試合レポート

【春季埼玉県大会】川越東が勢いに乗る慶應志木を止めシード権獲得!

2024.04.30


宮城勇輔(川越東)

【トーナメント表】春季埼玉県大会 結果一覧

<春季埼玉県高校野球大会:川越東11-4慶應志木>◇28日◇2回戦◇県営大宮

県営大宮球場の第2試合は昨夏ベスト4の川越東と、大宮東細田学園を破るなど勢いに乗る慶應志木との一戦。

先発は川越東が左腕の宮城 勇輔(3年)、慶應志木も2年生左腕・正野 敬二郎と両エースが登板し試合が始まる。

正野は左サイドからノラリクラリとクレバーな投球をするタイプ。地区予選で大宮東を完封し冨士 大和(3年)に投げ勝ち、県初戦でも齊木 悠庵(3年)、山崎 豪琉(3年)のバッテリーなど前評判の高かった昨秋ベスト16の細田学園を相手に8回まで無失点で抑えるなど今大会好調を維持している。

最初にチャンスを得たのは川越東であった。

川越東は初回、慶應志木・正野の立ち上がりを攻め、先頭の河井 大悟(3年)がサードゴロエラーで出塁すると、続く山田 楓真(3年)もレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。3番・山根 大典(3年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く笹尾 拓海(3年)も四球を選び一死満塁とチャンスを広げる。だが後続が併殺に倒れ無得点に終わる。

それでも先制したのは川越東

3回表、この回先頭の河井がライト前ヒットを放ち出塁すると、一死後二盗を決める。さらに3番・山根がセンター前へポトリと落ちるヒットを放つと、山根は送球間に二塁を陥れ一死二、三塁とする。ここで4番・笹尾がライト前タイムリーを放ちまず1点、さらに続く篠原 隆寛(3年)がセーフティースクイズを決めると、二死後7番・虻川 龍之介(3年)がセンター前タイムリーを放つなどこの回一挙3点を奪う。

これで川越東のペースになったかと思われたが、今大会勢いに乗る慶應志木はここから猛反撃を開始する。

慶應志木はその裏、二死から2番・藤田 京輔(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く松田 陽貴(2年)も死球で出塁し二死一、二塁とする。ここで4番・小林 斗和(3年)がレフト前タイムリーを放ちまず1点、続く井上 陸斗(3年)がサードゴロエラーで出塁し二死満塁とすると、6番・勝呂 海里(2年)がセンター前タイムリーを放ち1点差とする。さらに、続く井上 将志(3年)がセンター越えの2点タイムリー二塁打を放つなど、さすが勢いに乗る慶應志木打線はこの回一挙4点を奪い4対3と逆転に成功する。

勢いに乗る慶應志木は4回裏にもこの回先頭の森久保 拓哉(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く山田 隼士(3年)にベンチは強攻させる。山田は期待に応えライト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。2番・藤田がきっちりと送り一死二、三塁とすると続く松田も死球で一死満塁とチャンスを広げる。だが後続が併殺に倒れ無得点に終わる。

エースで逆転を許し嫌な流れとなった川越東であったがすぐに反撃を開始する。5回表、この回先頭の山根がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く笹尾の犠打が相手エラーを誘い無死一、二塁とする。さらに5番・篠原のセーフティーバントが決まり無死満塁とすると、続く西澤 陸(3年)がレフト前タイムリーを放ち同点。さらに7番・虻川がレフト前タイムリーを放ち勝ち越すと、続く下田 琉惺(2年)もセンター前タイムリーを放ちセンターがファンブルする間に二走・西澤も生還し7対4、9番・宮城の併殺打の間にさらに一点を加えた川越東は結局この回5点を奪うビッグイニングを作り8対4と逆転に成功する。

川越東は最終回にも笹尾のセンター前ヒットを足がかりとし、代打・峯 孝宏(3年)、この日4安打目となる7番・虻川の連続タイムリーやワイルドピッチなどでさらに3点を追加し勝負あり。

投げては先発・宮城が7回4失点(自責は1)でまとめると、2番手・遠藤 芳晃(2年)も無失点で切り抜ける。

結局、川越東慶應志木を11対4で下しシード権を獲得した。

まず慶應志木
「先制されるのはわかっていて、相手の隙を突いていこうと。序盤はその通りの展開になっていたんですが、秋も守備で負けて。守備のミスはどうしても出てしまう。今日は弱い所が出てしまった。こちらは前の試合で4番が怪我をして、3年生が5人しかいない中よく頑張っている。正野は今日悪い所が出てしまった。周りに流されるというかうまくいかないと自分にイライラしてしまう。相手に対策されていたなと。今大会うちはチャレンジャーとしてやれることをやろうと。夏は正野一人では勝ち上がれないので最低でも2枚作りたい」
と、勢いのある打線で一時流れを持ってきたが、4失策が失点に絡んでしまった。自分の勉学もある中、学生監督として限られた時間で選手を見る毎日を繰り返す石塚監督。依然難しい状況であるが、夏までに守備と投手力の整備は必須だ。

一方の川越東
慶應志木打線の振ってくるボールをあえて投げるのか、その裏を突くのか。宮城は決して速いボールはないので相手の様子を見ながらやろうと。正直うちが3回で点を取るのは想定外。100球あたりで一気に行くぞと伝えていたんですが。あんなに早い段階で連打するとは。それで結果ゲームが動いちゃいましたね。この春は140キロとか強い相手と練習試合をたくさんやってきた。むしろ軟投派の対策が遅れていたんで大会序盤は苦しかったです」
と、昌平との対戦を心待ちにする野中監督。この日は15安打を放ち小技も随所に絡め見事な得点力であった。昨夏の経験者河井や山根にもヒットが出て、徐々に打線も上向いている。ただし、Aシード・昌平は石井、山根、佐藤、大槻、櫻井など投打共にレベルが高い。簡単には行かないであろう。優勝候補相手にどういう戦いを見せるのか見ものである。

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この記事の執筆者: 南 英博

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