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センバツを皮切りに4月からは全国各地で春季大会が始まっている。選手たちの成長はもちろん、入学した新入生たちのなかで、誰がいち早くデビューを果たすのか。新戦力の台頭が注目ポイントだ。
とはいえ、中学から高校に進学してすぐに活躍するのは容易ではない。特にフィジカルは3年生と大きな差がある。それでも出場する機会をつかむには何をすべきなのか。中学の段階からどんな準備をして高校野球に進めばいいのか。
今回は中学野球はもちろん、様々なカテゴリーの選手たちへ体力測定を行っているゼット測定の1人・山崎翔太さんに話を伺い、中学生向けのトレーニングはもちろん、付随する休養や食事についても語ってもらった。
大切なのは体重を支えられる筋力の獲得
山崎さんは日々、あらゆるチームへアスリートテスト(以下ゼット測定)として、選手たちのフィジカル調査をしている。その中で感じていることは「(高校生に比べたら)小さい選手が多いですね」という一言から、中学球界の印象を語る。
「たしかに体重、体格は小さいんですが、ゼット測定の項目の1つであるスイングスピードやメディシンボール投げなら、高校生に負けない数字をたたき出す選手はいます。
今の中学生は、凄い選手は140キロを投げる選手もいるのを聞きますので、同じ中学生でも差が激しいなというのが印象です」
となると、体づくりも兼ねて筋力を強化することが求められるかと思ったが、山崎さんの回答は違った。
「獲得に時間を要するのは柔軟性なんです。だから高校生になってからでもいいんですが、中学から始めた方がもっといいと思っています。そのうえで筋力強化のために体重を増やすこと。そのためにご飯は残さずにしっかり食べること。高校で食事について指導されて苦戦をしないためにも、しっかりとやってもらえたらと思っています」
消費したエネルギーが摂取エネルギーより多いと、筋肉は分解されてしまう。エネルギーを摂取するために起こる仕組みだが、すると結果的に体重が減る。パフォーマンスが低下するというわけだ。
だからこそ食事を含めて、「準備出来ることは絶対にしておいた方が良い」と山崎さんは訴える。その山崎さんが語る、中学生のうちにやっておくべきトレーニングは誰でもできる簡単なものだった。
「まずは自分の体重を支えること。だからウエイトではなくて、自重トレーニングとして腕立て伏せやスクワット、懸垂で鍛えてあげて、自重を支えられるようになることを目指してもらえたらと思います。これで十分負荷はかけられるので、高校へ進む選手、これから中学野球で頑張る選手関係なく、全選手が実践してほしいです」