
秋季大会を制し安堵の表情を浮かべる仙台育英ナイン
2022年、宮城の高校野球は大きな転換期を迎えた。仙台育英が悲願の甲子園初優勝を果たし、深紅の大優勝旗を杜の都に持ち帰ったのだ。仙台育英を中心に繰り広げられた今年の戦いを振り返る。
仙台育英、東北の「2強」が躍動
春、夏はいずれも仙台育英が制覇。昨夏は県大会4回戦で敗れる屈辱を味わったが、一冬越え、強い仙台育英が戻ってきた。春は4試合すべてが7点差での勝利と、盤石の勝ち上がりを披露。特に3年生左腕の斎藤 蓉投手、古川 翼投手を中心とした投手陣は他を寄せ付けなかった。夏は2年生右腕の高橋 煌稀投手、湯田 統真投手も実力を伸ばし、鉄壁の投手陣はさらに厚みを増した。
一方、夏の県大会では打線がつながらない場面が散見され、接戦も多かった。それでも甲子園初戦の鳥取商(鳥取)戦で10得点を挙げると、その後も聖光学院(福島)との準決勝で18得点を奪うなど、聖地では野手陣が奮起。投打がかみ合い、東北勢初優勝の快挙を成し遂げた。
新チームで迎えた秋は県大会こそ準優勝に終わったが、東北大会を制し明治神宮大会に出場。初戦の沖縄尚学(沖縄)戦で最終回に4点差をひっくり返すサヨナラ劇を見せると、準決勝は敗れたものの大阪桐蔭(大阪)を苦しめた。来年も快進撃が続くことを予感させる戦いぶりだった。
春準優勝だった東北は、夏は新型コロナウイルス感染者が複数出たことも影響し、準々決勝で敗退した。佐藤 洋新監督を迎えた秋はハッブス 大起投手、秋本 羚冴投手(いずれも2年)の二本柱を軸とした投手力が光り、県大会で仙台育英の10連覇を阻止し頂点に立った。東北大会も決勝まで駒を進め、来春のセンバツ出場を当確としている。長年、宮城の高校野球をリードしてきた両校の強さが際立つ1年だったと言えるだろう。