試合レポート

大阪桐蔭vsクラーク記念国際

2022.11.20

大阪桐蔭6回コールドで準決勝進出 スタメン抜擢の境 締めの一発を含む4安打の活躍

大阪桐蔭vsクラーク記念国際 | 高校野球ドットコム
コールドを決める本塁打を放った7番境 亮陽外野手(1年)

<第53回明治神宮野球大会:大阪桐蔭12-2クラーク記念国際(6回コールド)>◇20日◇高校の部・2回戦◇神宮

 大阪桐蔭(近畿・大阪)とクラーク記念国際(北海道)の一戦は、優勝候補・大阪桐蔭に、横から投げたり上から投げたりと、変則の新岡 歩輝投手(2年)がエースであり、主将として引っ張るクラーク記念国際がどこまで食い下がることができるかが注目点であった。しかし大阪桐蔭の「圧」は、立ち上がりからクラーク記念国際全体にとって、かなりのプレッシャーになったようだ。

 1回表は大阪桐蔭の先発、背番号10の南 恒誠投手(2年)があっさり三者凡退で切り抜ける。その裏、大阪桐蔭は、1番・小川 大地内野手(2年)が右中間に二塁打を放ち、3番・德丸 快晴外野手(1年)の中前安打で還り1点を先制する。2回裏は、長澤 元外野手(2年)の負傷により中堅手で先発出場した背番号15の1年生・境 亮陽外野手が内野安打と失策で二塁に進む。さらに暴投で境は三塁に進む。続く8番・岸本 真生内野手(2年)の四球、1番・小川の三ゴロは失策となり境は生還する。加えて2番・山田 太成外野手(2年)の右前安打で岸本が生還し、3番・德丸の二塁打で小川と山田が生還し、この回4点が入る。

 3回裏は、境の右前安打などで作ったチャンスに、8番・岸本の右前適時打や、德丸の3イニング連続の打点となる右犠飛などで大阪桐蔭が5点を加える。なおクラーク記念国際の三塁手・山田 陽紫内野手(1年)はこの回2失策。前の回も含めると3失策となった。慣れない人工芝の固いグラウンド、大阪桐蔭の強い打球をもろに受ける三塁手というポジションゆえに、やむを得ない面もあるが、プレーに思い切りの良さが欠けた点は反省材料だろう。

 3回を終えて10対0。5回コールドの展開になったが、クラーク記念国際も意地を見せる。4回表この回先頭である途中出場の2番・安部 政信外野手(2年)、3番・新岡の連続安打に、「初球から思い切って打とうと思っていました」と言う5番の麻原 草太捕手(2年)が左翼線に二塁打を放って2点を返した。

 4回裏に大阪桐蔭は代打・八瀬山 大悟外野手(2年)の左犠飛で1点を追加する。それでも、ここから新岡は本来の投球を発揮する。5回裏は多彩な変化球を駆使する投球で三者三振に仕留める。6回表も先頭打者を三振に仕留め4人連続で三振を奪う。しかし本来の投球を取り戻すのが遅かった。6回裏2死から、この試合3打数3安打と当たっている境が右翼席に本塁打を放ち、12対2。6回コールドが成立した。

 境は投手で登録されている二刀流。本人は「どちらもやりたいです」と意欲をみせる。中学生の時は陸上競技の選手でもあり、100メートルは11秒06という快足。岐阜県出身で勉強できるとなると、思い浮かぶのは中日の根尾 昂投手(大阪桐蔭出身)だ。身体能力が優れているだけに、どのような選手に成長するか、楽しみである。

 一方、敗れたクラーク記念国際の佐々木啓司監督は、「立ち上がりエラーが出ては、野球は勝てない」と語った。それでも中盤から徐々に力を発揮できるようになった。全国大会で大阪桐蔭と対戦できたことは、今後につながる貴重な経験になるはずだ。

 なお試合中、大阪桐蔭のベンチから相手投手が投球動作に入っても声が出ていることに、クラーク記念国際の佐々木監督が注意をする場面があった。投球動作に入ってからのいかなる声出し、音出しも球種を教える動作とみなされ、国際大会などでは厳しく規制されている。李下に冠を正さずで、悪意はなくても疑念を持たれる可能性のある行為は注意をした方がいい。

 勝った大阪桐蔭は準決勝で、仙台育英(東北・宮城)と対戦する。初戦を劇的な逆転サヨナラで勝利した夏の王者と大阪桐蔭の対戦は、この大会の優勝争いはもちろん、来年に続くこの代での戦いのドラマの第1章として熱戦を期待したい。

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.27

【京都】龍谷大平安、京都成章、北嵯峨などが2次戦進出戦に挑む<春季大会>

2024.04.27

【大阪】3回戦は28日に大阪桐蔭、履正社が登場、29日には上宮-関西創価など<春季大会>

2024.04.27

【広島】広陵は瀬戸内と、広島商は崇徳と夏のシードをかけて激突<春季県大会>

2024.04.27

横浜に入学した「スーパー1年生5人衆」に注目せよ! 佐々木朗希二世、中学日本代表の二刀流など明日の慶應戦で活躍なるか!?

2024.04.27

【三重】津田学園-菰野、5年ぶりの決勝対決<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!