る。
髙田 僕にとって恩師です。森先生の下でやってきたことで僕は人間的に大きく変わりましたね。
山根 僕も変わりました。それまでの僕は自分が結果を残せればよい、自分が努力をすればよいという考えでした。だから周りの選手が結果が出ないことは気にしなかったです。けれど、浦和学院にきて、周りの選手たちの内容も気にするようになりました。高校野球は全員がしっかりとやらないと勝てないので。チームのために何ができるかを考えていました。
チームの勝利のために何ができるか、どんな役割に徹すればよいか。フォア・ザ・チームの精神を学んだ2人は、ともに東京六大学リーグの立教大に進学。髙田は正捕手獲得を目指し、山根はレギュラー獲得を目指している。2人に今後の目標を伺った。
髙田 やはり正捕手獲得ですね。(立教大の)主将の鈴木 貴弘さん(2011年インタビュー)がライバルになりますが、レギュラーを獲得して、またホームランを打ちたい。
山根 リーグ戦でレギュラーを獲得し、昨秋のリーグ戦は優勝がかかった試合で三振したので、次は自分が打って優勝を決められればと思います。
最後に2人から、甲子園出場を目指す球児へメッセージをいただいた。
髙田 厳しく言うと、普段の練習、生活をしっかりやってほしいですね。たまに見かける球児を見ると、私生活がややだらしないところがあります。それでは勝てないと思いますし、グラウンドでも、仲間を信じて、生活もしっかりとしていかないと上には行けないと思います。
山根 メリハリですかね。休む時は休む、やるときはやるが一番、身になると思います。あとは勝てればいいなぁ、甲子園いければいいなぁではダメ。レギュラーを取る!打つ!甲子園に行く!でないと、信念が弱かったら自分の方向性が曲がってしまうので、自分が決めた道をとことん突き進むぐらいでやったほうがいいと思います。
2人と話をすると、覚悟が感じられ、全く妥協せずに3年間を過ごしていたのが分かる。なぜ浦和学院が常勝チームで在り続けられるのかが両選手の話からよく分かった。
(インタビュー・文/河嶋 宗一)