試合レポート

習志野vs東海大望洋

2012.10.07

習志野vs東海大望洋 | 高校野球ドットコム

習志野・吉田君

習志野の7回、守りからリズムを作りビッグイニングで一気に試合を決める

野球の試合というのは、どう転がっていくのか本当に分からない。改めて、そう思わされた試合だった。

6回までは1対1。次の1点をどちらがどういう形で入れるのか、それによって試合の行方が決していくだろうと思える展開だった。そこまでは、いくらか歯がゆい思いの展開でもあった。

そして迎えた7回、東海大望洋は8番原田君と1番志田君の安打にパスボールなどもあって2死二、三塁とした。豊田君の犠牲フライで得点した初回以来の好機となった。ここで、梅澤君は芯で捕えたかに思われた打球だったがショート・国吉君の正面だった。習志野は、2回途中からリリーフしたエースナンバーの松山君が何とか凌いだ形になった。

その裏の習志野は、「苦しいところでよく我慢したから、この回はいいことがあるよと、選手には言いました」と小林徹監督は、相手に傾きかかった流れを切ったことで、自分たちの方へ向いてくるという暗示にかけた。

それに応えたかのように、この回先頭の9番関君はレフト前へクリーンヒットを放つ。
郡司君がきっちりバントで進めて、2番吉田君がセンター前ヒットを放って一、三塁。この場面は、試合展開からはスクイズも考えられるところだったのだが、スクイズよりも自分で打ちたいという気持ちの強い長嶋君はサインを出される前の初球を叩いてレフト前にタイムリーを放った。


習志野vs東海大望洋 | 高校野球ドットコム

東海大望洋・久保山君

これで均衡が破れたのだが、ここで東海大望洋の相川敦志監督は思い切って、先発山田君を諦めて猪川君を送りこんだ。しかし、習志野の勢いは止まらなかった。4番松山君がライト前にタイムリーを放ち、死球を挟んで熊澤君もセンター前へ2点打を放つ。なおも、死球と関君、郡司君の安打が続いてこの回7点を奪って、1点を争う競り合いはあっという間にコールドゲームになってしまった。

小林監督は、「前半で2~3点はリードされると思っていました。それが、1対1でしたから、ベンチでは、『同点でラッキーだよ』と言ったんですよ」と、5回を終えた後のグラウンド整備での間で、選手の気持ちをプラスに向けていったのだが、このあたりはやはり、百戦錬磨の指揮官のウマさでもあろうか。

東海大望洋は選手個々の能力も高く、千葉県高野連の関係者たちも、「この秋の望洋は、チーム力は高いですよ」と、むしろ本命視されるくらいであった。相川監督としても、3年ぶりのセンバツへ向けての手ごたえは十分に感じていたと思われるだけに、一つの流れの停滞で、一気に試合をもっていかれてしまったことに関しては落胆も大きいだろう。

それにしても、この日の[stadium]千葉県スポーツセンター野球場[/stadium]の一塁側は第1試合銚子商、第2試合習志野で、70~80年代に県内だけではなく、全国にその存在を知らしめた両校の登場で、例年の夏の大会以上の混雑ぶりを示していた。千葉県の高校野球ファンにとって、「CHOSHO」と「NARASINO」のユニフォームがどれだけ影響力があるのかということを、改めて実感した日でもあった。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?