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優勝候補・東邦を追う東海地区の実力校たちは?春季東海大会を徹底展望

2023.05.12

優勝候補・東邦を追う東海地区の実力校たちは?春季東海大会を徹底展望 | 高校野球ドットコム
宮國 凌空(東邦)・高田 陽聖(いなべ総合)

 今春のセンバツには3校が出場した東海地区だが、そのうちの2校が今春の東海地区大会にも出場する。昨年秋の東海大会優勝校で、今春も愛知県1位の東邦と、岐阜県2位の大垣日大だ。この両校に注目は集まるが、岐阜県1位の県立岐阜商、静岡県を初めて制した加藤学園なども注目だ。また、昨秋の東海地区大会にも出場している学校も加藤学園至学館(愛知)、津商(三重)など5校あり、それだけ各校は安定した力を保っているということであろう。組み合わせとともに、大会を展望していきたい。

 各県の1位校と2位校が当たる1回戦。

 加藤学園大垣日大は、昨秋の東海大会でもベスト4に残った同士。東海3枠目として選出されたのは、準決勝での戦いぶりと地域性もあって大垣日大だった。それだけに、加藤学園としては、今春は開催県1位校としての意地も示したい。左腕・吉川 慧投手(3年)と内藤 大輔投手(3年)はじめ投手陣の層は厚い。準決勝では公式戦初先発の2年生・小澤 亨彦投手が好投して、さらに厚みを増した。抑えとしては鈴木 日陽投手(2年)も度胸がある。大垣日大は経験値の高い山田 渓太投手(3年)が投手の軸だ。打線は、阪口慶三監督の孫にあたる高橋 慎内野手(3年)を中心にソツがない。

 久しぶりに三重県を制したいなべ総合は、「ちょっと低迷しかかっていたところだっただけに、この優勝は素直に嬉しい」と尾崎英也監督は喜んだ。その尾崎監督が「遊撃手としてのセンスは飛び抜けている」と絶賛する石垣 諒馬内野手(3年)の攻守に注目したい。高田 陽聖投手(3年)は力のある球を投げ込む。

 そのいなべ総合に、至学館の“思考破壊”のゆさぶり戦法がどうやって崩していくのかというところが見どころとなる。ただ、愛知県決勝では、なかなか走者が出せずその持ち味を出し切れなかった。もっとも、エース伊藤 幹太投手(3年)が安定しており、例年以上に守りに安定感がある。至学館としては、一つ勝って、何とか昨秋敗れた加藤学園にリベンジしたいというところもある。昨秋から、チームが成長しているところをお互いに示したいところでもあろう。

 県立岐阜商は、例年のような破壊力はないものの、決勝では大垣日大に1対0と最少得点で勝っているように、今井 翼投手(3年)と於保 光晟捕手(3年)のバッテリーを中心とした守りは安定している。それだけに、鍛治舎巧監督は1点ずつ丁寧に取っていく「きっちりした野球」に拘っている。

 春3年連続優勝を逃した津商だが、昨秋に続いての東海大会出場は、安定した力のある証明でもある。右サイド気味からキレのいい球を投げ込んでくる松田 空知投手(3年)は、初めての相手にとっては打ちづらいだろう。県立岐阜商とのロースコアの競り合いが期待される。

 昨秋の優勝校で今大会も戦力的には、優勝候補の筆頭と目されている東邦。昨春の東海大会でも地元開催で優勝候補といわれつつも初戦敗退となっただけに、センバツでも2勝している「東邦強し」というところを見せつけたいところだ。県大会では山田祐輔監督は注目のエース宮國 凌空投手(3年)をむしろ抑えとして起用。投げないときは右翼手として5番に入ることが多い岡本 昇磨投手(3年)と山北 一颯投手(3年)を先発として起用し、いずれも好投して自信を得たことで、投手の層はぐっと厚みを増した。

 その東邦投手陣を日大三島(静岡)がどう攻略していくかというところだが、永田裕治監督は「甲子園に行った去年のチームのようにエースで4番という投打の大黒柱がいるわけではないので全員野球に徹していかないといけない」と言う。エース関野 巧真投手(2年)は、準決勝で昨秋の優勝校・常葉大菊川を相手に、打たれながらも何とか抑えたことで自信も得たようだ。1番・綱島 健太内野手(2年)と3番・永野 陽大内野手(3年)はシュアな打撃で打線の柱となっている。

 春季地区大会は夏を見据えて、期待したい選手を試してみるなど、思い切った戦いもできる。緊張感のある公式戦という大きな舞台だが、それぞれのチーム事情で夏を意識した戦いぶりを見ていくのも楽しみである。常連校の多い今大会ではあるが、予想以上の選手の活躍にも期待したい。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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