日大豊山vs都立足立新田

　昨年準優勝の日大豊山であるが、秋、春と結果を残せていない。しかし、夏に向けてしっかりと仕上げてきた感じだ。初戦の相手は、都立の強豪・都立足立新田。2回戦にはもったいない好カードだ。

　どのチームも、夏の初戦は緊張する。その意味で、日大豊山に大きかったのは初回の1点だった。
1回表内野安打の2番木村太賀が二盗に成功し、4番横尾祐太の中前安打で木村が還った。その裏都立足立新田は先頭の芹沢篤志が二塁打を放つも得点ができなかった。

　都立足立新田の先発、エースの佐藤暖弥は内外角の低めを丁寧に突く投球をしていたが、4回表2者連続三振を奪った後、突如乱れる。6番西村達貴の中前安打のあと、4者連続四死球で2人が押し出しで生還した。

　そこで都立足立新田は、2番手に尾沢光太郎をマウンドに送る。尾沢は同校の先輩で、ヤクルトで活躍する秋吉亮に似た横手投げの投手であるが、5回表は二死一塁の場面で、前の打席で中前安打の西村に、センターオーバーの三塁打を打たれ1点を失う。

　西村は、小学生の時からアメリカで暮らす1年生。父親は愛工大名電出身で、イチローの1つ先輩になる。日本で高校野球をするために帰国した西村は、いきなりチームの勝利に貢献する。さらに続く土居正宗の中前安打で1点を追加する。

　それでも都立足立新田は、左前安打の中野隼人を一塁に置いて、8番福田丈生がレフトスタンドに入る2ラン本塁打を放ち、追撃する。そんな追撃ムードを一気に冷ましたのが7回表、走者を2人置いて、5番奥村優太のライトスタンド中段に突き刺さる、特大の3ランであった。その後両チーム1点ずつを入れるが、この本塁打は、飛距離だけでなく、精神的ダメージの面でも大きかった。

　結局9対4で日大豊山が勝利した。それでも都立足立新田は、日大豊山のエースである左腕の山本日向に13安打を浴びせ、攻撃力の高さを印象付けた。それでも要所を締める山本に対し、残塁11を記録するなど、攻めきれなかった。
一方日大豊山は、昨夏の準優勝を経験した主将の秋庭蓮や、横尾、奥村らに、1年生の西村など新戦力が加わり、ノーシードながら台風の目になりそうだ。しかし次に対戦する錦城学園の根岸涼は好投手。楽しみな一戦になりそうだ。

（文＝大島 裕史）

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