試合レポート

【春季愛媛大会】松山商が攻守につなぐ野球で66年ぶり秋春連覇! 第1シードの夏23年ぶり制覇へ「時は来た!」

2024.04.06


四国大会出場を決めた松山商(愛媛)

昨秋愛媛県大会V、四国大会・阿南光戦での初戦敗退で得た収穫と反省を踏まえ、この春は「つなぐ」野球で四国大会1勝を目標に掲げた松山商松山聖陵川之江小松、そして今治西と並みいるライバル校を下し3年連続20度目の四国大会出場を決め、迎えた済美との決勝戦でも、攻守に高い「つなぐ」意識を発揮した。

 

まず攻撃面では4回表一死からヒットとエンドランでチャンスを作ると、4番・舩倉 康志郎外野手(3年)の左越適時二塁打、5番・林 颯真投手(3年)の中犠飛で鮮やかに2点を先制する。5回表は4本の安打と2つの犠打で3点を追加。新規格金属バットに順応するばかりか逆に各打者が飛距離を伸ばすなど、「昨秋の県16強からよくここまで成長した」と田坂 僚馬監督も成長を認める済美を相手にしても試合の主導権を終始渡さなかった。

 

それ以上に松山商の「つなぐ」意識が如実に表れたのはディフェンス面である。5日間で431球を投じていた最速143キロ右腕・林はこの日は一塁手でスタメン出場。かわりに先発マウンドに立った右腕・大垣 奏真投手(3年)は、9回にリリーフで登板も、1つのアウトも取れず降板した川之江戦から「時間をかけてフォームを修正した」と、大野 康哉監督の付託に応え、6回途中93球を投げ2奪三振3四死球2失点(自責点0)の好投。最速144キロの球速をあえて「球速より試合の流れを作るために」最速134キロに抑え、要所で120キロ台のフォークを用いたことが吉と転じた。

 

林も「大垣やみんながいい流れを作ってくれたので、強い気持ちでマウンドに上がった」と残る2回3分の2で50球を投げ1四球3奪三振無失点。特に自己最速143キロにあと1キロと迫る142キロ~140キロの直球を低めに投じ「自信をもって投げられるようになっている」。130キロ前半カットボールとのコンビネーションは、センバツベスト8の吉岡 暖投手(阿南光3年)に次ぐといっても過言ではない安定感を有している。

 

 かくして目指す野球の本領を発揮し、5対2で2年ぶり16度目の大会優勝。同時に2013年秋・2014年春の西条以来、同校としては実に1957年秋・1958年春以来実に66年ぶりとなる「秋春県大会連覇」の偉業を成し遂げた。この勝利により夏の愛媛大会の第1シード獲得も決めた名門は23年ぶりの甲子園帰還へ「時は来た!」状況を自らの力で整えようとしている。

 

この記事の執筆者: 寺下 友徳

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