第250回 四肢への打撲と気をつけたいケガ2020年07月31日

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【目次】
[1]四肢への打撲は日常的によく見られるケガ
[2]コンパートメント症候群とは?

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 今年は全国大会に代わる各都道府県での独自大会が開かれ、選手の皆さんは野球のできる日常を実感していることと思います。梅雨が長引き、蒸し暑い日々が続きますが、ウイルス感染予防に加えて熱中症対策を万全にして試合に臨んでくださいね。さて今回はスポーツ現場で頻度の多い四肢(腕と足)への打撲と気をつけたいケガについてお話をしたいと思います。

四肢への打撲は日常的によく見られるケガ



デッドボールや自打球など打撲は起こりやすいケガの一つ

 野球に限らずスポーツ全般において、何か物や人にぶつかったり、当たったりしたことによって起こる打撲はよく起こるケガの一つです。打撲といっても内容は軽度のものから注意を要する重症度の高いものまでさまざまです。野球であればデッドボールが代表的なものですが、まれに人と交錯してぶつかったり、フェンスに体をぶつけてしまったりといったこともあります。頭頸部や胸部、腹部などへの打撲は一度プレーを中断し、状況を把握した上で必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。

 腕や足といった四肢への打撲については、まず応急処置の基本であるRICE処置を行いましょう(R…患部の安静、I…アイシング、C…患部の圧迫、E…できる範囲で患部を心臓よりも高い位置に保持する)。痛みや腫れ、熱感(触ると熱く感じる)などの炎症症状は血流量を抑えることで軽減され、その後の経過にも大きな影響を及ぼします。また明らかな出血(外出血)がなくても、皮下や筋肉内などで出血(内出血)が起こることがあります。内出血は皮膚の明らかな変色を伴うものもありますが、見た目にはわからない状態のものもあります。このような内出血をそのままにしておくと、正常な細胞まで影響が及び組織の修復に時間がかかってしまうため、RICE処置によって影響を受ける範囲を最小限にとどめる必要があります。打撲をした当日や翌日は患部を温めるとかえって悪化することがありますので、長時間の入浴はなるべく控えておきましょう。

早期の競技復帰は慎重に

 打撲によるケガは比較的軽度のものが多く、そのままプレーを続けたり、短い休養期間で競技復帰するケースも少なくありません。ただし打撲が広範囲にわたるときや、痛みなどが残った状態でプレーを続けていると組織の修復が遅れ、結果的にケガを長引かせることにもつながります。特に太ももの前側や後ろ側への打撲によって、血腫(けっしゅ:内出血などによって血液が組織内にたまった状態)ができてしまうと、そこからカルシウムが沈着することで骨化性(こっかせい)筋炎となってしまうことがあります。打撲によって血腫ができないようにするためにも、初期段階として内出血を最小限に抑えるためのRICE処置を行い、しばらく激しい運動を控えることが早期復帰につながります。運動開始の時期などについては医療機関を受診した際に、医師と相談するようにしましょう。

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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