第1001回 「復活を目指す兵庫の伝統校」育英(兵庫)野球部訪問【前編】2020年01月08日

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【目次】
【育英の練習の模様をギャラリーで】
[1]「甲子園に行かないのが当たり前となってしまっている」

 春13回、夏6回の甲子園出場経験があり、1993年夏には全国制覇を成し遂げた育英。兵庫県の高校野球を代表する名門校だったが、2005年春を最後に甲子園から遠ざかっている。それでも昨夏は2年生主体でベスト4と躍進。今後に期待を抱かせる結果となった。

 本気でセンバツを狙いに行った秋は3回戦で報徳学園に0対1で敗退。甲子園で戦うことを目標にしていたこともあり、落胆は大きかったが、下を向くわけにもいかない。20年ぶりに夏の甲子園を目指す伝統校の現在地に迫った。

「甲子園に行かないのが当たり前となってしまっている」



安田聖寛監督

 チームを率いるのは甲子園優勝時の主将だった安田聖寛監督。甲子園決勝で試合中に負傷退場して病院に搬送され、治療からベンチへ戻った直後にスクイズで劇的決勝点を奪ったのは高校野球ファンの間で語り草になっている。

 その後は明治大、デュプロで現役を続け、引退後は第一経済大(現日本経済大)、福岡第一で監督を務めた。2012年春に母校に復帰し、同年夏の大会後から監督に就任している。就任当初は2年連続で夏の兵庫大会初戦敗退という苦しい時期だった。安田監督は当時をこう振り返る。

「甲子園から遠ざかっていたので、どの大会でもまずはベスト8に顔を出せるようにという形でスタートしていきました。捕ること、打つこともそうですけど、野球に取り組む姿勢や学校生活も雑だったので、そういうところを見直して野球に繋げていこうということを口酸っぱく言っていましたね。時代も生徒も変わって、甲子園に行かないのが当たり前になってしまっているので、そこを何とかと思ってずっとやっています」

 手応えを掴み始めたのは「土台ができてきた」という就任5年目の2016年。兵庫大会3位で5年ぶりに秋の近畿大会出場を果たした。この時は初戦で敗れて甲子園出場とはならなかったが、その後もコンスタントに上位へと顔を出すようになり、有力校として存在感を示している。

 昨夏はレギュラーの過半数が1、2年生という若いチームで準決勝進出。19年ぶりの夏の甲子園出場が現実味を帯びてきたが、神戸国際大附を相手に0対7の7回コールド負け。「若いメンバーの中では最低限のことができたと思いますが、息切れでしたね」(安田監督)と力尽きた。

 能力の高い選手が揃ったと指揮官が認める新チームでは遊撃手の多田 優斗(2年)がキャプテンシーを持っていると見られていた。しかし、安田監督は1年夏からレギュラーとなり、2年春から4番を打つ西川 凱斗(2年)を主将に任命した。

「このチームはどちらかというと大人しめな西川が変わらないといけない。西川が本気に変わると、このチームの爆発力は秘めていると思ったので、キャプテンを西川、副キャプテンを多田にしました。西川は1年夏から出ているので、経験も引き継いでいかないといけませんし、彼自身がもう一皮も二皮も剥けないといけないと思っています」

 西川は現時点で通算20本塁打を放っている長距離砲だ。打線の核となる彼に責任感を持たせることで実力だけでなく、言動や行動でチームを引っ張ることを安田監督は求めた。これまでに主将の経験がなかった西川は指揮官からの指名に「とてもビックリしました」と困惑した。それでも「自分が変わらないといけない」と腹を決めて、懸命にチームを引っ張っている。

(文・馬場 遼)

 前編はここまで!後編では昨秋からの取り組みなどに迫っていきます!⇒(後編を読む)

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