第1015回 昨秋大阪3位はL字に並んで練習する?初芝立命館(大阪)の強さの秘密に迫る!【前編】2020年02月25日

【目次】
【初芝立命館の練習の模様をギャラリーでみる】
[1]専用グランドを持たなくても強豪でいられるわけ
[2]初芝立命館で実施される9種類のティーバッティングを紹介!
昨秋の大阪府大会。制したのは大阪桐蔭、準優勝だったのは履正社と高校野球界を牽引する大阪の2大勢力が飾った。両校とも今春の選抜に出場し、上位進出が予想される注目校であるが、その2校とともに近畿大会に出場したチームこそ、初芝立命館。
昨夏大阪大会ベスト8をはじめとして、何度も大阪大会4強~8強入りし、激戦区・大阪で存在感を放つ強豪校はなぜ勝ち続けられるのか。練習の様子はもちろん選手や監督、コーチの話から強さの秘密を解き明かしたい。
専用グランドを持たなくても強豪でいられるわけ

学校にある坂道を使ってランニングをする様子
堺市に学校を構える初芝立命館は、中高一貫の学校のため多くの生徒が学校内を行き来する。もちろん、放課後になれば校庭でサッカー部や陸上部が練習をしている。限られた敷地で様々な部活動が汗を流している中で、ボールを使って練習をするのは危ない。
夏4強、秋は3位に入る実力を持つ野球部であり、中日ドラゴンズの立石充男二軍総合コーチなど数多くの野球界で活躍するOBを輩出している背景を知ると、専用グラウンドがあるのではないかと思ってしまう。
しかし、校庭の端の方に目を向けると、坊主頭の選手が一生懸命バットを振っている姿が見えてきた。これが初芝立命館の野球部の現状なのだ。
「シーズン中は近くにある市営球場で週3日練習をしますが、校庭を使う時は他の部活動と共同になるので、校庭全体4分の1くらいの広さで練習をしています。ですので、いつもL字に並んでティーバッティングが多いです」
こう語るのはチームの指揮を執る楠本雄亮監督。監督になって4年目になるが、初芝立命館に来たのは2015年で、それまでは愛媛県の帝京第五で監督してチームを牽引してきた。

ネットに向かってティーバッティングをする初芝立命館の選手たち
そんな楠本監督は、「グラウンドは校庭の広さで十分確保できましたし、寮生活でした。それと比べると、『どうしようか』と思いましたね」と真逆の環境に驚きを隠せなかった。チームの主砲の坂元宏行も「この環境を見た時は『どんな練習をするのかな』と思いました」と限られた練習環境への第一印象を語る。
しかし練習を見ていると、休む暇なくティーバッティングを続け、校庭から離れたところではランメニューにトレーニングと数多くのメニューが組まれている。チームをまとめる主将の毛利伽央主は「こんな環境ですが、グラウンドを持っている学校にも負けないトレーニングとスイングをしていると思います。ですので、運動量は変わらないと思います」と自負している。
エースの森瑠惟斗も「専用グラウンドを持っていなくて狭いですが、いろんなメニューを考えてもらっているので身になっています」と口にするが、これは楠本監督の考えがあっての練習スタイルだ。
「この環境なので割り切って『出来ることを目一杯やろう。1つのことを他所がやらないくらいとことんやろう』と思い、いろんなメニューを組んで数をこなすようにしています」
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