試合レポート

横浜隼人vs日大藤沢

2012.09.15

横浜隼人vs日大藤沢 | 高校野球ドットコム

日大藤沢・木村投手

横浜隼人が4投手の継投で、日大藤沢に夏の雪辱

 夏の準々決勝の再現となった試合。夏は、第一シードの横浜隼人に対して、日大藤沢が堂々と打ち勝った形で制した。そのリベンジを果たしたい横浜隼人、何とか先制点が欲しいところである。そんな気持ちを表すかのように初回、島田君、荒井君が連続安打。いきなり好機を作ったが、遊直併殺で先制機を逃した。立ち上がりに、いきなり連打されて焦った日大藤沢の先発木村君だったが、これで落ち着いた。

 得点が入って試合が動いたのは3回だった。

 まず、横浜隼人が2死走者なしから島田君がヒットで出塁すると、荒井君が左中間へ二塁打を放ち、島田君が長躯ホームインして先制。しかし、その裏日大藤沢も、九番橋爪君がセンター前ヒットで出ると、齊藤歩君も内野安打で続く。バント失敗などで2死となったものの、四番金子君がセンターオーバーの三塁打を放ち、二者が還って逆転した。

 その後、横浜隼人は4回、5回と先頭打者をヒットで出しながらも、いずれも併殺で潰していく。このあたりの攻撃に関して試合後、水谷哲也監督はチームとしてきっちりと指摘していた。

「一塁にランナーがいるときに打って攻めていくのはウチのスタイルなんですが、ショートゴロのゲッツーはルール違反なんです。あれが、右へ打って結果として4~6~3のゲッツーだったら、それは仕方ないんです。そういう野球しようと言ってやってきているんですから。その、チームの約束事が出来るか出来ないか、それが経験値だと思います。このチームは経験値が少ないですから、失敗しながら、経験値を上げていかなくてはいけないんです」

 それでも、横浜隼人は6回に相手失策もあって、1死一三塁としたところで、淺沼君が内野ゴロを放つ間に還り、しぶとく同点とした。さらに、2死三塁となったところで七番伴君が三遊間を破って逆転した。このあたりは、さすがに横浜隼人は何とか得点していくところが勝負強い。

 7回にも横浜隼人は2死走者なしという状況から、荒井君が失策で出塁すると三番木下君がライト線へ二塁打を放ち、突き放した。

 5回1死一、三塁という場面からリリーフのマウンドに立った橋本君が、6回にこそ2四球でちょっと苦しんだが、終わってみたら無安打の救援だった。橋本君も1年生で、水谷監督の言う「経験値」は少ない投手だ。しかし、こうやって経験を積んでいくことで自信も得ていき、それが経験値として足し算となっていくのであろう。7~9回は3人ずつで抑えていた。スーッと抜けていくようなタテの変化球が有効だった。


横浜隼人vs日大藤沢 | 高校野球ドットコム

横浜隼人、淺沼君の内野ゴロで同点に追いつく

 水谷監督も、「ミスをしながらでも、勝っていくことで経験値を積んでいくことになります。秋は特に、これが大きいんです」と、橋本君の好投を評価していた。そして、「2カ月の間に、同じ相手に2回負けるわけにはいきませんよ。夏、3対5で負けていますから、秋に4対2で勝って、これでイーブンです」という相手の日大藤沢の山本秀明監督は、横浜隼人でのコーチ経験が高校野球指導者としてのスタートでもある。そういうこともあって、水谷監督としては、弟子に連敗は出来ないということなのである。だから、何としても面目を保ちたかったというのも本心であろう。

 また、この日キーワードとなった「経験値」ということで言えば、春の関東大会からの経験値があるエースの内藤君を、この試合では温存出来たということも、横浜隼人としては大きかった。

 夏の返り討ちはならなかった日大藤沢は、木村君がダイナミックに足を振り上げる独特のフォームで好投したのだが、4失策があり、その2つが直接失点に絡んだのも痛かった。山本監督は、「この秋は弱いですよ」と前置きしながら、「新チームになって、もう少し基本的なことを練習として積んでからゲームに入っていけばよかったのかもしれませんが、早くから練習試合が入っていて、作りきれなかったかもしれません。

ちょっと反省しています。やっぱり打てないと、勝てないですよ」と、5回までだけの6安打のみになってしまった打線には、いくらか不満が残ったようだ。

 それでも、木村君の頑張りを評価しつつ、4失策という数字は出てしまったが、守りに関しても、元々悪いチームではないという自信はあるようだ。来年へ向けて、もう一度、練り直していこうという気持ちである。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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