宮城県高野連選抜VS仙台六大学選抜!今後のブレークに期待がかかる仙台六大学の1年生
8月5日、石巻市民球場で、宮城県高校野球連盟の高校3年生と仙台六大学野球連盟の大学1年生で編成したピックアップチームによる交流試合が行われた。2試合行われ、第1試合は仙台六大学選抜が2対1で勝利、第2試合は3対3で引き分けだった。この試合で目立った、数年以内のブレークが期待される大学1年生を紹介する。
東北福祉大は1年生も有望株ズラリ
毎年のようにプロ野球選手を輩出している東北福祉大。今年の1年生も投手を中心に有望株がそろう。特に投手陣は豊富で、今回の交流試合には伊藤 千浩投手(東北)、唐川 侑大投手(東海大札幌)、早坂 海思投手(日本ウェルネス宮城)と高校時代から注目された右腕3投手が参加した。
伊藤は第1試合の8、9回に登板し、2奪三振を含むパーフェクト投球で試合を締めた。第2試合は「5番・指名打者」でスタメン出場し、2四球とチーム唯一の安打となる二塁打で3度出塁。高校生選抜の一員として出場した昨年に続き投打で躍動した。
昨年はプロ志望届を提出するも指名漏れ。「高校で結果を出せていなかったし、自分のレベルも足りなかった。大学で頑張ろう」と気持ちを切り替え、プロ野球選手を多く輩出している東北福祉大に進学した。大学では投手と野手の「二刀流」を継続中。紅白戦や練習試合には投手、左翼手、指名打者として出場し経験を積んでいる。
投手としては直球の最速が高校時代よりも3、4キロ速い146キロまでアップ。大学の先輩投手の体の使い方などを参考にすることで成果が現れ始めている。野手としても当初は大学生の球筋を読むのに苦戦していたものの、徐々に感覚をつかんできた。「周りにレベルの高い選手が多いので、高校の時にはなかった成長の仕方ができている。仙台六大学を代表して神宮で活躍できる選手になりたい」。力強くそう宣言した。
早坂、唐川は本調子ではなく走者を出しながらも、ともに2回を無失点にまとめた。早坂は高校の後輩で第1試合に先発した大内 誠弥投手の投球をブルペンから見ていたといい、「去年の自分よりいいんじゃないかな」と称賛。また昨年まで日本ウェルネス宮城の1期生としてしのぎを削った菅井 惇平外野手(東北工業大)とは久々に同じチームで戦い、「惇平がセンターで守っているのを見ると、高校時代を思い出してうれしかった」と懐かしんでいた。
菅井は今春リーグ戦デビューを果たしたが、早坂は「4年間あるので焦らずに、まずはケガをしないような体づくりをする」と自身のペースで成長しようと考えている。大学では技術面以上に「野球に対する考え方、場面ごとのプレーの考え方がガラッと変わった」。目標とする「チームを勝たせられる投手」、そしてプロ入りを目指して、着実に歩みを進める。
東北大にも「二刀流」に挑む1年生
投手陣では、仙台大も川端 勇汰投手(北海道栄)、山本 京投手(北星大附)、良知 慧汰投手(創価)といずれも右腕の3投手が登板し、それぞれが持ち味を発揮した。仙台大の1年生では佐藤 幻瑛投手(柏木農)が早くもエース級の活躍を見せているが、さらなる競争の激化に期待したい。
野手陣は2試合で計5安打と高校生選抜の好投手に苦戦する中、東北大の選手が存在感を光らせた。第1試合では、5回に山下 直輝外野手(仙台一)が試合の均衡を破る中前適時打をマーク。第2試合では、美才治 幸介内野手(前橋)が好機で貴重な犠飛を放った。近年、打力に定評のある東北大は、下級生にも期待の野手が多く名を連ねる。
山下は高校時代は外野手一本で、大学では左投手が少ないチーム事情を考慮して主に投手の練習に取り組んでいる。春の新人戦は投手として出場した。この日は「最近バッティングを全然していなかったので打てるか不安だった」と言いつつも、甘く入った直球を捉えベンチに向かって拳を突き上げた。投手は中学以来とあって投手としての成長が急務だが、本心は「バッティングもしたい」。投打での活躍を思い描きながら大学の4年間を過ごす。
ほかにも仙台大・大塚 碧人内野手(霞ヶ浦)、東北福祉大・藤井 一太外野手(仙台育英)、東北学院大・藤田 京捕手(富谷)ら、この日は快音が響かなかったもののリーグを代表する選手となりうる有望株が出場した。ここから何人がスターへの階段を駆け上がるか、注目だ。
(取材=川浪康太郎)