山梨学院vs光
好投手の投げ合い、山梨学院のエースが気迫の投球で勝利
林 謙吾(山梨学院)
<センバツ高校野球:山梨学院7ー1光>◇27日◇3回戦
ベスト8をかけた戦いは、両チームともに好投手を中心とした守りが目立った試合となった。山梨学院(山梨)は右腕エース林 謙吾投手(3年)、光(山口)も右腕エース升田 早人投手(3年)が先発し、互いに譲らない投げ合いとなった。
序盤はともに力強い投球で相手打線をねじ伏せた。ともに2回に内野ゴロの間に1点ずつを取り合う、まさにがっぷり四つの展開。両右腕の踏ん張りで緊迫した試合となっていた。
試合が動いたのは5回だった。升田の力強い直球にタイミングが合ってきた山梨学院打線が火を噴く。先頭の進藤 天内野手(3年)が低めの直球を左越えへ二塁打を放つと、8番打者のエース林が直球を詰まりながらも右前へ適時打。1番の徳弘 太陽外野手(3年)が追い込まれた後の外角スライダーをなんとかバットに当てて、左翼への犠牲フライでさらに追加点を挙げて3対1とした。その後、6回、7回と2点ずつを奪った山梨学院が逃げ切った。山梨学院は春夏通じて甲子園で初の8強入りとなった。
山梨学院のエース林が1球1球、ほえるような声を上げて、光打線に立ち向かった。130キロ台後半の直球と鋭く曲がるスライダーを軸に、相手を圧倒するような投球だった。あのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準々決勝、イタリア戦で先発した侍ジャパンのエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)が気迫あふれる声とともに力投したあの姿のようだった。相手打線はもちろん、初戦で完封勝利を挙げていた相手先発の升田にも投げ負けたくなかった。そんな気持ちがこもったマウンドだった。5回の徳弘の犠牲フライで本塁を踏んだ林は、三塁走者となって着ていたジャンパーを脱いで、全力疾走で本塁を駆け抜けた。勝利への執念は攻守にわたって気持ちで表現していた。
光の升田は敗れたが存在感を存分にアピールした。初戦は完封勝利を挙げ、山梨学院打線相手にも直球で真っ向勝負を挑んだ。7失点はしたが、好投手として名を上げ、夏に向けて期待を抱かせたことは間違いない。升田だけでなく守りは鍛えられてきた印象はあった。打撃を向上させ、夏にさらに強くなった光を見てみたいと思った。
(記事=浦田 由紀夫)